トヨタ:2022年 ル・マン24時間レース プレビュー
TOYOTA GAZOO Racing(以下トヨタ)は、6月11日(土)から12日(日)にかけて開催される伝統の耐久レース、第90回ル・マン24時間レースで、チーム5連覇に挑む。
トヨタはル・マン24時間レースで2018年に初勝利を飾って以来、決勝レース中の最速ラップタイムや予選でのコースレコードといった記録を塗り替えながら無敗記録を続けており、昨年はGR010 HYBRIDで、ハイパーカー世代になって初めての優勝を勝ち取った。
昨年のル・マンで劇的な初勝利を成し遂げた小林可夢偉、マイク・コンウェイとホセ・マリア・ロペスの3名が駆るGR010 HYBRID 7号車にとっては、防衛戦であり、連覇が目標となる。7号車は1か月前に行われたFIA世界耐久選手権(WEC)第2戦のスパ・フランコルシャン6時間で今季初勝利を挙げた、その勢いに乗ってフランスへ向かう。
GR010 HYBRID 8号車のセバスチャン・ブエミはこれまでに3度、ブレンドン・ハートレーは2度、ル・マンで勝利を挙げたドライバーであり、2022年の8号車は、この2名に平川亮が加わったラインナップで挑む。平川は過去にLMP2クラスで2度ル・マンに出場しているが、トップカテゴリーでル・マンを戦うのは今回が初めてとなる。
また、今年は中嶋一貴にとって、トヨタ Europeの副会長という新たな任に就いて初めてのル・マンとなる。ル・マンを3度制し、2018-2019年シーズンのWECシリーズチャンピオンでもある中嶋一貴は、コース内外でのチームマネージメントという重要な役割を担い、豊田章男トヨタチームオーナーの思いを胸に、プロフェッショナルでより家族的なチームの雰囲気づくりとオペレーションの強化に務める。
2022年のWECシーズン第3戦となるル・マンは、シリーズポイントで通常のレースの倍のポイントを獲得できるレースとなる。トヨタにとっては、強力なライバルであるアルピーヌやグリッケンハウスと激しい戦いを繰り広げているハイパーカークラスにおいて、マニュファクチャラーズ、ドライバーズの両ランキングとも上位に一気に浮上するチャンスとなる。
今年のル・マン24時間レースは、初のLMP1ハイブリッド車両であるTS030 HYBRIDでデビューした2012年から10年目という、チームにとって大きな節目となる。この10年間にチームはWEC通算72戦を戦い、マニュファクチャラーズ、ドライバーズそれぞれ4度、合計8度の世界チャンピオンに輝くと共に、36勝と31回のポールポジションを獲得している。
トヨタのル・マンにおける歴史は1985年の初参戦に遡る。今年のル・マンでは、この初参戦時の出場車両であるトヨタ初のグループCカー、トヨタトムス85Cをトヨタ Europeの副会長である中嶋一貴がドライブし、レース前のスターティンググリッドで行われる優勝トロフィー返還セレモニーに登場する。このトヨタトムス85Cは37年前に中嶋一貴の父である中嶋悟氏がドライバーの一員として出場し、12位でフィニッシュを果たした車両そのものだ。
この輝かしいセレモニーの前に、チームは1週間に渡る徹底した準備に入る。ル・マン24時間レースの舞台となる1周13.626kmのサルト・サーキットは、公道と常設サーキットの一部を組み合わせた独特のコースであり、決勝1週間前の6月5日(日)には、シーズンの中で唯一サルト・サーキットのフルコースを走行できる公式テストが行われる。
テストデーでの走行を終えたチームは、すぐに車両を組み直して整備、再調整し、3日後の8日(水)には5時間の練習走行と1時間の予選セッションを迎える。そして、翌9日(木)も5時間の練習走行をこなした後、この時期のフランスではまだ明るい空の元、現地時間午後8時(日本時間10日(金)午前3時)より、決勝レースのスターティンググリッドを決定する30分間のハイパーポールセッションが行われ、トヨタは6年連続のポールポジション獲得に挑む。
記念すべき第90回ル・マン24時間レースの決勝は、11日(土)の現地時間午後4時(日本時間午後11時)にスタートが切られ、全62台の車両と186人のドライバーが、耐久レース最大のイベントで激戦の火蓋を切られる。
小林可夢偉(チーム代表 兼 7号車 ドライバー)
ル・マン24時間レースはチームにとって最大の目標であり、この挑戦に向けて集中して準備を進めてきました。我々は過去4年連続で勝利を挙げてきましたが、決して容易な道のりではありませんでしたし、様々な問題にも立ち向かってきました。昨年のレースでもトラブルが発生しましたが、チームとドライバーの努力により迅速に解決策を見出し、7号車がついに初勝利を挙げることができました。マイク、ホセ、私と、7号車のチームクルーにとって、長年待ち焦がれてきた瞬間であり、本当に格別でした。また、8号車も2位で続き、1-2フィニッシュを飾れたのも最高でした。今季は厳しい戦いが続いており、前戦スパでの8号車は残念な結果に終わってしまいましたが、あのトラブルについては、エンジニアが詳細を調査しており、同じようなことは二度と起こらないと確信しています。ル・マンへの準備は万端であり、自信を持って現地に向かいます。ファンの皆様にとってもエキサイティングなレースになるでしょう。
マイク・コンウェイ(7号車 ドライバー)
昨年ル・マンで初勝利を飾った瞬間のことは絶対に忘れないでしょう。可夢偉、ホセと私はこの大レースへ向けてずっと努力を続けてきました。それだけに、表彰台の中央に初めて立ったときの感激は忘れられないですし、一度味わったら、もう一度と願うものです。今年のハイパーカークラスは非常に接近した戦いが続いており、今度のル・マンはこれまで以上に厳しい戦いになるでしょう。しかし、私は自分のチームの強さを知っていますし、必ず今年も優勝を争えると思っています。
ホセ・マリア・ロペス(7号車 ドライバー)
チームは昨年のル・マンでチェッカーフラッグを受けた瞬間から、今年のル・マンに向けて多くの準備を進めてきました。ドイツ・ケルンと日本の東富士でハードワークを続けてくれているクルーのみんなのおかげで、勝利を目指して戦う準備は万端です。ル・マンでは何が起こるかわからないので、勝利を誓うことはできませんが、ミスすることなく自分の仕事を行い、クリーンなレースでチェッカーフラッグを目指すだけです。アルピーヌ、グリッケンハウスとのバトルはエキサイティングなものになるでしょうし、ファンの皆様にとっても素晴らしいレースになるのは間違いありません。
セバスチャン・ブエミ(8号車 ドライバー)
ル・マンはシーズンのハイライトであり、いつも楽しみです。我々はこのレースのために1年をかけて準備してきました。私自身はこれまでに3度ル・マンで勝つことができましたが、私の勝利に懸ける情熱は変わりませんし、毎年勝利への決意と共にル・マンに向かいます。天候やセーフティカー、フルコースイエローや周回遅れ等、ドライバーの力ではどうにもならない要素も多く、とてもチャレンジングなレースです。しかし、チーム全体で集中してミス無く戦えば、優勝争いへのチャンスが巡ってくると思っています。
ブレンドン・ハートレー(8号車 ドライバー)
ル・マンは長い歴史と独特の雰囲気を持つ、特別なレースです。2012年に初めてル・マンに参戦した時からこのレースが本当に大好きで、以来忘れがたい思い出が幾つもあります。チームにとっては本当に厳しいレースでもあり、長く、大変な日々の末に戦う24時間レースは、他に類を見ない挑戦です。そんな厳しいレースだけに、完走するだけでも全てのチームとドライバーにとっての勲章ではありますが、もちろん我々はそれ以上を目指しています。TGRのル・マンにおける連覇記録の更新こそが我々全員の目標です。
平川 亮(8号車 ドライバー)
TGRの一員として初めてのル・マン24時間参戦が本当に楽しみです。初めてル・マンでレースを戦ったのは2016年でしたが、その雰囲気と圧倒的なファンの皆様の数に感銘を受けました。本当に特別なイベントで、その一員となれることは光栄です。スパは我々8号車にとっては厳しいレースとなってしまい、私自身は決勝レースで1周も走れないという残念な結果となってしまいました。前戦で起こったトラブルはチームが一丸となって徹底的に調査したので、ル・マンへ向けた準備は整ったと思いますし、接近戦が予想されるレースで確実に上位争いができると思っています。
カテゴリー: F1 / トヨタ / ル・マン24時間レース / WEC (FIA世界耐久選手権)
トヨタはル・マン24時間レースで2018年に初勝利を飾って以来、決勝レース中の最速ラップタイムや予選でのコースレコードといった記録を塗り替えながら無敗記録を続けており、昨年はGR010 HYBRIDで、ハイパーカー世代になって初めての優勝を勝ち取った。
昨年のル・マンで劇的な初勝利を成し遂げた小林可夢偉、マイク・コンウェイとホセ・マリア・ロペスの3名が駆るGR010 HYBRID 7号車にとっては、防衛戦であり、連覇が目標となる。7号車は1か月前に行われたFIA世界耐久選手権(WEC)第2戦のスパ・フランコルシャン6時間で今季初勝利を挙げた、その勢いに乗ってフランスへ向かう。
GR010 HYBRID 8号車のセバスチャン・ブエミはこれまでに3度、ブレンドン・ハートレーは2度、ル・マンで勝利を挙げたドライバーであり、2022年の8号車は、この2名に平川亮が加わったラインナップで挑む。平川は過去にLMP2クラスで2度ル・マンに出場しているが、トップカテゴリーでル・マンを戦うのは今回が初めてとなる。
また、今年は中嶋一貴にとって、トヨタ Europeの副会長という新たな任に就いて初めてのル・マンとなる。ル・マンを3度制し、2018-2019年シーズンのWECシリーズチャンピオンでもある中嶋一貴は、コース内外でのチームマネージメントという重要な役割を担い、豊田章男トヨタチームオーナーの思いを胸に、プロフェッショナルでより家族的なチームの雰囲気づくりとオペレーションの強化に務める。
2022年のWECシーズン第3戦となるル・マンは、シリーズポイントで通常のレースの倍のポイントを獲得できるレースとなる。トヨタにとっては、強力なライバルであるアルピーヌやグリッケンハウスと激しい戦いを繰り広げているハイパーカークラスにおいて、マニュファクチャラーズ、ドライバーズの両ランキングとも上位に一気に浮上するチャンスとなる。
今年のル・マン24時間レースは、初のLMP1ハイブリッド車両であるTS030 HYBRIDでデビューした2012年から10年目という、チームにとって大きな節目となる。この10年間にチームはWEC通算72戦を戦い、マニュファクチャラーズ、ドライバーズそれぞれ4度、合計8度の世界チャンピオンに輝くと共に、36勝と31回のポールポジションを獲得している。
トヨタのル・マンにおける歴史は1985年の初参戦に遡る。今年のル・マンでは、この初参戦時の出場車両であるトヨタ初のグループCカー、トヨタトムス85Cをトヨタ Europeの副会長である中嶋一貴がドライブし、レース前のスターティンググリッドで行われる優勝トロフィー返還セレモニーに登場する。このトヨタトムス85Cは37年前に中嶋一貴の父である中嶋悟氏がドライバーの一員として出場し、12位でフィニッシュを果たした車両そのものだ。
この輝かしいセレモニーの前に、チームは1週間に渡る徹底した準備に入る。ル・マン24時間レースの舞台となる1周13.626kmのサルト・サーキットは、公道と常設サーキットの一部を組み合わせた独特のコースであり、決勝1週間前の6月5日(日)には、シーズンの中で唯一サルト・サーキットのフルコースを走行できる公式テストが行われる。
テストデーでの走行を終えたチームは、すぐに車両を組み直して整備、再調整し、3日後の8日(水)には5時間の練習走行と1時間の予選セッションを迎える。そして、翌9日(木)も5時間の練習走行をこなした後、この時期のフランスではまだ明るい空の元、現地時間午後8時(日本時間10日(金)午前3時)より、決勝レースのスターティンググリッドを決定する30分間のハイパーポールセッションが行われ、トヨタは6年連続のポールポジション獲得に挑む。
記念すべき第90回ル・マン24時間レースの決勝は、11日(土)の現地時間午後4時(日本時間午後11時)にスタートが切られ、全62台の車両と186人のドライバーが、耐久レース最大のイベントで激戦の火蓋を切られる。
小林可夢偉(チーム代表 兼 7号車 ドライバー)
ル・マン24時間レースはチームにとって最大の目標であり、この挑戦に向けて集中して準備を進めてきました。我々は過去4年連続で勝利を挙げてきましたが、決して容易な道のりではありませんでしたし、様々な問題にも立ち向かってきました。昨年のレースでもトラブルが発生しましたが、チームとドライバーの努力により迅速に解決策を見出し、7号車がついに初勝利を挙げることができました。マイク、ホセ、私と、7号車のチームクルーにとって、長年待ち焦がれてきた瞬間であり、本当に格別でした。また、8号車も2位で続き、1-2フィニッシュを飾れたのも最高でした。今季は厳しい戦いが続いており、前戦スパでの8号車は残念な結果に終わってしまいましたが、あのトラブルについては、エンジニアが詳細を調査しており、同じようなことは二度と起こらないと確信しています。ル・マンへの準備は万端であり、自信を持って現地に向かいます。ファンの皆様にとってもエキサイティングなレースになるでしょう。
マイク・コンウェイ(7号車 ドライバー)
昨年ル・マンで初勝利を飾った瞬間のことは絶対に忘れないでしょう。可夢偉、ホセと私はこの大レースへ向けてずっと努力を続けてきました。それだけに、表彰台の中央に初めて立ったときの感激は忘れられないですし、一度味わったら、もう一度と願うものです。今年のハイパーカークラスは非常に接近した戦いが続いており、今度のル・マンはこれまで以上に厳しい戦いになるでしょう。しかし、私は自分のチームの強さを知っていますし、必ず今年も優勝を争えると思っています。
ホセ・マリア・ロペス(7号車 ドライバー)
チームは昨年のル・マンでチェッカーフラッグを受けた瞬間から、今年のル・マンに向けて多くの準備を進めてきました。ドイツ・ケルンと日本の東富士でハードワークを続けてくれているクルーのみんなのおかげで、勝利を目指して戦う準備は万端です。ル・マンでは何が起こるかわからないので、勝利を誓うことはできませんが、ミスすることなく自分の仕事を行い、クリーンなレースでチェッカーフラッグを目指すだけです。アルピーヌ、グリッケンハウスとのバトルはエキサイティングなものになるでしょうし、ファンの皆様にとっても素晴らしいレースになるのは間違いありません。
セバスチャン・ブエミ(8号車 ドライバー)
ル・マンはシーズンのハイライトであり、いつも楽しみです。我々はこのレースのために1年をかけて準備してきました。私自身はこれまでに3度ル・マンで勝つことができましたが、私の勝利に懸ける情熱は変わりませんし、毎年勝利への決意と共にル・マンに向かいます。天候やセーフティカー、フルコースイエローや周回遅れ等、ドライバーの力ではどうにもならない要素も多く、とてもチャレンジングなレースです。しかし、チーム全体で集中してミス無く戦えば、優勝争いへのチャンスが巡ってくると思っています。
ブレンドン・ハートレー(8号車 ドライバー)
ル・マンは長い歴史と独特の雰囲気を持つ、特別なレースです。2012年に初めてル・マンに参戦した時からこのレースが本当に大好きで、以来忘れがたい思い出が幾つもあります。チームにとっては本当に厳しいレースでもあり、長く、大変な日々の末に戦う24時間レースは、他に類を見ない挑戦です。そんな厳しいレースだけに、完走するだけでも全てのチームとドライバーにとっての勲章ではありますが、もちろん我々はそれ以上を目指しています。TGRのル・マンにおける連覇記録の更新こそが我々全員の目標です。
平川 亮(8号車 ドライバー)
TGRの一員として初めてのル・マン24時間参戦が本当に楽しみです。初めてル・マンでレースを戦ったのは2016年でしたが、その雰囲気と圧倒的なファンの皆様の数に感銘を受けました。本当に特別なイベントで、その一員となれることは光栄です。スパは我々8号車にとっては厳しいレースとなってしまい、私自身は決勝レースで1周も走れないという残念な結果となってしまいました。前戦で起こったトラブルはチームが一丸となって徹底的に調査したので、ル・マンへ向けた準備は整ったと思いますし、接近戦が予想されるレースで確実に上位争いができると思っています。
カテゴリー: F1 / トヨタ / ル・マン24時間レース / WEC (FIA世界耐久選手権)