F1が検討する2ストップ義務化 F1ドライバー間で意見割れる

この案は今季モナコGPでテスト的に議論されたが、ドライバーの間では意見が割れている。
フェルスタッペン「規則改定の年に導入すべきではない」
マックス・フェルスタッペンは、義務2ストップ制には一理あるとしつつも、2026年というタイミングには慎重な姿勢を示した。
「今のマシンは前車に近づくとすぐにタイヤがオーバーヒートする。1秒以内だと追い抜きがすごく難しいんだ」とフェルスタッペンはインテルラゴスで語った。
「マシン同士の速さの差が0.2〜0.3秒程度しかないから、抜くには十分じゃない。だから、もしかするとこのルール変更が助けになるかもしれないけど、来年導入すれば“タイミングが悪い”って言う人も出てくると思う。いずれにしても多くの疑問は残るよ」
ラッセル「必要なのはもっと柔らかいタイヤだ」
一方、グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション(GPDA)の理事を務めるジョージ・ラッセルは懐疑的だ。
「機能するとは思わない」とラッセルは言う。
「僕たちに必要なのは“2ストップの義務化”じゃなく、“柔らかいタイヤ”だと思う。理想は、ハードが30周、ミディアムが20周、ソフトが10周しかもたないような構造。そうすれば戦略に本当の多様性が生まれる」
「でも、ピレリにはそれが非常に難しいのも理解している。サーキットごとにアスファルトが全然違うからね。もし全トラックが同じ舗装なら、もっと攻めたタイヤ設計が可能になるだろうけど」

現行グラウンドエフェクトカーへの不満も噴出
2022年から導入された現行のグラウンドエフェクトカーも、今季限りで姿を消す。多くのドライバーは「ようやく終わる」と安堵を隠さない。
ランス・ストロールは率直に語る。「正直、恋しくはならないね。マシンは重すぎて、硬すぎた。レースを良くしようという意図は分かるけど、実際うまくいったとは思えない」
フェラーリのシャルル・ルクレールも同調する。「最初の年はポーポシングで本当にひどかった。今は改善されたけど、もっと軽いマシンがいいね。以前の世代の方が楽しかったと思う」
さらにアルピーヌのピエール・ガスリーも「背中への負担は想像以上だった。次の世代に移るのは歓迎だ。もっと良いやり方で速さを追求できるはず」と語った。
2026年、レースの面白さは“戦略”が握る?
F1が目指すのは、単調な1ストップ戦略から脱却し、タイヤデグラデーションと戦略の駆け引きで展開が動く「動的なレース」だ。
ただし、2ストップを義務化すれば戦略の自由度を奪う懸念もあり、ドライバー側の警戒は根強い。
2026年はアクティブエアロを含む新レギュレーション元年。マシン性能や燃費、エネルギー回生の配分など未知数の要素が多い中で、義務2ストップ制が本当に“エキサイトメント”を増すのか――その判断は慎重を要するだろう。
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