WRC:トヨタ 2023年 第2戦 ラリー・スウェーデン デイ2 レポート
2023年 FIA世界ラリー選手権(WRC)第2戦「ラリー・スウェーデン」の競技2日目デイ2が、2月10日(金)にウーメオーのサービスパークを中心に行われ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(GR YARIS Rally1 HYBRID 33号車)が総合4位に、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車)が総合5位につけた。また、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)は転倒によりクルマにダメージを負い、デイリタイアとなった。
前日の夜ウーメオーで行なわれたナイトステージで開幕したラリー・スウェーデンは、金曜日のデイ2から森林地帯での本格的な戦いがスタート。ウーメオーの西側と北側で7本、合計106.76kmのステージが行なわれた。デイ2は朝から天気が良く、日中は爽やかな青空が広がった。気温は0度前後と、この時期のスウェーデン北部としてはそれほど寒くなく、降雪もなかったが、路面の一部は軟らかい雪に覆われ、出走順が早い選手たちにとっては不利なコンディションとなった。
デイ1で首位に立ったロバンペラは、出走順一番手でステージを走行。路面が軟らかい雪で覆われていた、オープニングのSS2では8番手タイムで総合4位に順位を下げた。しかし、続くSS3では雪に覆われていない凍結路面が多かったため、本来の速さを発揮。ベストタイムを記録し、首位との差を4.9秒に縮めた。さらに、午前中最後のSS4では今シーズン初のベストタイムを記録した勝田と0.3秒差の2番手タイムを刻み、首位との差は4.7秒に縮まった。ウーメオーでのミッドデイサービスを経て始まった午後の再走ステージでは、深く刻まれた轍(わだち)の影響が大きく、先頭走者のロバンペラは午前中以上に苦闘。その結果、総合5位に順位を下げたが、デイ2最終の「ウーメオー・スプリント2」では、前夜に続きベストタイムを記録。首位と31.1秒差の総合5位で一日を終えた。
午前中の3本のステージが終了した時点で総合6位とやや苦戦していたエバンスは、ミッドデイサービスでチームと共にクルマのセットアップを変更したところ、午後はペースが向上しSS6では2番手タイムを記録。首位と26.5秒差の総合4位に順位を上げてデイ2を走破した。
今回、初めてチームのマニュファクチャラーズポイント獲得ドライバーとして出場の勝田は、SS2で4番手タイムを、SS3で3番手タイムを刻み、総合5位に順位を上げた。そして、デイ2最長となる全長25.81kmのSS4では、ベストタイムを記録。しかし、午後の再走ステージ1本目のSS5でコーナリングラインが乱れ、ハイスピードでスノーバンクに当たり転倒。勝田は何とかステージを走りきったが、クルマのフロントセクションにある冷却パッケージが破損していたため続くSS6の途中でクルマを停めデイリタイアとなった。チームはサービスパークでクルマの修理を行い、明日のデイ3での再出走を予定している。
ヤリ-マティ・ラトバラ (チーム代表)
予想していたよりも少しタフな一日でしたが、まだ何も終わってはいません。昨年よりも厳しいコンディションの中、1番手走者のカッレが苦戦することは予想できていました。通常、スノーステージでは1回目の走行は大丈夫だったとしても、2回目は深く幅の狭い轍が刻まれるため、難しくなります。今日のようなコンディションで、カッレがあれ以上いい走りをすることは不可能だったと思います。エルフィンは午前中あまり調子が良くありませんでしたが、ミッドデイサービスでエンジニアと一緒にベターなセットアップを見つけたことで、午後はポジティブな方向に進みました。貴元はこれまでで最高のパフォーマンスを見せていましたが、トリッキーなステージでコースアウトしてしまい、非常に残念です。明日、我々に速さがあって、その上でタイヤマネージメントが上手くできたならば、状況が変わる可能性はあります。表彰台を獲得できるかもしれないですし、少し運が良ければ、さらに良い結果を得られるかもしれません。
カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 HYBRID 69号車)
今朝は驚くほど良い路面コンディションでした。最初のステージは雪が柔らかく滑りやすかったので、予想通りかなりタイムを失ってしまいました。しかし、その後コンディションが良くなるとタイムも良くなっていったので、午前中はそれほど大きくタイムを失いませんでした。しかし、午後のループの最初のステージは、非常に深い轍が刻まれていて滑りやすい雪も多くあったため、自分がこれまで経験してきた中で、最も難しいスノーステージでした。そのためかなりタイムロスしてしまいましたが、とにかくミスなくクリーンに走り、道から外れないように努めました。それでも、プッシュできるコンディションではライバルに比べてかなり速かったので、明日の自分の出走順ならば、もっと速く走れると確信しています。
エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 HYBRID 33号車)
午前中はクルマのバランスに苦しみ、自信を持つこともできなかったため、調子が良くありませんでした。しかし、昼のサービスでクルマのセットアップを少し変更したところ、午後はフィーリングが良くなりました。ですので、午後のステージに関しては全体的に満足していますが、それでもまだ自分たちが望む状況には達していないので、今後も全力を尽くして臨みます。ステージはとてもテクニカルでミスをしやすいので、まだまだ何が起きるか分かりません。とにかく戦い続け、明日は順位を上げていきたいと思っています。
勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 HYBRID 18号車)
今朝はクルマのフィーリングが非常に良く、とても楽に走ることができていました。それほどプッシュしていなかったにも関わらずフィーリングは良く、タイムも出ていたので、とてもハッピーでした。午後は、限界まで攻めることなく高いスピードを保とうとしたのですが、路面には滑りやすい雪が多く、深い轍も刻まれている非常に難しいコンディションでした。SS5のフィニッシュ近くの高速コーナーで、轍のために十分スピードを落とすことができず、クルマの向きも完全には変えることができなかったため、コーナリングラインが膨らんでしまい、スノーバンクに激突してしまいました。完全に自分のミスですし、チームに本当に申し訳ないことをしてしまいました。今朝はとても良いスタートを切っていただけに残念です。明日、再出走して良いフィーリングを取り戻せることを願っています。
ラリー・スウェーデン デイ2の結果
1 クレイグ・ブリーン/ジェームズ・フルトン (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) 57m05.5s
2 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (フォードPuma Rally1 HYBRID) +2.6s
3 エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +11.2s
4 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +26.5s
5 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +31.1s
6 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +36.8s
7 ピエール=ルイ・ルーベ/ニコラ・ジルソー (フォード Puma Rally1 HYBRID) +1m16.2s
8 オリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン (シュコダ Fabia RS Rally2) +2m56.8s
9 サミ・パヤリ/エンニ・マルコネン (シュコダ Fabia RS Rally2) +3m09.8s
10 ヤリ・フットゥネン/アンティ・リンナケト (シュコダ Fabia R5) +3m31.9s
46 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +30m45.0s
明日のステージ情報
競技3日目となる2月11日(土)のデイ3は、ウーメオーの北側エリアで3本のステージをミッドデイサービスを挟んで各2回走行。そのうち、今回最も北側のエリアが舞台となるSS10/13「フロダ」は、今大会最長となる全長28.25kmのロングステージ。また、フロダとSS9/12「ノルビー」は今年新たに設定されたステージ、そして、一日の最後にはSS1およびSS8のロングバージョンである、10.08kmの「ウーメオー1」がSS15として行われる。SSは全部で7本となり、その合計距離は126.22kmと4日間で最長。リエゾン(移動区間)も含めた1日の総走行距離は468.50kmとなる。
カテゴリー: F1 / トヨタ / WRC (世界ラリー選手権)
前日の夜ウーメオーで行なわれたナイトステージで開幕したラリー・スウェーデンは、金曜日のデイ2から森林地帯での本格的な戦いがスタート。ウーメオーの西側と北側で7本、合計106.76kmのステージが行なわれた。デイ2は朝から天気が良く、日中は爽やかな青空が広がった。気温は0度前後と、この時期のスウェーデン北部としてはそれほど寒くなく、降雪もなかったが、路面の一部は軟らかい雪に覆われ、出走順が早い選手たちにとっては不利なコンディションとなった。
デイ1で首位に立ったロバンペラは、出走順一番手でステージを走行。路面が軟らかい雪で覆われていた、オープニングのSS2では8番手タイムで総合4位に順位を下げた。しかし、続くSS3では雪に覆われていない凍結路面が多かったため、本来の速さを発揮。ベストタイムを記録し、首位との差を4.9秒に縮めた。さらに、午前中最後のSS4では今シーズン初のベストタイムを記録した勝田と0.3秒差の2番手タイムを刻み、首位との差は4.7秒に縮まった。ウーメオーでのミッドデイサービスを経て始まった午後の再走ステージでは、深く刻まれた轍(わだち)の影響が大きく、先頭走者のロバンペラは午前中以上に苦闘。その結果、総合5位に順位を下げたが、デイ2最終の「ウーメオー・スプリント2」では、前夜に続きベストタイムを記録。首位と31.1秒差の総合5位で一日を終えた。
午前中の3本のステージが終了した時点で総合6位とやや苦戦していたエバンスは、ミッドデイサービスでチームと共にクルマのセットアップを変更したところ、午後はペースが向上しSS6では2番手タイムを記録。首位と26.5秒差の総合4位に順位を上げてデイ2を走破した。
今回、初めてチームのマニュファクチャラーズポイント獲得ドライバーとして出場の勝田は、SS2で4番手タイムを、SS3で3番手タイムを刻み、総合5位に順位を上げた。そして、デイ2最長となる全長25.81kmのSS4では、ベストタイムを記録。しかし、午後の再走ステージ1本目のSS5でコーナリングラインが乱れ、ハイスピードでスノーバンクに当たり転倒。勝田は何とかステージを走りきったが、クルマのフロントセクションにある冷却パッケージが破損していたため続くSS6の途中でクルマを停めデイリタイアとなった。チームはサービスパークでクルマの修理を行い、明日のデイ3での再出走を予定している。
ヤリ-マティ・ラトバラ (チーム代表)
予想していたよりも少しタフな一日でしたが、まだ何も終わってはいません。昨年よりも厳しいコンディションの中、1番手走者のカッレが苦戦することは予想できていました。通常、スノーステージでは1回目の走行は大丈夫だったとしても、2回目は深く幅の狭い轍が刻まれるため、難しくなります。今日のようなコンディションで、カッレがあれ以上いい走りをすることは不可能だったと思います。エルフィンは午前中あまり調子が良くありませんでしたが、ミッドデイサービスでエンジニアと一緒にベターなセットアップを見つけたことで、午後はポジティブな方向に進みました。貴元はこれまでで最高のパフォーマンスを見せていましたが、トリッキーなステージでコースアウトしてしまい、非常に残念です。明日、我々に速さがあって、その上でタイヤマネージメントが上手くできたならば、状況が変わる可能性はあります。表彰台を獲得できるかもしれないですし、少し運が良ければ、さらに良い結果を得られるかもしれません。
カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 HYBRID 69号車)
今朝は驚くほど良い路面コンディションでした。最初のステージは雪が柔らかく滑りやすかったので、予想通りかなりタイムを失ってしまいました。しかし、その後コンディションが良くなるとタイムも良くなっていったので、午前中はそれほど大きくタイムを失いませんでした。しかし、午後のループの最初のステージは、非常に深い轍が刻まれていて滑りやすい雪も多くあったため、自分がこれまで経験してきた中で、最も難しいスノーステージでした。そのためかなりタイムロスしてしまいましたが、とにかくミスなくクリーンに走り、道から外れないように努めました。それでも、プッシュできるコンディションではライバルに比べてかなり速かったので、明日の自分の出走順ならば、もっと速く走れると確信しています。
エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 HYBRID 33号車)
午前中はクルマのバランスに苦しみ、自信を持つこともできなかったため、調子が良くありませんでした。しかし、昼のサービスでクルマのセットアップを少し変更したところ、午後はフィーリングが良くなりました。ですので、午後のステージに関しては全体的に満足していますが、それでもまだ自分たちが望む状況には達していないので、今後も全力を尽くして臨みます。ステージはとてもテクニカルでミスをしやすいので、まだまだ何が起きるか分かりません。とにかく戦い続け、明日は順位を上げていきたいと思っています。
勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 HYBRID 18号車)
今朝はクルマのフィーリングが非常に良く、とても楽に走ることができていました。それほどプッシュしていなかったにも関わらずフィーリングは良く、タイムも出ていたので、とてもハッピーでした。午後は、限界まで攻めることなく高いスピードを保とうとしたのですが、路面には滑りやすい雪が多く、深い轍も刻まれている非常に難しいコンディションでした。SS5のフィニッシュ近くの高速コーナーで、轍のために十分スピードを落とすことができず、クルマの向きも完全には変えることができなかったため、コーナリングラインが膨らんでしまい、スノーバンクに激突してしまいました。完全に自分のミスですし、チームに本当に申し訳ないことをしてしまいました。今朝はとても良いスタートを切っていただけに残念です。明日、再出走して良いフィーリングを取り戻せることを願っています。
ラリー・スウェーデン デイ2の結果
1 クレイグ・ブリーン/ジェームズ・フルトン (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) 57m05.5s
2 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (フォードPuma Rally1 HYBRID) +2.6s
3 エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +11.2s
4 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +26.5s
5 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +31.1s
6 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +36.8s
7 ピエール=ルイ・ルーベ/ニコラ・ジルソー (フォード Puma Rally1 HYBRID) +1m16.2s
8 オリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン (シュコダ Fabia RS Rally2) +2m56.8s
9 サミ・パヤリ/エンニ・マルコネン (シュコダ Fabia RS Rally2) +3m09.8s
10 ヤリ・フットゥネン/アンティ・リンナケト (シュコダ Fabia R5) +3m31.9s
46 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +30m45.0s
明日のステージ情報
競技3日目となる2月11日(土)のデイ3は、ウーメオーの北側エリアで3本のステージをミッドデイサービスを挟んで各2回走行。そのうち、今回最も北側のエリアが舞台となるSS10/13「フロダ」は、今大会最長となる全長28.25kmのロングステージ。また、フロダとSS9/12「ノルビー」は今年新たに設定されたステージ、そして、一日の最後にはSS1およびSS8のロングバージョンである、10.08kmの「ウーメオー1」がSS15として行われる。SSは全部で7本となり、その合計距離は126.22kmと4日間で最長。リエゾン(移動区間)も含めた1日の総走行距離は468.50kmとなる。
カテゴリー: F1 / トヨタ / WRC (世界ラリー選手権)