イギリスグランプリ シルバーストン・サーキット 2017年のF1世界選手権
フォーミュラ1 第10戦 F1イギリスGPが、7月14日(金)~7月16日(日)にシルバーストン・サーキットで行われる。

シルバーストンとF1は、その歩みを同じくしてきた。飛行場跡に設立されたシルバーストン・サーキットは、F1世界選手権の初年度となった1950年に開幕戦を開催。現在に至るまで、F1カレンダーの中でも中心的なグランプリとしての役割を担ってきた。

コースレイアウトは何度か変更されたものの、開設からの67年間、一貫して高速コースという特性は変わっておらず、F1マシンが全開で攻める姿を堪能できる。昨年のポールポジションラップは、平均時速237.521㎞。レギュレーション変更のあった今年はさらなる速度向上が見込まれる。

イギリスGPを冠して開催されたサーキットは、シルバーストンのほかに、エイントリーとブランズハッチの3つ。このほか、英国では1993年にヨーロッパGPとしてドニントンパークで開催されたことがある。

また、シルバーストンではF1以外にも多くのレースが行われ、四輪のWEC(世界耐久選手権)や二輪のMotoGPのほか、多数の英国内選手権も開催。英国にとってはモータースポーツの聖地とも呼べるサーキットだ。

ファンの雰囲気は最高で、F1への情熱と深い知識でグランプリを盛り上げる。また、グランドスタンドから漂うバーベキューの香りも、独特の雰囲気を醸し出すのに一役買っている。

数々の逸話を残してきたシルバーストンでのグランプリだが、1973年のレースは衝撃的だった。1周目を終えてホームストレートに戻ってきたジョディ・シェクターがピットウォールにクラッシュし、そこへ後続の7台が次々に衝突。レースは赤旗中断となった。幸い、深刻なケガを負った選手はおらず、再開されたレースではマクラーレンのピーター・レブソンが優勝した。

また、1977年にマクラーレンのジェームズ・ハントがポール・トゥ・ウインを飾ったレースでは、ジル・ヴィルヌーヴが同じくマクラーレンのサードドライバーとしてF1にデビュー。結果は11位だったものの、4位に入ったチームメートのヨッヘン・マスと予選ではわずか0.2秒差となるなど、印象的な走りを披露し、後の躍進につなげました。

これらの勝利を含め、マクラーレンはこれまでイギリスGPで14勝。直近では2008年に勝利を挙げている。

ちなみに、イギリスGPで優勝を果たした同国出身ドライバーは11名。スターリング・モス、ピーター・コリンズ、ジム・クラーク、ジャッキー・スチュワート、ジェームズ・ハント、ジョン・ワトソン、ナイジェル・マンセル、デーモン・ヒル、ジョニー・ハーバート、デビッド・クルサード、ルイス・ハミルトンと、そうそうたる顔ぶれが並んでいる。

【動画】 F1イギリスGP シルバーストン サーキット解説


シルバーストン・サーキット

全長5.891㎞ ※カレンダー中4番目の長さ。
2016ポールポジションポールポジション:ルイス・ハミルトン 1分29秒287
2016ファステストラップファステストラップ:ニコ・ロズベルグ 1分35秒548(44周目)
ラップレコード1分33秒401 (マーク・ウェバー、2013年)
エンジニアリング高速サーキットであるため、ダウンフォースが増した2017年型マシンがその力を発揮しやすいコースと言える。これまでスロットルを戻したり、ブレーキを踏んだりしていたコーナーでも全開で抜けられる箇所が増える見込みで、エンジニアはコーナリングのグリップとストレートスピードの両立に苦心する。
ドライビングターン10から13にかけての“マゴッツ”、“ベケッツ”と呼ばれる高速S字区間でのスピードに、今季型マシンの特性が最もよく現れる。シミュレーションではどちらもブレーキを使うことなく抜けられるため、ドライバーは全開でのコーナリングにチャレンジするが、速度を保つためにはセンチ単位でのライン取りが必要となる。 また、今季型マシンは加速の反応がよいため、ターン18の“クラブ”コーナーの出口のように、3速ギアで抜けて加速しながら脱出するコーナーでは、アクセルを踏みすぎるとマシンがリアを失ってスピンを喫することになる。
マシンセットアップ中程度のダウンフォース。ストレートが多いためダウンフォースをつけすぎるとタイムが伸びないは、“クラブ”、“アリーナ(ターン4)”、“ルフィールド(ターン7)”といった低速コーナーでのパフォーマンスも考慮してセッティングしなければならない。
グリップレベル高い。路面のアスファルトは使い慣らされ、摩耗しており、そこに今季型マシンのダウンフォースが組み合わされて高いグリップレベルとなる。
タイヤスーパーソフト(赤)、ソフト(黄)、ミディアム(白) ※この組み合わせは今季3回目
ターン1までの距離420m(カレンダー中最長はバルセロナの730m)
最長ストレート780m ※ターン15へ向かう直線
トップスピード時速320㎞(ターン15への進入時)
スロットル全開率66% ※カレンダー中最大はモンツァの75%
ブレーキ負荷中程度。大きなブレーキングポイントは3カ所。ターン3の“ヴィレッジ”、ターン6の“ブルックランズ”、ターン16の“ヴェイル”。ドライバーにとっては、ストレートでブレーキが冷えた状態から“ヴェイル”のような低速コーナーへ突入するのが難しい。ここではブレーキング前に45秒間もブレーキを使わない時間がある。
燃費1周あたり2.4㎏を消費。カレンダー中でも燃費に厳しいコース。
ERSの影響中程度。高速コースながら一周の距離が長いが、3つのブレーキングポイントでエネルギー回生ができる。
ギアチェンジ48回/1ラップ、2496回/レース

F1 イギリスGP

周回数66ラップ
スタート時間現地時間13時(日本時間21時)
グリッドポールポジションはコース左側で、走行ライン上にあるため路面もクリア。ポールシッターにとっては、ターン1へ向かうレーシングライン上なので、ドライコンディションであれば全開で抜けていける。
DRSゾーンは2つ。ターン6の“ブルックランズ”へ向かうストレートと、ターン15の“ストウ”へ向かうストレート。
ピットストップ今季はダウンフォースが増してコーナリング時の設置力が向上しているため、タイヤへの負荷も大きい。昨年のレースではピレリがミディアムタイヤでの上限を28周と推奨し、完走17台中14台が2ストップ作戦を採用。今季はより硬いコンパウンドが導入されており、20周目前後のピットインによる1ストップ作戦も可能かもしれない。
ピットレーン489m。1回のストップでのタイムロスは約23秒と比較的長め。
セーフティカー出動率は60%。ランオフエリアが広くコース上にマシンが止まることはあまりないが、高速での接触によるデブリが発生しやすい。
注目ポイントターン9の“コプス”。入り口はかなりタイトなのに出口は開けており、コーナーの頂点でかなりのスピードが出る。今季のハイダウンフォースマシンでは、8速に到達し時速約300㎞以上で抜けていくと見られている。
見どころ技術的な観点では、シルバーストンの風が重要なポイントになる。もともと飛行場だったため丘の頂上に位置しているが、今季型のマシンは横風の影響に弱い。
関連:2017 F1イギリスGP テレビ放送時間&タイムスケジュール

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カテゴリー: F1 / F1イギリスGP