アストンマーティンF1が進化を証明 アップグレードで復調の兆し

今週末のイモラでは、ピレリが2025年仕様として新たに導入したC6コンパウンド(これまでのC5よりさらにソフト)が登場。これは市街地サーキットでのレース展開を活性化させ、1ストップ戦略に終始しがちなレースを回避するために開発されたタイヤだ。
ピレリがこの最も柔らかいタイヤを伝統的にオーバーテイクが難しいイモラに投入したのは大胆な判断だったが、すべてのチームがその性能に自信を持っていたわけではなかった。予選での持ちの悪さを懸念し、慎重な姿勢をとるチームも多かった。
金曜のプラクティスでは好感触だったC6だが、予選でペースが上がると、週末の“ミディアム”に指定されているC5タイヤの方が1周の速さ・安定性ともに優れている可能性が浮上。ピレリ自身もこの現象を完全には理解できておらず、C6が最終セクターで著しく劣化している兆候もデータ上では確認できていない。
そんな中でアストンマーティンは中庸を取る戦略を選び、決勝用のハードタイヤを1セット削ってでもミディアムを1セット多く温存する構成に変更。アロンソとストロールはともにミディアムタイヤでQ3進出を果たし、さらにもう1セット使える状況を活かして5番手・6番手という好成績を手にした。
オートスポーツ誌の取材によれば、今回のタイヤ選択は週末前から既に決定していたもので、マイク・クラック率いる現場エンジニアリング部門の方針によって予選まで貫かれたという。
アロンソは予選後、こう語っている。
「この週末ずっと、ミディアムとソフトのどちらが速いのかはっきりしない状況だった。だから僕たちはどのセッションでもソフトとミディアムを1セットずつ使って、すべての可能性をカバーしたんだ」
「みんなは明日用にハードを2セット持ってるけど、僕たちは1セットだけ。その分リスクを取った。イモラはオーバーテイクが難しいサーキットだから、土曜の予選を優先した。うまくいくかどうかは明日わかるさ」
アストンマーティンは今回、マシンに大規模なアップグレードも投入している。金曜にはまずストロール車に新パッケージが搭載され、土曜にはアロンソのAMR25にも反映。チーム内では「ポジティブな一歩」と評価されている。
ただし、今回の予選結果がタイヤによる“マジック”なのか、それともアップグレードによる本物の進化なのかは、まだ判然としない。

アロンソ自身はアップグレードの効果を強調する。
「今回のタイムは、正直アップグレードだけで出せるレベルよりも少し楽観的かもしれないけど、少なくとも開幕戦の状況とは違う。マイアミではQ1落ちだったからね。チームにとっては本当に良い一日だったと思う」
「決勝のペースはP5相当とは思ってない。何ポジションか失う覚悟はできてるけど、できるだけ最小限にしたい」
アロンソはまた、アストンマーティンに加入して以来続いている苦しい18ヶ月について問われると、2026年のレギュレーション変更に期待を寄せる姿勢を崩さなかった。
「もちろんポイントが取れる位置にいるのは嬉しい。でも、僕が本当に望んでいるのは来年のオーストラリアで勝つことだ」
「これまではアップグレードを持ち込んでも、それを理解できず、期待したラップタイムを出せないことが多かった。でも今回のアップグレードは、確実に前進だったと言える」
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