WRC ラリー・スペイン | トヨタのタナックがドライバー王者に輝く
2019年FIA世界ラリー選手権(WRC)第13戦ラリー・スペインの最終日デイ3が10月27日(日)にスペイン北東部のサロウを中心に行われ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのオィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ組(ヤリスWRC 8号車)が総合2位でフィニッシュ。ドライバーズおよびコ・ドライバーズ・タイトルを獲得した。
また、ヤリ-マティ・ラトバラ/ミーカ・アンティラ組(10号車)は総合5位で完走し、チームに貴重なマニュファクチャラーポイントをもたらした。なお、デイ2でデイリタイアとなったクリス・ミーク/セブ・マーシャル組(5号車) は、再出走を果たし総合29位でラリーを終えた。
ラリー・スペインの競技最終日デイ3は、サービスパークが置かれるサロウの北側エリアで2本のターマック(舗装路)ステージを各2回走行。4本計74.14kmのSSで競われた。
デイ2で総合2位のライバルと3.5秒差の総合3位につけたタナックは、3本のステージを走行した時点で差を5.8秒に広げられた。しかし、ボーナスの選手権ポイントがかかる最終SSの「パワーステージ」でベストタイムを記録。2番手タイムの選手に3.6秒差をつける圧巻の走りで総合2位に浮上すると共に、ボーナスの5ポイントを獲得し、最終戦ラリー・オーストラリアを待たずしてドライバーズタイトルを決定した。タナックとヤルヴェオヤにとっては初めてのWRCタイトルとなり、彼らはエストニア人初のWRCチャンピオンとなった。WRCのドライバーズタイトルは2004年から2012年にかけてセバスチャン・ローブが、2013年から2018年にかけてセバスチャン・オジエが獲得していたが、久々に新しいワールドチャンピオンが誕生した。また、トヨタのドライバーが世界王者となるのは、1994年以来で通算5回目となる。
ラトバラは、総合4位の選手とのタイム差をステージごとに縮め、最終的には6.3秒差まで迫ったが逆転には至らず。それでもマニュファクチャラーポイントの獲得により、チームはマニュファクチャラーズタイトル防衛の望みを最終戦ラリー・オーストラリアに繋いだ。デイ2で総合3位につけながらもクラッシュでデイリタイアとなったミークは、ラリー2規定に基づきデイ3で再出走。総合29位でラリーを終えた。なお、今回がヤリスWRCでの2度目のWRC出場となる、TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラムの勝田貴元/ダニエル・バリット組は、初めてWRカーで挑んだスペインの道で健闘。最終日も4本のターマックステージを堅実に走り切った。デイ2のメカニカルトラブルにより最終結果は総合39位に留まったが、結果以上に充実した内容のチャレンジとなりまった。
トミ・マキネン(チーム代表)
歴史的な快挙です。我々のチームから新たなる世界チャンピオンが誕生したのです。チームの全員がオィットとマルティンと共に、シーズンを通してハードワークを続けてきましたが、素晴らしい結果によってその努力が報われました。この週末、オィットには大きなプレッシャーがかかっていました。それがどのようなものなのか、同じような経験をした私には分かりますが、一般的にはなかなか理解されないものです。タイトル獲得のためにパワーステージでオィットが見せた走りは、本当に素晴らしいものでした。また、彼が2位に入ったことはマニュファクチャラー選手権争いにおいても助けになります。オーストラリアではまだ逆転の可能性が残っていますので、全力で戦いに臨みます。
オィット・タナック (ヤリスWRC 8号車)
今の気持ちを言葉にすることは簡単ではありません。この週末に感じたプレッシャーは、これまでとは違うレベルでした。世界チャンピオンになることは、自分の人生の目標でした。ミスをすることは許されず、しかしタイトルを決めるためには良い結果が必要だったので、とても大きなプレッシャーを感じましたし、スタート直後はいつものように走れませんでした。しかし、最終的にはリラックスすることができましたし、普段通りに運転できるようになりました。今朝はクルマのフィーリングが良く、いいリズムで走れました。しかし、それでもダニ・ソルド選手の方が常に少しだけ速かったので、パワーステージで必要なポイントを獲得するのは難しいように思えました。それでも全力で攻めたことが、結果的に報われました。これまで、いくつもの試練を乗り越えてきたので、ついにタイトルを獲得できて本当に嬉しく思います。素晴らしい仕事で我々を支えてくれたチームに感謝します。
ヤリ-マティ・ラトバラ (ヤリスWRC 10号車)
この週末の自分の走りには満足しています。一貫性のある走りができましたし、ミスもしませんでした。また、パフォーマンスも全体的に見れば高いレベルにあったと思います。ラリー開始直後は少し自信を持てなかったので、この結果には満足するべきですし、チームにマニュファクチャラーポイントをもたらせて良かったと思います。今日は、もっとハードにプッシュすれば、総合4位も可能だったかもしれませんが、それはマニュファクチャラー選手権争いにおいてはあまり意味がないことでしたし、最終戦ラリー・オーストラリアまで逆転の可能性を繋ぐことが、今日は何よりも重要でした。
クリス・ミーク (ヤリスWRC 5号車)
今日は、良いリズムを取り戻すことができました。ヤリスWRCはターマックで本当に速く、今朝は再び良いフィーリングで走れました。パワーステージでは、オィットのタイトル獲得を確実にするため、ペースを落とす必要がありました。彼のボーナスポイント獲得にとって、マイナスとなるようなことは避けなければなりませんでした。オーストラリアには、マニュファクチャラー選手権を勝ち取るために挑み、自分のベストを尽くして走ります。
ラリー・スペインの結果
1 ティエリー・ヌービル/ニコラス・ジルソー (ヒュンダイ i20クーペ WRC) 3h07m39.6s
2 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (トヨタ ヤリス WRC) +17.2s
3 ダニ・ソルド/カルロス・デル・バリオ (ヒュンダイ i20 クーペ WRC) +17.6s
4 セバスチャン・ローブ/ダニエル・エレナ (ヒュンダイ i20 クーペ WRC) +53.9s
5 ヤリ-マティ・ラトバラ/ミーカ・アンティラ (トヨタ ヤリス WRC) +1m00.2s
6 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (フォード フィエスタ WRC) +1m14.2s
7 テーム・スニネン/ヤルモ・レーティネン (フォード フィエスタ WRC) +1m47.6s
8 セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア(シトロエン C3 WRC) +4m20.5s
9 マッズ・オストベルグ/トシュテン・エリクソン (シトロエン C3 R5) +8m24.6
10 エリック・カミリ/ベンジャミン・ベイラス (シトロエン C3 R5) +8m47.2s
29 クリス・ミーク/セブ・マーシャル (トヨタ ヤリス WRC) +42m20.0s
トヨタのクルマでWRCドライバーズタイトルを獲得した選手
1990: カルロス・サインツ (セリカ GT-Four ST165)
1992: カルロス・サインツ (セリカ ターボ 4WD ST185)
1993: ユハ・カンクネン (セリカ ターボ 4WD ST185)
1994: ディディエ・オリオール (セリカ ターボ 4WD ST185)
2019: オィット・タナック(ヤリス WRC)
次回のイベント情報
WRC次戦は、11月14日(木)から17日(日)にかけて、オーストラリア東海岸のコフスハーバーを中心に開催される、シーズン最終戦ラリー・オーストラリア。オーストラリアのステージは、狭くツイスティな森林地帯の道と、高速で流れるような田舎道が混ざるバリエーション豊かなグラベルロードが特徴。ドライコンディションとなった場合、路面は滑りやすいルーズグラベルに覆われ早い出走順のドライバーが不利となる。また、木々に囲まれた森林ステージではクルマが巻き上げるダストがなかなか収まらないことも多く、特に太陽が低い位置にある時間帯は斜光がダストで乱反射し、十分な視界が得られない状態で走らなければならない。
カテゴリー: F1 / トヨタ / WRC (世界ラリー選手権)
また、ヤリ-マティ・ラトバラ/ミーカ・アンティラ組(10号車)は総合5位で完走し、チームに貴重なマニュファクチャラーポイントをもたらした。なお、デイ2でデイリタイアとなったクリス・ミーク/セブ・マーシャル組(5号車) は、再出走を果たし総合29位でラリーを終えた。
ラリー・スペインの競技最終日デイ3は、サービスパークが置かれるサロウの北側エリアで2本のターマック(舗装路)ステージを各2回走行。4本計74.14kmのSSで競われた。
デイ2で総合2位のライバルと3.5秒差の総合3位につけたタナックは、3本のステージを走行した時点で差を5.8秒に広げられた。しかし、ボーナスの選手権ポイントがかかる最終SSの「パワーステージ」でベストタイムを記録。2番手タイムの選手に3.6秒差をつける圧巻の走りで総合2位に浮上すると共に、ボーナスの5ポイントを獲得し、最終戦ラリー・オーストラリアを待たずしてドライバーズタイトルを決定した。タナックとヤルヴェオヤにとっては初めてのWRCタイトルとなり、彼らはエストニア人初のWRCチャンピオンとなった。WRCのドライバーズタイトルは2004年から2012年にかけてセバスチャン・ローブが、2013年から2018年にかけてセバスチャン・オジエが獲得していたが、久々に新しいワールドチャンピオンが誕生した。また、トヨタのドライバーが世界王者となるのは、1994年以来で通算5回目となる。
ラトバラは、総合4位の選手とのタイム差をステージごとに縮め、最終的には6.3秒差まで迫ったが逆転には至らず。それでもマニュファクチャラーポイントの獲得により、チームはマニュファクチャラーズタイトル防衛の望みを最終戦ラリー・オーストラリアに繋いだ。デイ2で総合3位につけながらもクラッシュでデイリタイアとなったミークは、ラリー2規定に基づきデイ3で再出走。総合29位でラリーを終えた。なお、今回がヤリスWRCでの2度目のWRC出場となる、TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラムの勝田貴元/ダニエル・バリット組は、初めてWRカーで挑んだスペインの道で健闘。最終日も4本のターマックステージを堅実に走り切った。デイ2のメカニカルトラブルにより最終結果は総合39位に留まったが、結果以上に充実した内容のチャレンジとなりまった。
トミ・マキネン(チーム代表)
歴史的な快挙です。我々のチームから新たなる世界チャンピオンが誕生したのです。チームの全員がオィットとマルティンと共に、シーズンを通してハードワークを続けてきましたが、素晴らしい結果によってその努力が報われました。この週末、オィットには大きなプレッシャーがかかっていました。それがどのようなものなのか、同じような経験をした私には分かりますが、一般的にはなかなか理解されないものです。タイトル獲得のためにパワーステージでオィットが見せた走りは、本当に素晴らしいものでした。また、彼が2位に入ったことはマニュファクチャラー選手権争いにおいても助けになります。オーストラリアではまだ逆転の可能性が残っていますので、全力で戦いに臨みます。
オィット・タナック (ヤリスWRC 8号車)
今の気持ちを言葉にすることは簡単ではありません。この週末に感じたプレッシャーは、これまでとは違うレベルでした。世界チャンピオンになることは、自分の人生の目標でした。ミスをすることは許されず、しかしタイトルを決めるためには良い結果が必要だったので、とても大きなプレッシャーを感じましたし、スタート直後はいつものように走れませんでした。しかし、最終的にはリラックスすることができましたし、普段通りに運転できるようになりました。今朝はクルマのフィーリングが良く、いいリズムで走れました。しかし、それでもダニ・ソルド選手の方が常に少しだけ速かったので、パワーステージで必要なポイントを獲得するのは難しいように思えました。それでも全力で攻めたことが、結果的に報われました。これまで、いくつもの試練を乗り越えてきたので、ついにタイトルを獲得できて本当に嬉しく思います。素晴らしい仕事で我々を支えてくれたチームに感謝します。
ヤリ-マティ・ラトバラ (ヤリスWRC 10号車)
この週末の自分の走りには満足しています。一貫性のある走りができましたし、ミスもしませんでした。また、パフォーマンスも全体的に見れば高いレベルにあったと思います。ラリー開始直後は少し自信を持てなかったので、この結果には満足するべきですし、チームにマニュファクチャラーポイントをもたらせて良かったと思います。今日は、もっとハードにプッシュすれば、総合4位も可能だったかもしれませんが、それはマニュファクチャラー選手権争いにおいてはあまり意味がないことでしたし、最終戦ラリー・オーストラリアまで逆転の可能性を繋ぐことが、今日は何よりも重要でした。
クリス・ミーク (ヤリスWRC 5号車)
今日は、良いリズムを取り戻すことができました。ヤリスWRCはターマックで本当に速く、今朝は再び良いフィーリングで走れました。パワーステージでは、オィットのタイトル獲得を確実にするため、ペースを落とす必要がありました。彼のボーナスポイント獲得にとって、マイナスとなるようなことは避けなければなりませんでした。オーストラリアには、マニュファクチャラー選手権を勝ち取るために挑み、自分のベストを尽くして走ります。
ラリー・スペインの結果
1 ティエリー・ヌービル/ニコラス・ジルソー (ヒュンダイ i20クーペ WRC) 3h07m39.6s
2 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (トヨタ ヤリス WRC) +17.2s
3 ダニ・ソルド/カルロス・デル・バリオ (ヒュンダイ i20 クーペ WRC) +17.6s
4 セバスチャン・ローブ/ダニエル・エレナ (ヒュンダイ i20 クーペ WRC) +53.9s
5 ヤリ-マティ・ラトバラ/ミーカ・アンティラ (トヨタ ヤリス WRC) +1m00.2s
6 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (フォード フィエスタ WRC) +1m14.2s
7 テーム・スニネン/ヤルモ・レーティネン (フォード フィエスタ WRC) +1m47.6s
8 セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア(シトロエン C3 WRC) +4m20.5s
9 マッズ・オストベルグ/トシュテン・エリクソン (シトロエン C3 R5) +8m24.6
10 エリック・カミリ/ベンジャミン・ベイラス (シトロエン C3 R5) +8m47.2s
29 クリス・ミーク/セブ・マーシャル (トヨタ ヤリス WRC) +42m20.0s
トヨタのクルマでWRCドライバーズタイトルを獲得した選手
1990: カルロス・サインツ (セリカ GT-Four ST165)
1992: カルロス・サインツ (セリカ ターボ 4WD ST185)
1993: ユハ・カンクネン (セリカ ターボ 4WD ST185)
1994: ディディエ・オリオール (セリカ ターボ 4WD ST185)
2019: オィット・タナック(ヤリス WRC)
次回のイベント情報
WRC次戦は、11月14日(木)から17日(日)にかけて、オーストラリア東海岸のコフスハーバーを中心に開催される、シーズン最終戦ラリー・オーストラリア。オーストラリアのステージは、狭くツイスティな森林地帯の道と、高速で流れるような田舎道が混ざるバリエーション豊かなグラベルロードが特徴。ドライコンディションとなった場合、路面は滑りやすいルーズグラベルに覆われ早い出走順のドライバーが不利となる。また、木々に囲まれた森林ステージではクルマが巻き上げるダストがなかなか収まらないことも多く、特に太陽が低い位置にある時間帯は斜光がダストで乱反射し、十分な視界が得られない状態で走らなければならない。
カテゴリー: F1 / トヨタ / WRC (世界ラリー選手権)