角田裕毅 F1サンパウロGP“沈黙の無線” 「P3と聞いた瞬間に声が消えた」

この週末はレッドブルの来季ラインアップ争いにおける重要レースと位置付けられていたが、結果はQ1敗退×2、決勝は2度の10秒ペナルティ、さらにラジオでも“印象的な沈黙”が残された。
そしてレッドブル・レーシングのマックス・フェルスタッペンがピットレーンスタートからまさかの3位表彰台を掴んだことで、両者の明暗は決定的なものとなった。
角田裕毅が“P3”を聞いて絶句 Inside Track Podcastで明かされた無線
ポッドキャスト『Inside Track』に出演したジャーナリストのマーク・マジェンディは、レース後の角田裕毅の無線について次のように語った。
「ひどい瞬間があった。レース後の無線で、角田が『マックスは何位?』と聞いたんだ。
『P3だよ』と言われた瞬間、完全に沈黙した。本当に“陰鬱”な沈黙だった。あの瞬間は彼に同情したよ」
角田裕毅は今、グリッド上で最も大きなプレッシャーを背負うドライバーのひとりだ。レッドブルは来季のフェルスタッペンのチームメイトを未定としており、昇格候補の筆頭はレーシングブルズで結果を出し続けているアイザック・ハジャーと見られている。
サンパウロGPは逆転アピールの重要な場面だったが、残念ながらそうはならなかった。
Q1敗退×2、最下位フィニッシュ ペナルティも重なり“最悪の週末”に
角田裕毅はスプリント予選・本予選ともにQ1で敗退し、決勝でもランス・ストロールとの接触により10秒ペナルティを受けた。
マジェンディはその点についてもこう指摘している。
「ストロールとの件は、10秒ペナルティでも仕方がなかったと思う。あれは明らかだった」
さらに、決勝中の10秒ストップペナルティ実行時にもトラブルが発生。ローラン・メキース代表の説明によれば、ペナルティ執行中に“誰かが車に触れた”ため、角田裕毅は再度ピットに入り直す羽目になった。
「本来なら10秒間は絶対に触れてはいけない。昔ながらのストップウォッチで“10秒経過”を数える場面だ。その前に誰かが触れてしまったため、やり直しになった」
その結果、角田裕毅はランド・ノリスから1分10秒差という厳しいフィニッシュに。レーシングブルズ勢がポイントを獲得した一方で、自身は最後尾という構図になり、評価には大きな影響を残した。

ヘルムート・マルコ「ラップタイムは悪くなかったが…」
レッドブルのヘルムート・マルコはコラムで角田裕毅について次のように記している。
「角田裕毅のマシンはRB21のセットアップ学習のため、元の仕様のまま走らせていた。角田裕毅は速かった。しかし10秒ペナルティが2度あってはどうにもならない。
レース中のラップタイム自体は悪くなかったが、プラクティスでは良くなかった」
レッドブルが角田裕毅に課していた役割――フェルスタッペンのセットアップ比較対象――はこなしたものの、結果として評価にはつながらなかった格好だ。
2026年シート争いは「残り3戦」 角田裕毅は残留へ正念場
角田裕毅には、2026年の去就を左右する残り3戦が残されている。
しかし、ブラジルでの“無線の沈黙”、最下位、そしてレーシングブルズがポイント圏で戦った事実は、非常に重い。
現時点で2026年の未確定シートはレッドブル系3枠のみ。
その中で結果を出しているのはリアム・ローソンとアイザック・ハジャーであり、角田裕毅は苦しい立場に置かれている。
フェルスタッペンP3、角田裕毅は沈黙——“象徴的な瞬間”が示す立場の厳しさ
この日の無線の沈黙は、サンパウロGPでの角田裕毅の置かれた状況を象徴するシーンとなった。
フェルスタッペンはピットレーンスタートから表彰台。レーシングブルズの2台はポイント獲得。その一方で、角田裕毅はQ1敗退×2と最下位、ペナルティの連続。
レッドブルが判断を下すまで残された時間は少なく、求められるのは“結果”のみだ。角田裕毅にとって、次の3戦はキャリアの分岐点と言っていいだろう。
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