アストンマーティンF1がニューウェイを信頼 MP4-20をモンスターに変えた開発秘話

その理由を語ったのが、チーム広報で元F1ドライバーのペドロ・デ・ラ・ロサだ。かつてマクラーレンでニューウェイと仕事をした経験を持つ彼は、2005年の名車「MP4-20」が最速マシンへと進化した舞台裏を明かし、アストンマーティンも必ず復活できると確信している理由を説明した。
「アップデートなし」でも揺るがなかったチーム
アストンマーティンはAMR26の根本的な改善を優先するため、小規模なアップデートを繰り返すのではなく、大型パッケージをハンガリーGPまで温存してきた。
その結果、シーズン前半は最後尾付近で苦戦を強いられたが、デ・ラ・ロサによれば、チーム内では当初からその計画が共有されていたという。
「雰囲気が変わったとは思わない。シーズン開幕からずっと同じだ」
「僕たちは目標から大きく離れていることを理解していた。そしてチーム全体で計画を立て、その計画に向かって取り組んできた」
「アップデートを投入しない期間は苦しかった。でもチームの雰囲気は変わらなかった」
「僕たちは団結し、良い仕事を続けてきた。そして何を、いつ行うのかを全員が理解していた。それが非常に重要だった」
「簡単な状況ではなかった。こういう時こそ組織は崩れやすい。でも僕たちはまとまり続け、必ず立て直せるという自信を持ち続けてきた」
ニューウェイは20年前と何も変わっていない
デ・ラ・ロサは2000年代前半、マクラーレンでテストドライバーを務め、ニューウェイとともにMP4-17D、幻に終わったMP4-18、MP4-19、そしてMP4-20の開発に携わった。
その経験から、現在のニューウェイも当時と全く変わっていないという。
「彼は本当に優秀だ。それがエイドリアンなんだ」
「工場でもそうだし、チーム全員やランス(ストロール)、フェルナンド(アロンソ)と話す時も、何も飾らず率直に話す」
「だからこそ優れたリーダーなんだ。今のような状況で最も重要なのは、全員が計画を理解していることだからだ」
「世間は彼のインタビューを見て驚くかもしれない。でも僕たちは驚いていない。チーム全員が同じ情報を共有していたからだ」
「だからランスもフェルナンドも落ち着いて仕事を続けられている」
MP4-20を変えた「6度」の発見
デ・ラ・ロサは、ニューウェイの能力を象徴するエピソードとして、2005年開幕戦オーストラリアGPでの出来事を紹介した。
当時、金曜フリー走行でMP4-20を走らせていたデ・ラ・ロサに対し、ニューウェイは最も難しいコーナーを尋ねた。
「彼は『一番ひどいコーナーはどこだ?』と聞いてきた。僕は『ターン1だ。これ以上速く走れない』と答えた」
「すると彼は『なぜ速く走れない?』と聞いた。僕は『もっと攻めるとアンダーステアが強くなるからだ』と説明した」
さらにニューウェイは、ステアリングをもっと切れないのかと質問した。
「僕は『もちろん切れる。でもある角度を超えると急にステアリングが軽くなり、フロントグリップがなくなる』と答えた」
ニューウェイは、そのステアリング角を実際に再現するよう求めたという。
「僕がその角度を見せると、彼はメモを取りながらこう言った」
「『6度以上のステアリング角については風洞データがない。クルマは6度までしか設計されていない。だから君の話は完全に理にかなっている。その領域は未開拓だから改善しよう』」

数戦後には最速マシンへ
ニューウェイは、その問題を解決するため数戦後にフロントウイングを改良した。
その結果、MP4-20は2005年シーズン最速クラスのマシンへと生まれ変わった。
「数戦後、彼はフロントウイングを改良した。それがMP4-20の物語だ」
「僕たちは2005年最速のマシンになった」
「チャンピオンを獲れなかったのは主に信頼性の問題だった。でも速さは間違いなく一番だった。本当にモンスターだった」
データだけでは速くならない
デ・ラ・ロサは、ニューウェイ最大の強みはデータだけに頼らないことだと説明する。
「彼はドライバーと話し、質問し、フィードバックを書き留め、必ず解決策を持って帰ってくる」
「彼はデータだけではなく、人間の感覚も信頼している」
「当たり前に聞こえるかもしれない。でも今のF1はデータ主導の世界だ。ドライバーの話を聞くエンジニアは多いが、エイドリアンほど細部まで掘り下げる人はいない」
「結局、ドライバーが『なぜこれ以上速く走れないのか』という理由は、センサーやデータだけでは分からないこともある。それを理解できるのが彼なんだ」
「彼なら必ず立て直せる」
ハンガリーGPではAMR26の大型アップデートに加え、ADUO制度によるホンダ製パワーユニットの性能向上も投入される見込みとなっている。
デ・ラ・ロサは、現在の苦境は過去にも経験してきたものであり、ニューウェイなら再び状況を変えられると確信している。
「彼は何が悪いのか、どの部分に問題があるのか、そしてその理由を正確に見極められる」
「その能力があるからこそ、チーム全体が『必ず立て直せる』と信じられるんだ」
「2003年にマクラーレンで一緒に仕事をしていた時も同じだった。エイドリアンと話をすると、『僕たちは正しい方向へ進んでいる』と誰もが確信できた」
「彼は何をすべきかを理解し、それを実現できる人なんだ。だから僕たちは前へ進み続けるだけだ。特別な秘密なんてないよ」
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カテゴリー: F1 / アストンマーティンF1チーム / ホンダF1
