角田裕毅はミック・シューマッハより劣る? 叔父ラルフがF1現役勢を批判
元F1ドライバーのラルフ・シューマッハは、甥であるミック・シューマッハのF1復帰が遠のいている現状に強い不満を示し、現役ドライバー3人──角田裕毅(レッドブル・レーシング)、リアム・ローソン(レーシングブルズ)、フランコ・コラピント(アルピーヌ)──を「ミックよりも明らかに劣る」と名指しで批判した。

ミック・シューマッハは2022年限りでハースF1チームを離脱後、2023年はメルセデスのリザーブドライバーを務め、アルピーヌのWECプログラムにも関わってきた。

最近では2025年にインディカーでテストを実施し高評価を得たものの、2026年のF1シート争いでは名前が挙がっていない。

ラルフ・シューマッハはポッドキャスト番組『Backstage Boxengasse』の中でこう語った。

「正直に言えば、あのテストのやり方は冗談のようだった。午前と午後ではル・キャステレの路面コンディションが2〜3秒速いほど違う。午前にジャック(・ドゥーハン)が走り、午後にミックが走った。公平な比較ではない」

「でも、今のF1ドライバーたちのキャリアを見れば、ミックは確実に角田より上だと思う」

「フランツ・トストも今なら同意すると思う。リアム・ローソンもそうだし、フランコ・コラピントも悪くないスタートを切ったが、今のところ伸び悩んでいる。3人ともミックより明らかに劣っている」

「もちろん、また“叔父だからそう言うんだ”と言われるだろうけど、チーム代表たちは彼を起用しなかったことで間違いを犯したと思う」

ミック・シューマッハのF1キャリアと評価
ミック・シューマッハは2021年にハースからF1デビューし、翌2022年にはオーストリアGPで6位入賞を果たすなど成長を見せた。しかし、当時のチーム代表ギュンター・シュタイナーは頻発するクラッシュやメディア報道を問題視し、2023年にはニコ・ヒュルケンベルグを起用。ミックはシートを失った。

その後、メルセデスやアルピーヌのサポートを受けながらも、F1復帰への扉は開かれていない。2026年のグリッドもすでに多くのシートが確定しており、現実的な復帰の見込みはほとんどない。

角田裕毅と比較されたミック・シューマッハ

ラルフの“怒り”が映すシューマッハ家の現実
ラルフ・シューマッハの発言は、甥を擁護する親族の立場による感情的なものと捉えられる一方で、F1における“実力主義の限界”をも映し出している。

角田裕毅、ローソン、コラピントはいずれも現役ドライバーとして育成プログラムの支援を受けており、政治的にも強固な立場を築いている。対してミックは“シューマッハ家の名前”を背負いながらも、スポンサー支援やチーム内での後ろ盾を欠いており、結果的に居場所を失った。

また、ラルフが角田裕毅を比較対象に挙げたことは、レッドブル体制への不満の表れでもある。彼の発言は、かつての「シューマッハの血統」が持っていた影響力が今では通用しないことを示唆しており、時代の移り変わりを象徴するコメントとも言える。

2026年の現実:F1シートは飽和状態
2026年シーズンのF1グリッドは、すでにフェラーリ、マクラーレン、ウィリアムズ、アストンマーティン、レッドブル勢などのラインアップが確定。
残る空席はメルセデスとレーシングブルズ、そしてアルピーヌの1枠のみだが、いずれも若手育成や契約中のドライバーを優先しており、ミックが再びF1に戻る可能性は極めて低い。

ラルフの発言は、ミックへの情と苛立ちが入り混じったものだが、F1の構造的な変化──政治、資金、ブランド──が“血統”すら凌駕する時代の現実を物語っている。

Source: F1 Oversteer

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カテゴリー: F1 / 角田裕毅 / レッドブル・レーシング / ラルフ・シューマッハ / ミック・シューマッハ