2021年のF1世界選手権:見どころはホンダF1の戦闘力と角田裕毅の勝負力
2021年のF1世界選手権がいよいよ開幕。見どころはなんといってもホンダF1の最後のエンジンを搭載したレッドブル・ホンダの戦闘力と7年ぶりの日本人F1ドライバーとなる角田裕毅の活躍だ。

過去7年間、F1はメルセデスが席巻。2014年にF1にV6ターボ“パワーユニット”が導入されて以来、メルセデスF1がすべてのタイトルを獲得。メルセデスF1が強すぎることで、多くのF1ファンは誰かが“ストップ・ザ・メルセデス”を成し遂げることを望んでいる。

今年、その最有力候補に挙げられているのがレッドブル・ホンダだ。2018年までルノーのカスタマーF1エンジンで戦ってきたレッドブル・レーシングは、2019年からタイトル奪還を目指し、復帰後まだ勝利を収めていなかったホンダF1とワークスパートナーシップを結ぶことを決断。初年度から勝利を収め、その関係を熟成させてきた。

だが、実際にはホンダF1とのパートナーシップはまだルノーとの成績を超えていない。2018年にレッドブル・レーシングは、ルノーのF1エンジンで4勝/419ポイントを獲得したが、ホンダのF1エンジンに切り替えた2019年は3勝/417ポイント、2020年は2勝319ポイントだ。2020年はコンストラクターズ選手権2位を獲得したが、それは前年まで上位争いをしていたフェラーリの自滅によるところが大きい。

興味深いのは、2021年のF1世界選手権は、昨年マシンが引き継がれることだ。昨年の最終戦F1アブダビGPではレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが勝利を挙げているが、それはメルセデスがF1パワーユニットに問題を抱えてフルパワーを出せなかったからだとの見方がある。もう1つの勝利であるF1 70周年記念GPではメルセデスF1はタイヤに問題を抱えていた。

同じマシンのままであれば、メルセデスF1が有利なのは明らかだ。早期に開発をストップしたメルセデスF1だが、結果的に17戦中13勝をという圧勝でシーズンを制している。だが、シャシーは引き継がれるが、今季のF1マシンはダウンフォースを削減するためにリア周りの空力に変更が加えられた。このレギュレーション変更が2021年F1マシンに影響を与えており、ローレーキのメルセデスはプレシーズンテストでバランス問題に直面(しているように見えた)。対照的にハイレーキのレッドブルは安定度が増している。

そして、最も注目なのがF1エンジンの進化だ。エンジンの開発はシャシーのように制限エリアはなく、ラストイヤーとなるホンダF1は“新骨格”と称する完全に新しいF1エンジンを投入した。メルセデス、そして、フェラーリも新型F1エンジンを投入しているが、F1プレシーズンテストではホンダのF1エンジンが抜きんでていたとの分析結果もある。シャシーが互角の場合、勝負を決めるのはF1エンジンだ。ホンダのF1エンジンの戦闘力が2021年のF1世界選手権の注目ポイントのひとつとなる。

次に注目なのは日本人ドライバーとして7年ぶりにF1デビューを果たす角田裕毅だ。2019年にFIA-F3で海外に飛び出した角田裕毅は、2020年にFIA-F2にランキング3位を獲得してF1スーパーライセンスを取得。角田裕毅を支援するレッドブルのセカンドチームであるアルファタウリ・ホンダF1からデビューが決定した。

FIA-F2からは多くのドライバーがF1にステップアップしている。近年では、2017年の王者シャルル・ルクレール、2018年の王者ジョージ・ラッセル、2位のランド・ノリス、3位のアレクサンダー・アルボン、2019年のニコラス・ラフィフィ(2位)。そして、今年は王者ミック・シューマッハ、角田裕毅(3位)、ニキータ・マゼピン(5位)が3人がF1デビューを果たす。

昨年のFIA-F2で角田裕毅は3位だったが、王者ミック・シューマッハよりも評価は高く、マシントラブルがなければタイトルを獲得する可能性があったとの見方もある。また、ミック・シューマッハとニキータ・マゼピンがハースF1という競争力の低いチームからのデビューなのに対し、角田裕毅はミッドフィールドでの上位争いが予想されるアルファタウリ・ホンダF1からのデビューとなる。ポイント獲得という点では角田裕毅が最も可能性が高いルーキーだ。

また、将来レッドブル・レーシングに昇格する可能性という意味でも角田裕毅の注目度は高い。その意味では、2018年にザウバーでF1デビューを果たして2019年にフェラーリに昇格したシャルル・ルクレール、2018年にウィリアムズでF1デビューを果たして、将来のメルセデスF1のドライバー候補と目されているジョージ・ラッセルよりもデビュイヤーの注目度は上かもしれない。

そして、最もF1ファンが注目しているのはそのアグレッシブなドライビングだ。要所で思い切りよく相手を仕留めるオーバーテイクは秀逸であり、その一方でチャンスを狙ってタイヤを労わる能力も備えている。ドライビングスタイルという点でも、シャルル・ルクレールやジョージ・ラッセル、ミック・シューマッハといったF2王者よりも面白みがある。

角田裕毅が何戦目でF1初ポイントを獲得できるか、そして、メルセデス、レッドブル、マクラーレン、アストンマーティン、フェラーリ、さらにはフェルナンド・アロンソなどの強豪ドライバーが揃うなかで、日本人ドライバーとして小林可夢偉以来となる表彰台に手が届くのか。

注目の2021年F1世界選手権は今週末に開幕。第1戦F1バーレーンGPは3月27日(土)に予選、3月28日(日)に決勝を迎える。

2021年 第1戦 F1バーレーンGP

3月26日(金)フリー走行1回目20:30~21:30(現地時間 14:30~15:30)
 フリー走行2回目24:00~25:00(現地時間 18:00~19:00)
3月27日(土)フリー走行3回目21:00~22:00(現地時間 15:00~16:00)
 予選24:00~25:00(現地時間 18:00~19:00)
3月28日(日)決勝24:00~(現地時間 18:00~)

CS放送/フジテレビNEXT F1バーレーンGP 放送時間

【フリー走行1】3月26日(金)20:20~21:40
【フリー走行2】3月26日(金)23:50~25:10
【フリー走行3】3月27日(土)20:50~22:10
【予選】3月27日(土)23:50~26:00
【決勝】3月28日(日)23:20~27:00


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カテゴリー: F1 / F1ドライバー / ホンダF1 / 角田裕毅