ホンダ新体制に試練 デ・ラ・ロサが語るアストンマーティンF1 想定外の出遅れ

チーム代表代行を務めるペドロ・デ・ラ・ロサは「我々は明らかに遅れている」と認め、ランス・ストロールも最大で4秒差と語った。なぜこの“理想的な布陣”が、ここまで苦戦しているのか。
出発点の遅れと“空白の18か月”
ニューウェイは2025年3月にアストンマーティンへ加入した。空力開発はライバルより4か月遅れた状態からのスタートだったとされる。
さらにホンダ側も特殊な事情を抱えていた。2021年末で一度F1から撤退し、その後レッドブル向けに凍結仕様のパワーユニットを供給・維持してきたが、本格的な研究開発体制は縮小されていた。2026年の新レギュレーション参戦決定後、事実上“ゼロから再始動”する形となった。
つまり、車体側もパワーユニット側も、プロジェクト初動が遅れた状態で2026年規則に挑むことになった。
パワーユニットと車体の密接な関係
2026年F1では、300kWのMGU-Kがほぼエンジン出力の半分を担う。回生、デプロイメント、エネルギー管理は従来以上に車体と一体化している。
AMR26はバーレーンで前後輪ともロックアップが目立ち、挙動も不安定だった。ブレーキング時の回生効率はバッテリー充電に直結するため、シャシーとパワーユニットの最適化が不十分であれば、パフォーマンス全体に波及する。
現状では、出力不足、重量過多、効率面の課題が複合的に絡み合っているとみられている。ホンダ製パワーユニット、アストンマーティン初設計のギアボックス、メカニカルプラットフォームのどこに主因があるのかは、まだ外部からは判別できない。
デ・ラ・ロサは次のように述べた。
「我々は明らかに後れを取っている。3秒、4秒、5秒と言われているが、あれだけ失っていれば全体パッケージの問題だ。どこか一箇所ではない。すでに問題点は特定しており、シルバーストンで対処している」
「一晩で解決する問題ではない。多くの作業と最適化が必要だ。しかし我々にはチームがあり、リソースがあり、人材がいる」

走行不足という二重のハンデ
AMR26はバルセロナでの合流が遅れ、信頼性問題にも見舞われた。その結果、理解度でもライバルより遅れている。
バーレーン3日目までにようやく代表的なロングランを実施し、C3タイヤでの本格的な走行も限定的だった。現段階ではセットアップ最適化に踏み込む以前に、基本的なデータ収集を優先している状況だ。
デ・ラ・ロサは次のように語った。
「我々は急勾配の学習曲線の途中にいる。まだパッケージと新レギュレーションを理解している段階だ。他チームのようにセットアップ変更で細部を探る段階ではない」
ニューウェイ体制の本質的な価値
それでもチーム内部では悲観一色ではないという。
「エイドリアンのリーダーシップは疑いようがない」とデ・ラ・ロサは語る。
「困難な一日の後、技術ブリーフィングで彼が話すと、全員が何をすべきかを正確に理解する。以前のように各自が異なる理論を持つ状態ではない。すべてのリソースが一方向に向かっている」
2026年規則は長期サイクルの起点であり、初期段階での後れが致命的になるとは限らない。ただし、電動化比率50%時代では、パワーユニットと車体の統合完成度が即座にラップタイムへ反映される。
現時点のアストンマーティンは、その統合がまだ粗い段階にある。だが、問題点を把握していると公言する以上、今後数戦でどこまで差を縮められるかが、ニューウェイ体制の真価を測る最初の試金石となる。
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