2025年F1 カナダGP:知っておくべき統計・トリビア・洞察

フリー走行と予選セッションはすでに終了し、注目の決勝レースは本日6月15日(日)に予定されている。
マシンのセットアップやタイヤ選択、気まぐれな天候など、あらゆる要素が勝敗を分ける中、各チームがどのような戦略で挑むのかに注目が集まる。
重要な統計情報
■ 初開催年:1967年(モスポート)
■ サーキット全長:4.361km
■ ラップレコード:1分13秒078(バルテリ・ボッタス/メルセデス/2019年)
■ 最多ポールポジション獲得:ミハエル・シューマッハ、ルイス・ハミルトン(各6回)
■ 最多勝利:ミハエル・シューマッハ、ルイス・ハミルトン(各7勝)
■ 豆知識:カナダは2011年にF1史上最長のレースを開催。所要時間は4時間4分39秒だった
■ ポールポジションからターン1のブレーキングポイントまでの距離:186メートル
■ 2024年に記録されたオーバーテイク数:83回
■ セーフティカー出動確率:83%
■ バーチャルセーフティカー出動確率:50%
■ ピットストップによるタイムロス:18.4秒(2.5秒の停車時間を含む)

ドライバーの見解
元ルノーF1ドライバーのジョリオン・パーマーによると、「カナダは本当に走っていて気持ちのいいサーキットで、周回する中で独特の雰囲気が感じられる。木々がコース上に覆いかぶさるように茂っていて、公園のような雰囲気があり、ストリートサーキットのようにも感じるし、実際その性質を持っている」
「低速コーナーが多く、壁もかなり近い部分が多いが、素晴らしいレーシングトラックだ。多くのシケインがあり、そのすべてにしっかりとマシンを向けるためには良いフロントエンドが必要になる」
「そしてヘアピンは、最終シケインというオーバーテイクポイントに向けて勢いをつける場所だ。あるいは、ターン1への進入でチャンスをうかがうこともできるかもしれない。ターン1と2はかなり難しい。というのも、ターン1への進入は非常にスピードが速く、右にアークを描きながらブレーキングし、そのまま左へと勢いよく向かうからだ」
「ターン1の進入で何かミスをすると、すぐにラインを外してしまったり、ターン2に向けてコーナーをショートカットする形になってしまう。また、モントリオールでは特に寒い日にはタイヤのウォームアップがうまくいかないこともある」
過去5回のカナダGPポールポジション獲得者
■ 2024年:ジョージ・ラッセル(メルセデス)
■ 2023年:マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
■ 2022年:マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
■ 2019年:セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)
■ 2018年:セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)
過去5回のカナダGP優勝者
■ 2024年:マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
■ 2023年:マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
■ 2022年:マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
■ 2019年:ルイス・ハミルトン(メルセデス)
■ 2018年:セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)

タイヤと戦略の展望
ピレリの週末プレビューによれば、「今シーズン3度目となる最も柔らかいコンパウンドの組み合わせが採用される。つまり、イモラとモナコに続いて、C6が使用され、C5がミディアム、C4がハードとして登場する」
「これは昨年より1段階柔らかい選択となっており、2024年はC3、C4、C5が使用されていた。今回C6が導入されることで、チームとドライバーはイモラとモナコで得られたデータを最大限に活かすことができる」
「ジル・ヴィルヌーヴ・サーキットでは、タイヤにかかる横方向の力は中程度から低めで、縦方向の力はより強いものの、特に高いわけではない。これは強い減速の直後に鋭い加速が続くためだ」
「路面は非常にスムーズで摩耗も少なく、グランプリ週末以外はレースに使われることがない。金曜のフリー走行ではグレイニングが発生する可能性があるが、ラバーが乗っていくにしたがってそれは解消されていくだろう。ラップタイムは一日ごと、さらには各セッション中にも大きく向上していく」
「さらに、予測が難しく変わりやすい天候がレースをかき乱す要因となり得る。モントリオールでは気温の変動も常に注意すべきポイントとなっている」

直近の勢力図
第9戦スペインGP終了後、チャンピオンシップ上位の構図に大きな変化はなかったが、オスカー・ピアストリが今季5勝目を挙げ、合計186ポイントでリードを広げている。
マクラーレンのチームメイト、ランド・ノリスは10ポイント差の2位につけている。昨年のカナダGPでは2位表彰台に立ったノリスだが、今年はそれ以上を狙っているはずで、ウォーキング拠点のチーム内バトルが激化しつつある。
この2人はランキング3位のマックス・フェルスタッペンをわずかに引き離し始めている。フェルスタッペンはスペインでジョージ・ラッセルとの接触により10秒加算のペナルティを受け、元の5位から10位に降格。その結果、ピアストリとのポイント差は49に広がり、さらにフェルスタッペンは自動的なレース出場停止まであと1ポイントというペナルティポイント状況にもなっている。
ただし、フェルスタッペンはジル・ヴィルヌーヴでの相性は抜群で、過去3年連続で優勝している。果たして今回の週末で巻き返せるだろうか?
また、カナダで好成績を収めてきたのがメルセデスで、2024年はラッセルが3位、当時のチームメイトだったハミルトンがその後ろにつけた。今回も好条件を活かして、レッドブルやフェラーリとの争いに一歩前進したいところだ。
フェラーリはスペインでシャルル・ルクレールが表彰台を獲得したことでコンストラクターズランキング2位に浮上。一方でルイス・ハミルトンは三連戦を通して不満の残る内容だった。スクーデリアは今週末、どのような結果を残すだろうか?
中団では、バルセロナでの厳しいレースを経て、ウィリアムズがそのリーダーとしての地位を再確立したいと考えており、レーシングブルズはコンストラクターズ6位争いのなかで他チームとの接戦を演じている。
名場面
ロバート・クビサは、2007年のカナダGPでの恐ろしいクラッシュにより、次戦アメリカGPを欠場することになった。このアメリカGPでは、後に4度のF1世界王者となるセバスチャン・ベッテルがデビュー戦でポイントを獲得している。
しかし、クビサが再びモントリオールに戻ってきた翌年は、状況が一変した。彼は予選でフロントロウを獲得し、決勝ではルイス・ハミルトンとキミ・ライコネンによるピットレーンでの珍しい接触といった波乱をかいくぐり、見事優勝を飾った。
それは彼にとって唯一のF1優勝であり、BMWザウバーにとっても特別な勝利だった。2008年のタイトル争いでは後半戦で他チームの開発力に押されて失速したものの、彼とポーランドにとって忘れられない思い出となっている。
カテゴリー: F1 / F1カナダGP