2025年F1 カナダGP 分析:金曜日のデータが示す残りの週末の行方
ジョージ・ラッセルが2025年F1カナダGPの金曜フリー走行2回目(FP2)で最速タイムをマークし、今季初めてFP2のトップに立った。冷え込んだモントリオールのジル・ヴィルヌーヴ・サーキットはメルセデスにとって理想的なコンディションとなり、ラッセルはミディアムタイヤでペースを刻んだ。

一方、選手権をリードするマクラーレンは、今季で最も苦戦した金曜日となった可能性がある。

わずかなタイム差で上位につけてはいるものの、アップグレードの効果は限定的だった。週末を通してトップ争いにとどまり続けられるか、シルバーアローの真価が試される。

メルセデス、冷涼コンディションで本領発揮
金曜のモントリオールは晴天ながら冷え込んだ気候となり、メルセデスにとっては追い風となった。ジョージ・ラッセルはFP2でミディアムタイヤながら最速タイムをマークし、今季初のFP2トップに立った。理想ラップデータによれば、ミニセクターを全てまとめればさらに大きなアドバンテージを築けていた可能性もある。

カナダGP F1 理想ラップ

「非常にポジティブな1日だった」と語ったラッセルだが、「すべてを出し切った結果だ」とも付け加え、楽観はしていない様子。「現実的にならないといけない」と語り、週末が進むにつれてマクラーレンに後れを取る可能性を示唆した。

しかし昨年同地でポールを獲得したラッセルにとって、今回も再び前列争いに絡むチャンスは十分。実際のデータでもマクラーレンに対してストレートでやや優位に立ち、低速コーナーでは約0.2秒速かった。全体的なペースではマクラーレンに0.16秒遅れで3番手と評価されているが、近週で最も競争力のある仕上がりとなっている。

カナダGP F1 レースシミュレーション

マクラーレン、不調な一日も総合力で依然トップ
FP2でラッセルにわずか0.028秒差の2番手につけたランド・ノリスは、「今年最悪の金曜」と表現しながらも、全体的な手応えは悪くないと語った。ノリスは新型サスペンションジオメトリーをテストしており、これはブレーキング時のフィーリング向上を狙ったものだったが、「感触はほとんど変わらない」と振り返った。

それでもマクラーレンは依然として予選・決勝ともに強力なパッケージを維持しており、特に中速コーナーでは0.2秒のアドバンテージがあるとされている。ピアストリは従来の仕様のままで「限界付近では満足している」として変更を見送ったが、チームとしては安定した総合力を維持しており、依然“倒すべき存在”であることは変わらない。

カナダGP F1 予選シミュレーション1

レッドブル、スロースピードで強さを見せる
マックス・フェルスタッペンはスペインGPでの苦戦を引きずることなく、FP1ではすぐに上位に顔を出した。ただしFP2ではバランスが崩れ、フィーリングを失ったことでタイムが伸び悩んだ。それでも本人は落ち着いており、大きな不安は感じていない様子だった。

一方、チームメイトの角田裕毅は難しい一日を過ごしたが、「明日に向けて“何かしら”追加される予定がある」と前向きなコメント。チームのデータでは、レッドブルは低速コーナーで最速を記録し、1周ペースでポール争いに0.05秒差、決勝ペースでも0.06秒差と、今週末の勝利争いに加われるポジションにある。

カナダGP F1 予選シミュレーション2

フェラーリ、ルクレールのクラッシュで出遅れ
フェラーリにとっては厳しい初日となった。シャルル・ルクレールがFP1でクラッシュを喫し、シャシーの損傷が深刻だったためFP2は走行できず。チームメイトのルイス・ハミルトンもFP2で5番手ながら「特別いい日ではなかった」「このままだとQ3進出は難しいかもしれない」と振り返った。

データでは予選ペースは4番手、トップから0.29秒遅れと評価されており、決勝ペースも同じく0.29秒差であることから、上位3チームとの差は明確だ。

それでもルクレールは「クラッシュ前の感触は良好だった」と自信を崩しておらず、FP3でどこまで挽回できるかが注目される。マクラーレン、メルセデス、レッドブルに割って入るには、精度の高い走りが求められる。

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カテゴリー: F1 / F1カナダGP