2025年F1 イギリスGP:知っておくべき統計・トリビア・洞察

ここまでの週末では、フェルスタッペンが予選最終ラップで逆転ポールを獲得し、マクラーレン勢や地元のメルセデス勢も上位を狙える位置につけるなど、白熱の展開となっている。果たして、戦略と天候が入り乱れるシルバーストンで誰が勝利を手にするのか、注目が集まる。
■ 基本情報
初開催:1950年
サーキット全長:5.891km
ラップレコード:1分27秒097(マックス・フェルスタッペン/レッドブル/2020年)
最多ポールポジション:ルイス・ハミルトン(7回)
最多勝利:ルイス・ハミルトン(9勝)
豆知識:1950年5月13日、F1世界選手権最初のレースがここシルバーストンで開催された
ポールポジションからターン1ブレーキングポイントまでの距離:239メートル
2024年のオーバーテイク数:55回
セーフティカー出動確率:88%
バーチャル・セーフティカー出動確率:13%
ピットストップによるタイムロス:19.9秒(うち静止時間2.5秒を含む)

■ 元F1ドライバー、ジョリオン・パーマーのコース解説
「シルバーストンは多くのドライバーが好むサーキットで、世界最高クラスのコーナーを備えた高速で流れるようなセクションがある。Copse、Maggots、Beckettsでは、F1では珍しいほどのGフォースを体感できるんだ」
「Copseはランオフエリアこそあるけど、とにかくスピードが出るから、何か起これば軽傷で済むのは運が良い方だよ。そしてMaggotsからBeckettsの切り返しはとにかく楽しい」
「最後のBeckettsの出口できちんと減速し、Hangarストレートへ向けた加速を決めるのがカギになる。こうしたスウィーピングな部分はリズムを掴むのが大事なんだ。全体としてフロント左タイヤには大きな負荷がかかる。過去にはここでトラブルも起きている」
「Abbeyは全開だが、前の車に接近しているとレース中は限界に近くなる。オーバーテイクのチャンスも多く、今では“新しい”とは言えないけど、ターン3やターン6での飛び込みも可能だ」
「最も難しいのはBrooklandsかもしれない。大きなブレーキングゾーンで、ブレーキを引きずったままアペックスに入ってロックすることも多い。オーバーテイクの好機でありながら、ミスもしやすいポイントだよ」
■ 直近5年のポールポジション獲得者
2024年 – ジョージ・ラッセル(メルセデス)
2023年 – マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
2022年 – カルロス・サインツJr.(フェラーリ)
2021年 – マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
2020年 – ルイス・ハミルトン(メルセデス)
■ 直近5年の優勝者
2024年 – ルイス・ハミルトン(メルセデス)
2023年 – マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
2022年 – カルロス・サインツJr.(フェラーリ)
2021年 – ルイス・ハミルトン(メルセデス)
2020年 – ルイス・ハミルトン(メルセデス)

■ ピレリのタイヤ戦略展望
「今回のイベントではコンパウンドの選択に重要な変更が加えられている」とピレリは週末プレビューで述べている。「具体的には、ハードにC2、ミディアムにC3、ソフトにC4を選択しており、昨年より1段階ソフトな構成だ」
「これはFIA、F1、各チームと協議のうえ、戦略の幅を広げるための選択だ。昨年はC3がソフトタイヤだったが、雨の影響もあって終盤に数台が使用したのみだった」
「今年はC3がミディアムとして複数のフェーズで重要な役割を果たすだろう。1ストップ戦略を狙う場合はスティント管理が非常に重要になり、総合レースタイムは長くなることもある」
「さらに、タイヤ交換のタイムロスがそれほど長くない(約20.5秒)こと、そしてオーバーテイクが不可能ではないことも考慮に入れるべきだ」
また、路面状況についてはこう述べている。
「このサーキットは年間を通して二輪・四輪レースが多く開催されており、金曜のFP1から良好なグリップを提供する。アスファルトの摩耗性は中~低程度に分類される」
「夏真っ盛りの開催とはいえ、イギリスの天候は非常に変わりやすく、気温や風、突然の雨により、レースの流れが大きく変わることもある。昨年もまさにそうだった」

■ 注目の勢力図
前戦オーストリアではマクラーレンが圧倒的な速さを見せ、ランド・ノリスがオスカー・ピアストリを抑えて1-2フィニッシュを達成した。ドライバーズランキングではピアストリがノリスに15ポイント差をつけている。
カナダでの接触が記憶に新しい2人だが、レッドブルリンクではクリーンな戦いを展開。ホームレースとなるシルバーストンでも再び火花を散らすのか、それともピアストリが今季6勝目を挙げるのか注目だ。
一方、マックス・フェルスタッペンはオーストリアGPの1周目でメルセデスのキミ・アントネッリと接触しリタイア。タイトル争いでマクラーレン勢に大きく差をつけられる形となった。
そのフェルスタッペンにわずか9ポイント差まで迫っているのが、地元イギリス勢のジョージ・ラッセル。前戦はカナダで優勝しており、母国グランプリでの上位フィニッシュを狙っている。
そして2024年にこの地で感動的な優勝を飾ったルイス・ハミルトンも注目の一人。今年はフェラーリ移籍後初のホームGPとなる。オーストリアでは4位に終わったが、シルバーストンで“赤い跳ね馬”初表彰台を手にできるか。
そのほか、ウィリアムズはオーストリアでダブルリタイアを喫しており、巻き返しが求められる。チーム選手権では依然として5位を維持しているが、中団争いは接戦で、ポイントの積み重ねが重要となる。
■ 伝説の瞬間:2008年ハミルトン、初の母国優勝
今年のイギリスGPに先立ち、17年前の2008年にルイス・ハミルトンが母国で挙げた初優勝を振り返る。
この年の予選は難しいコンディションとなり、ハミルトンはフェラーリのキミ・ライコネン、レッドブルのマーク・ウェバー、そしてポールを獲得したチームメイトのヘイキ・コバライネンに次ぐ4番手に甘んじた。
だが、レース当日は濡れたグリッドからロケットスタートを決めてターン1で2番手に浮上。数周以内にはコバライネンとのバトルを制してトップに立った。
あとは“ハミルトン・ショー”の始まりだった。彼は雨が強まるなかでも巧みにマシンを操り、最終的には2位に1分以上の大差をつけて優勝。4位までを周回遅れにする圧倒的な勝利だった。
カテゴリー: F1 / F1イギリスGP