アルピーヌF1 ドゥーハン1周目DNFで解雇検討…イモラでコラピントと交代か

ドゥーハンのマイアミGPは、1周目のターン1でレーシングブルズのリアム・ローソンと接触したことで早々に終了。イン側でブレーキを早めに踏んだ後、ローソンを避けようとして縁石を乗り越えた際にアクシデントが発生した。
シーズン序盤、ドゥーハンは基礎的な速さを示す場面もあったが、レースごとにミスやアクシデントが続いており、ここまで完走した週末はわずかにとどまっている。開幕戦オーストラリアでは雨中の1周目にクラッシュ、中国ではスプリントと決勝の両方でペナルティを受け、日本では金曜フリー走行で大クラッシュ。そして今回のマイアミでも再び1周目でリタイアとなった。
特に今回のマイアミGPでは、初めてチームメイトのピエール・ガスリーを予選で上回った直後だっただけに、早期のリタイアは痛恨。これでドゥーハンは、2025年の開幕6戦を終えて未だにノーポイント。未得点ドライバーは他に、フェルナンド・アロンソ、ローソン、ガブリエル・ボルトレトの3人だけとなっている。
こうした状況を受け、アルピーヌは以前から契約していたリザーブドライバー、フランコ・コラピントの起用を検討している。元ウィリアムズ所属のアルゼンチン人ドライバーであるコラピントは、フラビオ・ブリアトーレ(チーム・エグゼクティブ・アドバイザー)のお気に入りとも言われており、当初からレースシート起用の噂が絶えなかった。
ドゥーハンの起用は昨年8月に正式決定したが、今季序盤の不安定なパフォーマンスを受け、チーム内でも対応を巡って意見が割れている模様。当初は「夏まで様子を見る」とされていたが、マイアミGP終了時点で状況は変化。次戦イモラを皮切りに3連戦が続くヨーロッパラウンドを前に、早期の決断が下される可能性があるという。
チーム代表のオリバー・オークスは日曜夜のメディア対応を行わず、アルピーヌも憶測にはコメントしない姿勢を貫いている。ただし、週末のFIA記者会見では「現時点ではジャックとピエールが我々のドライバー」と前置きしつつ、「常に評価はしている」と含みを持たせた発言をしていた。

一方のドゥーハンは、今後に向けて気持ちを切り替えており、イギリス・エンストンのチーム本拠地で次戦に向けた準備に入る予定だと明かしている。
「今週末は初めてチームメイトを予選で上回ることができて、マシンにも自信が持てました。小さな成果ではありますが、それを次に繋げていきたいと思います。まだあまり走れていない感じもしますが、今はとにかく次に集中する時です」と、ドゥーハンは語った。
一方で、コラピントの後押しも続いている。昨年ウィリアムズで数戦に出場し、未経験ながらもポイントを獲得したことに加え、南米系スポンサーの支援も大きな強みだ。2月にはアルピーヌとラテンアメリカ最大のEC企業メルカドリブレがスポンサー契約を締結。さらに、アルゼンチン国営石油会社YPFは、現在アルピーヌの燃料パートナーであるイタリアのEniと提携しており、実質的な関与も指摘されている。
YPFのCEO、オラシオ・マリン氏はアルゼンチン国内のテレビインタビュー中に「コラピントがイモラで走る」と発言し注目を集めたが、後にこれは「個人的な希望だった」と釈明している。
これに対しオークス代表も、「あれはスポンサー個人の見解にすぎない。我々はそうした“ノイズ”には影響されない」と冷静な姿勢を示した上で、「ジャックがいい仕事を続ける必要があるのは確かだが、憶測が飛び交うのは当然のこと」とも語っている。
アルピーヌが果たしてドゥーハンに更なる猶予を与えるのか、それともコラピントにチャンスを与えるのか――。決断の時は刻一刻と迫っている。
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