トヨタ WRC
3月11日(土)、2017年FIA世界ラリー選手権(WRC)第3戦ラリー・メキシコの競技3日目デイ3がレオンを中心に行われ、TOYOTA GAZOO Racing WRTのヤリ-マティ・ラトバラ/ミーカ・アンティラ組(ヤリスWRC #10号車)は、前日よりもふたつ順位を上げ総合6位に浮上した。

また、ユホ・ハンニネン/カイ・リンドストローム組(ヤリスWRC #11号車)は、ラトバラとわずか0.3秒差の総合7位で長い1日を走りきった。

ラリー・メキシコの競技3日目デイ3は、サービスパークが置かれるレオンの周辺で9本、計157.57kmのSSが行われた。前日のデイ2は気温が高かったため、ヤリスWRCを含む多くのクルマのエンジンに温度上昇の問題が発生した。TOYOTA GAZOO Racing WRTのエンジニアは問題の原因を探り、デイ3に向けてエンジンのマッピングを変更するなど入念な対策を実施した。その結果ヤリスWRCは2台とも大きな問題を発生することなくデイ3を走行。午後のステージでは降雨を予想してソフトタイヤを選択したが、雨は降らずクルマ本来のパフォーマンスを完全に発揮させることができなかった。また、ラトバラはSS11の終盤コーナリングラインが膨らみ、タイヤが岩に当たりパンクをしたが大事には至らず。前日の8位から6位にポジションを上げた。前日総合4位のハンニネンは、体調を崩しながらも着実な走りでラトバラと0.3秒差の7位につけ、TOYOTA GAZOO Racing WRT は2台揃っての完走、そしてポイント獲得という目標に向かって大きく前進した。

ラリー・メキシコでは毎年、「暑さ」と「薄い空気」が大きな問題となる。ラリーの中心となるレオンの気温は3月でも30度前後に到達。エンジンと、ブレーキに特に厳しいラリーとして知られている。今年からWRカーのレギュレーションが変更され、エンジンの出力が従来よりも大幅に上がったため、冷却はさらに厳しくなった。また、メキシコはWRCの中でもっとも標高が高いエリアが舞台となり、SSの最高地点は2,700mを超える。高地では空気中の酸素量が減るため、エンジンは20~25%程度のパワーダウンを余儀なくされる。エンジンエンジニアにとって、メキシコはもっとも難しく、そして挑戦のしがいがあるラリーなのである。

明日の最終日デイ4は、サービスパークが置かれるレオンの東側エリアで2本のSSが行われる。SSの合計距離は54.9kmと短いが、最終ステージのSS19は、上位タイムを記録した選手に対しボーナスポイントが与えられる、パワーステージとなる。

トミ・マキネン(チーム代表)
チームスタッフの素晴らしい働きにより、昨日発生したエンジン温度上昇の問題は解決されました。しかし、今日はタイヤ選択とパンクによりやや遅れをとってしまいました。ヤリ-マティとミーカは彼らができる中で最善を尽くして戦い、ユホは体調不良にも関わらずよく頑張ったと思います。明日はラリー最終日となりますが、2台揃って完走し、ドライバーズポイントとマニュファクチャラーズポイントの両方を獲得する事が我々の目標です。すべての状況を考えると、我々の今日までの戦いには満足しています。

ヤリ-マティ・ラトバラ(ヤリスWRC#10号車)
昨日発生したエンジン温度上昇の問題をエンジニアとメカニックが解決してくれたおかげで、今日は1日を通してクルマの調子が良く、昨日よりもエンジンのパワーを上げて走ることができました。ただし、タイヤの選択については正解ではありませんでした。午後は雨が降ると予想してソフトタイヤを選んだのですが、結局雨は降らず、タイヤが路面に対して柔らかすぎたため、摩耗が進んでしまったのが残念でした。明日の最終日は現在の順位を守り、パワーステージでも良い走りをしてなるべく多くのポイントを獲得したいと思います。

ユホ・ハンニネン(ヤリスWRC#11号車)
ヤリ-マティと同じように、私も午後のステージではソフトタイヤを選び摩耗に苦労しました。また、どれだけ走りに影響したのかは分かりませんが体調も優れず、走行中はまだ良かったのですが、SSをフィニッシュしてクルマを止めると具合が悪くなってしまいました。ただし、チームのサポートにより午後はだいぶ回復しました。ヤリスWRCは、エンジニアとメカニックの努力により、今日は1日を通して問題なく走ることができ、走行距離を増やすことができました。多くのデータが蓄積されたことで、今後は同じようなコンディションに対して、より正しく対処することができるでしょう。

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カテゴリー: F1 / トヨタ