角田裕毅 F1メキシコGPで12秒ピットストップ:未放送映像でDAZNが解説
レッドブル・レーシングの角田裕毅が、メキシコGP決勝で12秒のロングピットストップを喫した舞台裏を、DAZNのF1中継陣が詳細に分析した。放送には映らなかったその瞬間には、チームスタッフの間で“予想外のトラブル”が起きていた。

角田裕毅は第1スティント終盤、通常なら約2秒で完了するタイヤ交換に12秒を要し、貴重なポイント圏を逃す結果となった。このロスがどのように発生したのか──DAZNの実況と解説陣は、映像を交えてトラブルの一部始終を振り返った。

原因はリアジャッキの噛み合わせ不良
解説によると、ピットイン直後、リアを持ち上げるためのメインジャッキが正常に噛み合わず、マシンが十分に持ち上がらない状態に陥っていた。チームはすぐにサブの“セカンドジャッキ”を準備して対応を試みたが、こちらも角度がずれてしまい、正確に車体を支えられなかったという。

映像には、リアジャッキが外れてマシンが下がり、フロアが地面に接触している様子も確認できる。ジャッキを差し込み直す際、黄色のマーキングがついたアームが斜めに入ってしまい、噛み合わないまま上げようとしたことで再び落下したとみられる。

「リアのライト部分に差し込む黄色の印がついたジャッキがうまく噛み合っていない。斜めに入って上がりかけたけど落ちてしまった」と解説者は説明。さらに「ジャッキが下がりきっていないように見える」と指摘し、機材トラブルの可能性を示唆した。

タイヤ交換もバラバラに、貴重な数秒をロス
ジャッキトラブルの影響で、通常なら同時に行われる4輪交換のタイミングがずれ、右側が外れても左側はまだ交換できないという混乱が発生。最終的に再度ジャッキアップし、タイヤを装着するまでに合計12秒を要した。

「本来なら2秒で終わる作業が、今回は斜めに入ったことで全部のリズムが崩れた」と解説者は苦言を呈し、「現場でこのアングルが撮れていたのは貴重。放送に出なかったのが残念」とコメントした。

角田裕毅はメキシコGPで堅実なペースを維持していたが、このピットロスで大きく後退。最終的に11位でレースを終え、ポイント獲得を逃した。


続きはDAZNの本編で
https://www.dazn.com/ja-JP/home/8l3rdxa7nl8y5zre3kad3pnq7

角田裕毅のコメント
「今日は普通に走ればポイントは簡単に取れたと思います。おそらく6位か7位は可能だったと思うんですけど、自分ではどうにもできないところでポイントを失ってしまいました。正直、自分のパフォーマンス自体はかなり良かったと思いますし、やれることは全部やったつもりです。だからすごくフラストレーションが溜まりますね」

「最初のスティントではマックスからそんなに離れていませんでしたし、ほぼ同じようなペースで走れていたと思います。彼はP3でフィニッシュしましたけど、僕もそこまで遠くはなかったんです。だから本当に残念です。ピットストップのタイミングと作業で全部が崩れてしまいました。でも、今日の走り自体はすごく良かったと思いますし、レッドブルでこれまでに見せた中で一番のロングランペースだったと思います」

ピット作業の一瞬が勝敗を左右、メキシコで見せた成熟した走り

今回の12秒ピットストップは、単なるチームミスにとどまらず、F1における“機材信頼性と精密動作”の重要性を改めて浮き彫りにした。リアジャッキの噛み合わせ不良というメカニカルな要因が、完璧なレース運びを崩す典型的な例となった。角田裕毅はこの不運の中でも冷静さを失わず、トップ勢と遜色ないロングランペースを記録。技術的トラブルがなければ確実にポイント圏内で戦えていた内容だった。

チームとしてはピットワークの再発防止と、メカニック間の連携再構築が急務となる。一方で、角田裕毅の集中力と安定感はレッドブル昇格後も確実に進化しており、単に「結果に恵まれなかった週末」では片付けられない成長を示した。残り数戦、こうした不運を跳ね返すパフォーマンスが求められる。

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カテゴリー: F1 / 角田裕毅 / レッドブル・レーシング / F1メキシコGP