トヨタにとって今年のル・マン24時間レースは“絶対に負けられない戦い”
トヨタにとって2018年のル・マン24時間レースは“絶対に負けられない戦い”となる。
トヨタにとって今年のル・マン24時間レースは20回目、2012年にWECに復帰してからは7回目の挑戦となる。トップを走行しつつも、残り5分で中嶋一貴の「ノーパワー、ノーパワー」の声が空しく響いた2016年、信頼性トラブルで後方に沈んだ昨年。
だが、悲願の初勝利を目指す今年、トヨタが参戦するLMP1クラスに昨年まで戦ったライバルメーカーの姿はない。昨年、しのぎを削ったポルシェは2015年からル・マン24時間レースを3連覇して昨年末でFIA 世界耐久選手権から撤退。ル・マン24時間レースで13度の勝利を挙げたアウディも2016年で撤退している。
2018年のル・マン24時間レースでは、LMP1クラスにマニュファクチャラーとして参戦するのはトヨタだけとなる。
代わってLMP1クラスにはハイブリッド車両のトヨタ以外にプライベーターチームのノンハイブリッドの車両8台がエントリーしている。ノンハイブリッド車両は、トヨタよりも45kg軽い車重とより大きな燃料タンク容量が許されており、より高いパワーを発生することが出来るように性能調整が加えられており、パフォーマンス的にもノンハイブリッド勢は優れたトップスピードを示している
しかし、それでもトヨタの優位は歴然。開幕戦スパ・フランコルシャン6時間レースでは、トヨタの2台は3位のレベリオン・レーシングに2周差をつけて1-2フィニッシュを達成。ル・マン24時間レースでもその差は変わっておらず、予選で3番手につけたレベリオン・レーシングに対し、ポールポジションを獲得したトヨタ7号車は約4秒、2番手のトヨタ8号車も約2秒という差をつけてフロントローを独占。
プライベーターチームは、安価でコンストラクターからシャシーとカスタマーエンジンを購入している参戦しているのに対し、トヨタは今季はそれまで大幅に改良を施していないものの、ハイブリッドエンジンとシャシーの開発に莫大な予算を費やしてきた。ハイブリッドの販売台数で名を馳せている“世界のトヨタ”が負けるわけにはいかない。
さらに今年は世界3大レースでの“3冠”を目指して2度のF1ワールドチャンピオンであるフェルナンド・アロンソが参戦。また違った意味で世界中の注目が集まっており、無様な姿は見せられない。
レース、ことさら伝統のル・マン24時間レースに“当然”という言葉は存在しない。しかし、過去数年とは異なり、世界中がトヨタが“勝って当たり前”と見ているのは事実だろう。そのようなプレッシャーのなか、悲願の初勝利を上げるだけでなく、当然1-2フィニッシュでどのような勝ち方をするかが重要となる。
決勝前となる6月16日(土)の午前中に行われたウォームアップ走行でも予選2番手のトヨタ7号車(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ-マリア・ロペス)がトップタイムをマーク。2番手にもトヨタ8号車が続き、ノンハイブリッド勢に4秒の差をつけた。
トヨタにとって“絶対に負けられない”第86回ル・マン24時間レースは、6月16日(土)現地時間午後3時(日本時間20時)にスタートする。
トヨタ ドライバーコメント
小林可夢偉(7号車)
2台のトヨタが揃って最前列からル・マンのスタートを切れるというのは素晴らしいです。最高のアタックをやってのけた一貴にはおめでとうと言いたいです。チームの全員、エンジニア、メカニック、そしてドライバーが共に最強の車両を作るために準備を続けてきたことで、出だしから全くトラブル無くレースウィークを過ごしています。2日間ここまでこれだけ多くの周回をこなしてきましたので、決勝レースでも良い戦いが出来るよう期待しています。
マイク・コンウェイ(7号車)
一貴は本当によくやりましたし、8号車がポールポジションを獲得したことは、チーム全体にとって素晴らしい結果です。しかし、本当の仕事はこれから、24時間の決勝レースです。我々は決勝レースを盤石に戦える車両を作るために集中してきました。これまでのところは大変満足行く結果となっています。我々はこれまでの経験から、ル・マンの過酷さが身に染みていますが、戦う準備は出来ました。
ホセ・マリア・ロペス(7号車)
チームにとって最高の予選結果と、一貴のポールポジション獲得に祝福を送ります。チームの誰もがル・マンの準備のためにハードワークを続けてきました。この予選結果は小さなステップに過ぎませんが、明後日の決勝レースへの大きな励みになりますし、TS050 HYBRIDは決勝レースのコンディションでも必ず速さを発揮できると思います。レースは常に挑戦であり、何が起こるかわからないものですが、今は決勝レースが本当に楽しみです。
中嶋一貴(8号車)
今日の予選はあまり混雑のない状態で全力でアタックでき、思い通りのラップタイムを刻むことが出来たのでとても満足しています。サーキットの路面状態も昨日よりも良好で、気持ち良くアタック出来ました。車両のバランスもとても良くなったので、決勝レースに向けても大変期待できます。耐久レースにとって予選は1%程度の意味しかないかもしれませんが、ポールポジションはチームにとって喜ばしいものです。このレースはチーム全員がどれだけ長く厳しいものだということをわかっているので、既に気持ちは決勝レースに向けて切り替わっています。
セバスチャン・ブエミ(8号車)
ポールポジションは大変うれしいです。一貴のアタックはとても素晴らしく、チームに予選1-2をもたらしました。この瞬間は喜びを分かち合いたいと思いますが、最大目標であるル・マン優勝に向けてさらに集中しなければなりません。自分たちはこの週末のレースのために1年間準備をしてきたし、やるべきことはわかっています。
フェルナンド・アロンソ(8号車)
24時間レースにとって予選はそんなに重要でないことはわかっていても、今日のトヨタの1-2は本当に嬉しいです。一貴のラップタイムは素晴らしく、ポールポジションに相応しいものでした。ただ、レースはまだ何も始まっていないので、今日の結果はただの準備に過ぎないとも言えます。しかしながら我々のTS050 HYBRIDは最高の調子に仕上がり、レースに向けては準備万端です。
村田久武 (TOYOTA GAZOO Racing WECチーム代表)
いよいよル・マン24時間レースを迎え、身が引き締まる思いです。ここ数年間のレースを思い返し、『これまでの借りを返す』と言う強い思いで臨みます。一昨年、昨年と最後まで志を果たせずレースを終えることになってしまいましたが、今年こそ24時間をしっかり走りきるために、あらゆる緊急事態に備えて徹底的に訓練を重ねて参りました。過去に何度も経験したように、このレースは様々な突発のアクシデントに襲われます。不測の事態が発生した時こそチームの総合力で克服しなければなりません。準備は整ったと信じています。何があっても決して諦めず、表彰台の真ん中に立つために全力を尽くします。ファンの皆様の記憶に残るレースをご覧いただけるよう頑張ります。
関連:2018年 ル・マン24時間レース:テレビ放送&ライブ配信スケジュール
カテゴリー: F1 / トヨタ / ル・マン24時間レース
トヨタにとって今年のル・マン24時間レースは20回目、2012年にWECに復帰してからは7回目の挑戦となる。トップを走行しつつも、残り5分で中嶋一貴の「ノーパワー、ノーパワー」の声が空しく響いた2016年、信頼性トラブルで後方に沈んだ昨年。
だが、悲願の初勝利を目指す今年、トヨタが参戦するLMP1クラスに昨年まで戦ったライバルメーカーの姿はない。昨年、しのぎを削ったポルシェは2015年からル・マン24時間レースを3連覇して昨年末でFIA 世界耐久選手権から撤退。ル・マン24時間レースで13度の勝利を挙げたアウディも2016年で撤退している。
2018年のル・マン24時間レースでは、LMP1クラスにマニュファクチャラーとして参戦するのはトヨタだけとなる。
代わってLMP1クラスにはハイブリッド車両のトヨタ以外にプライベーターチームのノンハイブリッドの車両8台がエントリーしている。ノンハイブリッド車両は、トヨタよりも45kg軽い車重とより大きな燃料タンク容量が許されており、より高いパワーを発生することが出来るように性能調整が加えられており、パフォーマンス的にもノンハイブリッド勢は優れたトップスピードを示している
しかし、それでもトヨタの優位は歴然。開幕戦スパ・フランコルシャン6時間レースでは、トヨタの2台は3位のレベリオン・レーシングに2周差をつけて1-2フィニッシュを達成。ル・マン24時間レースでもその差は変わっておらず、予選で3番手につけたレベリオン・レーシングに対し、ポールポジションを獲得したトヨタ7号車は約4秒、2番手のトヨタ8号車も約2秒という差をつけてフロントローを独占。
プライベーターチームは、安価でコンストラクターからシャシーとカスタマーエンジンを購入している参戦しているのに対し、トヨタは今季はそれまで大幅に改良を施していないものの、ハイブリッドエンジンとシャシーの開発に莫大な予算を費やしてきた。ハイブリッドの販売台数で名を馳せている“世界のトヨタ”が負けるわけにはいかない。
さらに今年は世界3大レースでの“3冠”を目指して2度のF1ワールドチャンピオンであるフェルナンド・アロンソが参戦。また違った意味で世界中の注目が集まっており、無様な姿は見せられない。
レース、ことさら伝統のル・マン24時間レースに“当然”という言葉は存在しない。しかし、過去数年とは異なり、世界中がトヨタが“勝って当たり前”と見ているのは事実だろう。そのようなプレッシャーのなか、悲願の初勝利を上げるだけでなく、当然1-2フィニッシュでどのような勝ち方をするかが重要となる。
決勝前となる6月16日(土)の午前中に行われたウォームアップ走行でも予選2番手のトヨタ7号車(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ-マリア・ロペス)がトップタイムをマーク。2番手にもトヨタ8号車が続き、ノンハイブリッド勢に4秒の差をつけた。
トヨタにとって“絶対に負けられない”第86回ル・マン24時間レースは、6月16日(土)現地時間午後3時(日本時間20時)にスタートする。
トヨタ ドライバーコメント
小林可夢偉(7号車)
2台のトヨタが揃って最前列からル・マンのスタートを切れるというのは素晴らしいです。最高のアタックをやってのけた一貴にはおめでとうと言いたいです。チームの全員、エンジニア、メカニック、そしてドライバーが共に最強の車両を作るために準備を続けてきたことで、出だしから全くトラブル無くレースウィークを過ごしています。2日間ここまでこれだけ多くの周回をこなしてきましたので、決勝レースでも良い戦いが出来るよう期待しています。
マイク・コンウェイ(7号車)
一貴は本当によくやりましたし、8号車がポールポジションを獲得したことは、チーム全体にとって素晴らしい結果です。しかし、本当の仕事はこれから、24時間の決勝レースです。我々は決勝レースを盤石に戦える車両を作るために集中してきました。これまでのところは大変満足行く結果となっています。我々はこれまでの経験から、ル・マンの過酷さが身に染みていますが、戦う準備は出来ました。
ホセ・マリア・ロペス(7号車)
チームにとって最高の予選結果と、一貴のポールポジション獲得に祝福を送ります。チームの誰もがル・マンの準備のためにハードワークを続けてきました。この予選結果は小さなステップに過ぎませんが、明後日の決勝レースへの大きな励みになりますし、TS050 HYBRIDは決勝レースのコンディションでも必ず速さを発揮できると思います。レースは常に挑戦であり、何が起こるかわからないものですが、今は決勝レースが本当に楽しみです。
中嶋一貴(8号車)
今日の予選はあまり混雑のない状態で全力でアタックでき、思い通りのラップタイムを刻むことが出来たのでとても満足しています。サーキットの路面状態も昨日よりも良好で、気持ち良くアタック出来ました。車両のバランスもとても良くなったので、決勝レースに向けても大変期待できます。耐久レースにとって予選は1%程度の意味しかないかもしれませんが、ポールポジションはチームにとって喜ばしいものです。このレースはチーム全員がどれだけ長く厳しいものだということをわかっているので、既に気持ちは決勝レースに向けて切り替わっています。
セバスチャン・ブエミ(8号車)
ポールポジションは大変うれしいです。一貴のアタックはとても素晴らしく、チームに予選1-2をもたらしました。この瞬間は喜びを分かち合いたいと思いますが、最大目標であるル・マン優勝に向けてさらに集中しなければなりません。自分たちはこの週末のレースのために1年間準備をしてきたし、やるべきことはわかっています。
フェルナンド・アロンソ(8号車)
24時間レースにとって予選はそんなに重要でないことはわかっていても、今日のトヨタの1-2は本当に嬉しいです。一貴のラップタイムは素晴らしく、ポールポジションに相応しいものでした。ただ、レースはまだ何も始まっていないので、今日の結果はただの準備に過ぎないとも言えます。しかしながら我々のTS050 HYBRIDは最高の調子に仕上がり、レースに向けては準備万端です。
村田久武 (TOYOTA GAZOO Racing WECチーム代表)
いよいよル・マン24時間レースを迎え、身が引き締まる思いです。ここ数年間のレースを思い返し、『これまでの借りを返す』と言う強い思いで臨みます。一昨年、昨年と最後まで志を果たせずレースを終えることになってしまいましたが、今年こそ24時間をしっかり走りきるために、あらゆる緊急事態に備えて徹底的に訓練を重ねて参りました。過去に何度も経験したように、このレースは様々な突発のアクシデントに襲われます。不測の事態が発生した時こそチームの総合力で克服しなければなりません。準備は整ったと信じています。何があっても決して諦めず、表彰台の真ん中に立つために全力を尽くします。ファンの皆様の記憶に残るレースをご覧いただけるよう頑張ります。
関連:2018年 ル・マン24時間レース:テレビ放送&ライブ配信スケジュール
カテゴリー: F1 / トヨタ / ル・マン24時間レース