FIAがガスリー降格裁定を再審理 アルピーヌF1の異議申し立てを受理
ピエール・ガスリー(アルピーヌ)は2026年F1モナコGPで3位フィニッシュを果たしたものの、ピットレーン速度違反による2件の5秒加算ペナルティによって表彰台を失った。しかし、その結果を覆そうとするアルピーヌの挑戦が新たな局面を迎えている。

FIAは、アルピーヌが提出した「再審査請求(Right of Review)」を受理し、6月11日(木)にオンライン形式で審理を実施することを正式に発表した。

アルピーヌが2件のペナルティ取り消しを要求
レース後、アルピーヌはガスリーに科された2件の5秒加算ペナルティについて再審査請求を提出した。

FIAが公開した文書によると、対象となるのはモナコGP決勝中に科された2件のピットレーン速度違反の裁定で、審理は中欧時間13時(日本時間20時)からオンラインで行われる。

ただし、アルピーヌが直面する最大のハードルは、ペナルティが誤っていたことを証明することではない。

FIA国際競技規則第14条に基づき、まずは当初の裁定時点では利用できなかった「重要かつ関連性のある新たな証拠」が存在することをスチュワードに認めさせる必要がある。

今回の審理は2段階で進められる。

まず第1段階で、アルピーヌは新証拠の存在を示す資料や主張を提出する。

スチュワードがそれを認めた場合のみ、第2段階に進み、ペナルティそのものの妥当性が再検討される。

0.1km/hと0.4km/h超過で表彰台喪失
ガスリーはモナコGPで9番グリッドから追い上げ、キャリア最高レベルのレースのひとつと評した走りで3位チェッカーを受けた。

しかし、レース中に60km/h制限のピットレーンで平均速度を0.1km/h、さらに別の場面で0.4km/h超過したとして、それぞれ5秒加算ペナルティを科された。

合計10秒が加算された結果、ガスリーは3位から7位へ降格した。

これによりアイザック・ハジャーが繰り上がりで初表彰台を獲得し、オスカー・ピアストリ、リアム・ローソン、アービッド・リンドブラッドも順位を上げた。

ガスリーが3位を取り戻すためには、事実上2件のペナルティがともに取り消される必要がある。

モナコ特有の速度計測方式が争点か
今回のモナコGPでは異例ともいえる数のピットレーン速度違反が発生した。

FIAは瞬間速度ではなく、ピットレーンのファストレーン区間に埋め込まれた計測ループとトランスポンダーを用いて平均速度を算出している。

モナコのピットレーン入口はカーブ形状となっており、一部のドライバーはライン取りによって計測区間の走行距離が短くなった。その結果、制限速度付近で走行していても平均速度が上昇し、違反判定を受けたとみられている。

レース後にはFIAも計測システムを再確認したが、異常は発見されなかったと説明している。

アルピーヌF1チーム(ピエール・ガスリー) モナコGP

過去にも成功例はあるが高い壁
再審査請求が成功するケースはF1では非常に稀だ。

多くの場合、チームは「新たな証拠」の存在を認めさせることができず、審理の第1段階で却下される。

ただし前例がないわけではない。

昨年のザントフォールトでは、カルロス・サインツJr.とリアム・ローソンの接触に対するペナルティについて、ウィリアムズがレース中には利用できなかった車載映像を提出し、裁定が覆されたケースがあった。

現時点でアルピーヌがどのような証拠を提出するのかは明らかになっていない。

ガスリー「不公平な理由で奪われた」
レース後のガスリーは強い失望を隠さなかった。

「今の僕をこれ以上傷つけられるものはないと思う」

「こういう瞬間のために10年間必死に努力してきたんだ」

「今日はすべてを正しくやった。応援してくれたファンの前で表彰台に立てたはずだった」

「こういう瞬間が、不公平な理由で僕たちから奪われるべきではない」

木曜日の審理では、まずアルピーヌが提示する証拠が「重要かつ関連性のある新事実」と認められるかが焦点となる。そのハードルを越えられなければ、ガスリーの表彰台復活の可能性はその時点で消滅することになる。

このエントリーをはてなブックマークに追加

カテゴリー: F1 / アルピーヌF1チーム / F1モナコGP / FIA(国際自動車連盟) / ピエール・ガスリー