F1イギリスGP予選 角田裕毅にホーナー代表が「フェルスタッペン並みの走り」

角田裕毅はQ3に進めず12番手で予選を終えたが、オリバー・ベアマンのグリッド降格により、決勝は11番グリッドからスタートする。
フェルスタッペンが予想外のポールを獲得したことで、ふたりのレッドブルドライバーのパフォーマンス差がまたも強調されることになった。フェルスタッペンがマシンのパフォーマンスを最大限引き出して結果を出す一方で、角田裕毅は順位の面では遠く及ばなかった。
ただ、今週末の角田裕毅の走りには、1ラップのパフォーマンス面で小さな、しかし確かな進歩が見られた。そしてホーナーは、結果からは想像しにくいほどの称賛を贈っている。
フェルスタッペンのポールラップを「素晴らしいパフォーマンス」と評したホーナーは、こう語った。
「角田も同じくらい素晴らしいパフォーマンスを見せてくれたが、不運に見舞われた。ラップの最初にパワートラブルが起きて、多少妨げられた。我々としてもその原因を調べる必要があるが、彼は確かにマシンの中で何かを見つけてくれた」
角田裕毅も「Q2のラップはとてもクリーンだった」と振り返ったが、「ラップの最初でパワーを失ってしまった」と明かした。最終コーナー手前でエンジンモードを“リチャージ”から“フルデプロイメント”に切り替え、プッシュラップに入ろうとした際、「いつも得られるはずのパワーがなかった」と話した。
「ターン3まででコンマ1秒くらいロスしてしまって、他にも加速時のブーストがいくつか効いていなかった」
「そう考えるとラップ自体はかなり良かったと思いますし、今回はタイム差が本当に僅かだったので、Q3には進めていた可能性が高かったと思います。本当に悔しいです」

実際、角田裕毅のラップにはQ3進出の可能性が十分にあり、そうなっていれば5月のマイアミ以来となるQ3進出で、過去5戦で2度しかQ2に進んでいなかった流れの中では小さな快挙だった。
角田裕毅はフェルスタッペンに比べればまだ速さでは劣っているが、その差は縮まりつつある。FP3では0.5秒差だったが、Q1では0.4秒差まで詰めており、トラブルがなければQ2ではさらに差を詰められていた可能性もある。しかも、シルバーストンは今季屈指のロングラップであり、フェルスタッペンが新型フロアを使用していた一方で、角田裕毅は旧型仕様のままだったことを考えると、チームは静かにその進歩を評価している。
Q2のラップでは第2セクターの終盤までフェルスタッペンとほぼ互角のタイムを記録していた。マゴッツ~ベケッツの中間までは同等で、ターン3までにパワートラブルで失ったタイムを取り戻す走りを見せた。
ただし、ベケッツからチャペル、そしてハンガーストレートにかけてはやや遅れを取っており、それは角田裕毅が語る「ブースト不足」による可能性もあるが、ドライビングスタイルの差もあった。角田裕毅は8速を維持したままだったが、フェルスタッペンは7速までギアを落とし、回頭性を活かしてスムーズに旋回していた。
また、ストウでの立ち上がりでもフェルスタッペンは角田裕毅より0.1秒速く、最終セクターでは角田裕毅が0.2秒をロスした。これは左コーナーへの進入でスピードを乗せすぎて、左右の複合コーナーで最低速度が落ちたことが影響していたと見られる。ただし、立ち上がり自体は悪くなかった。
フェルスタッペンと同等の走りだったかといえば、明らかにそうではない。ふたりの間には依然として差があり、ホーナーの評価はやや誇張されたものだ。ただ、角田裕毅の走りに光明が見えてきたことは確かだ。

「今までで一番クリーンな週末だったと感じています。週末の流れや自信の持ち方など、すべてが良い方向に向かっていましたし、予選でもマシンの感触がとても良かったです」
「毎回、大事なところで何かしらトラブルが起きるのが本当に悔しいです」
Q3進出はならなかったが、チームとしては日曜の決勝でポイントを狙えると見ている。もしそれが実現すれば、5月のイモラ以来となる4戦ぶりの入賞となる。ただし、オーストリアGPのような内容では厳しい。あのレースでは角田裕毅の走りは荒く、タイヤマネジメントにも苦しんでいた。
角田裕毅は「少なくともP18スタートじゃないのは助かります」と笑い、「最後にポイントを取ったのがいつだったか覚えていませんが、チームを喜ばせるためにも結果を出したいです」と語った。
ただし、オーストリアでタイヤが「溶けていた」と感じ、「ペース差が大きすぎた」理由については、まだ明確には分かっていない。
「まだ完全には分かっていない部分があります。だから明日のレースも簡単ではないと思います」
「それでも、いくつか進歩はありました。FP2のあと、レースで何を改善すればいいか分かりましたし、楽観的な気持ちは持っていますが、まだ全体像が見えているわけではありません」
「同時に、まだ細かい部分で足りないものがあると感じています。マシンにもこれからもっと引き出せるものがあるはずなので、今後のレースでどうなるか楽しみにしています」
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