F1アメリカGP フリー走行1回目 展開:ヒュルケンベルグが2番手に食い込む
2025年F1第19戦アメリカGPのフリー走行1回目がオースティンのサーキット・オブ・ジ・アメリカズで行われ、ランド・ノリス(マクラーレン)がトップタイムを記録した。

午前中の1時間に限られるスプリント週末のプラクティスは、各チームにとって極めて重要な走行機会。気温30度、路面温度45度という過酷な“ヒートハザード”環境の中、各ドライバーが限られた時間でセットアップを詰めた。

このセッションではマクラーレン勢が圧倒的なスピードを披露し、ザウバーのニコ・ヒュルケンベルグがその間に割り込む形で上位を掴んだ。フェラーリ勢はトラブルに見舞われ、波乱含みの滑り出しとなった。

序盤:ハードタイヤで様子見、気温上昇とともにグリップ不足
セッション序盤、ほとんどのチームがハードタイヤ(C1)で走行を開始。マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が真っ先にコースインし、1分35秒426で暫定トップに立った。

ルイス・ハミルトン(フェラーリ)は序盤で1分34秒857をマークしてトップを奪うが、路面温度が急上昇したことで「スロットルが滑る」と無線で報告。コーナーでのトラクション不足に苦しんだ。

アルピーヌ勢のエステバン・オコンはブレーキが100%作動したままになるトラブルに遭遇し、グラベルにコースオフ。早々にピットへ戻った。

中盤:サインツにギアボックストラブル、赤旗で一時中断
セッション中盤、ウィリアムズのカルロス・サインツJr.にギアボックストラブルが発生。「プッシュするな」と無線で制止され、そのまま走行を終えた。

直後にターン19でストロールのマシンからカーボン片が飛び散り、赤旗中断に。マーシャルがコースを清掃し、12時55分に再開された。

再開後はアルボンが先頭でコースイン。各チームはスプリント予選に備え、2セットのミディアムを確保するためにタイヤ選択を慎重に進めた。

カルロス・サインツJr.

終盤:ソフトタイヤ投入で一気に順位変動
残り15分を切ると、各チームがついにソフトタイヤを投入。まずメルセデスのジョージ・ラッセルがミディアムで1分34秒675を記録して首位に立ち、続いてフェルスタッペンがソフトで上回る。

さらにフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)が0.009秒差でトップに浮上し、スタンドから歓声が上がった。彼のAMR25は全コーナーで安定した姿勢を見せ、アップデートの効果を示した。

だが、ラスト5分でノリスが圧巻の1分33秒294を叩き出しトップに返り咲き。昨年のポールタイムからわずか1秒差のハイペースだった。

結果:ノリス首位、ピアストリ3番手 ザウバーが2番手に割り込む
最終的な順位はノリス、ヒュルケンベルグ、ピアストリの順。マクラーレンはソフトタイヤで確実にトップ争いを支配し、ヒュルケンベルグが0.255秒差で食い込む健闘を見せた。

フェルスタッペンは5番手に留まり、角田裕毅(レッドブル)は1分34秒531で13番手。レースシミュレーションを優先した走りだった。

アロンソは4番手で上々の仕上がりを示し、アストンマーティンは「科学式」をモチーフにした特別カラーのマシンで存在感を放った。

注目:ルクレールが走行中断、フェラーリF1に信頼性問題
ルクレールは終盤に「オイルの匂いがする」と報告し、ピットへ戻るとマシンを降りてそのままセッションを終えた。サインツもギアボックスの問題で早々にリタイアしており、フェラーリF1は1回きりのプラクティスで貴重なデータを失う結果となった。

ハミルトンは8番手で終えたものの、「ペースは悪くない」と語り、午後のスプリント予選へ向けて前向きな姿勢を示した。

COTA初走行組も奮闘、ハースはアップグレードを試験
地元ハースF1チームは2台に異なる仕様を投入。エステバン・オコンのマシンに新しい空力アップデートを施し、オリバー・ベアマンが旧仕様で比較走行を実施した。結果はオコン11番手、ベアマン10番手と上々。

また、ガブリエル・ボルトレト(ザウバー)はアメリカ初走行ながら12番手と好位置につけ、フランコ・コラピント(アルピーヌ)とアイザック・ハジャー(レーシングブルズ)も積極的に周回を重ねた。

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カテゴリー: F1 / F1アメリカGP