角田裕毅 レッドブルF1が離脱発表を遅らせる理由:賞金73億円の重圧

現在、チームはフェラーリやメルセデスとコンストラクターズ2位を争っており、発表のタイミングひとつがシーズンの賞金配分を左右しかねない状況だ。
一方で、角田裕毅の2026年シートは依然として未定。昇格候補のアイザック・ハジャーやリアム・ローソンとの競争が続く中、レッドブル内部ではローラン・メキースとヘルムート・マルコの間で意見が割れている。発表を遅らせる“沈黙の理由”は、政治と賞金の綱引きにほかならない。
角田裕毅、2026年シートをかけた戦いの中で不透明な立場に
角田裕毅は現在、2025年シーズン終了後にレッドブルとの契約が切れる予定で、来季のF1残留が危ぶまれている。2025年初頭、リアム・ローソンとのシート交換でレッドブル本隊に昇格したものの、十分な結果を残せず苦戦が続いている。
レッドブル内では、角田裕毅の後任としてレーシングブルズのルーキー、アイザック・ハジャーを昇格させる案が有力視されているが、一方でリアム・ローソンの残留やジュニアドライバーのアービッド・リンドブラッドの昇格も検討対象となっており、チームの判断を複雑にしている。
ヘルムート・マルコは「メキシコGP後に2026年のドライバーを決定する」としていたが、チーム代表のローラン・メキースは「アブダビGP前後まで判断を遅らせる」と明言。両者の意見が割れていることも、決断の遅れに拍車をかけている。
発表遅延の裏にある「賞金73億円」の現実
英紙『Blick』によれば、レッドブルは2026年のレーシングブルズにアービッド・リンドブラッドを昇格させる予備契約をすでに結んでいるという。したがって、残る1席を巡って角田裕毅とリアム・ローソンが直接競う形になっている。
しかし、レッドブルとレーシングブルズの双方は、どちらか一方の離脱を早期に発表することがコンストラクターズ選手権に悪影響を及ぼすと懸念している。特に、レッドブルは現在フェラーリに10点、メルセデスに9点差と、2位争いの真っただ中にある。
もし角田裕毅の離脱を公式に認めた場合、ドライバーの士気低下やチーム内の不協和が発生し、残り4戦でのポイント獲得に支障が出る可能性がある。レッドブルが2位を逃せば、賞金でおよそ3800万ポンド(約73億円)を失う計算だ。
コンストラクターズ順位(第20戦メキシコ終了時):
1位 マクラーレン 713点
2位 フェラーリ 356点
3位 メルセデス 355点
4位 レッドブル 346点
5位 ウィリアムズ 111点
6位 レーシングブルズ 72点
7位 アストンマーティン 69点
8位 ハースF1チーム 62点
9位 ザウバー 60点
10位 アルピーヌ 20点
この構図の中で、角田裕毅はここまで25ポイントを獲得。第3戦からレッドブルに加わって以来、13戦中わずか3戦でしかポイントを挙げられていない。それでも、残りのブラジル、ラスベガス、カタール、アブダビの4戦で少しでもポイントを稼げば、チームの2位獲得に大きく貢献できる可能性がある。

マルコとメキースの対立、そして角田裕毅の命運
関係者によると、ヘルムート・マルコとローラン・メキースの間では角田裕毅の処遇をめぐって意見が対立しており、メキースは依然として角田裕毅の残留を支持している。一方でマルコはアイザック・ハジャーの昇格を推しており、最終判断はアブダビGP後に持ち越される見通しだ。
リアム・ローソンもレーシングブルズで堅実な走りを続けており、アービッド・リンドブラッド昇格の確定により、2人の間で1席を争う直接対決となる。メキースはメキシコGP後、「シーズンの終盤にかけてすべての選択肢を慎重に検討する」と語っており、角田裕毅のパフォーマンス次第では局面が変わる可能性もある。
分析:角田裕毅に残された「最後の4戦」
角田裕毅にとって、この4戦はキャリアを左右するサバイバル戦だ。ローラン・メキースの支援を受けながらも、マックス・フェルスタッペンが孤軍奮闘するレッドブルの中で存在感を示す必要がある。
角田裕毅が少しでもポイントを積み重ねることで、チームにとっては数千万ポンドの価値が生まれる。レッドブルがこのタイミングで去就発表を控えるのは、単なる政治判断ではなく、現実的なタイトル資金戦略でもある。
アブダビまでに角田裕毅がどれだけ巻き返せるかが、彼自身のF1キャリアと、レッドブルの2位フィニッシュをも左右することになる。
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