トヨタ、初日の予選を1-2で終え、明日の「ハイパーポール」へ / ル・マン24時間レース
9月17日(木)、88回目を迎えるFIA世界耐久選手権(WEC)第7戦、ル・マン24時間レースが幕を開けた。TOYOTA GAZOO Racingの2台のTS050 HYBRIDは、伝統のル・マンでの3連覇へ向け、初日の予選で最速タイムをマークするなど順調なスタートを切った。

走行初日となったこの日は、午前10時からの2回の練習走行に続き、明日金曜日に行われ決勝のスターティンググリッドを決定する「ハイパーポール」への進出権を賭けた予選が行われる忙しい一日となった。

「ハイパーポール」には今日の予選での各クラス上位6台が進出。TOYOTA GAZOO Racingの2台のTS050 HYBRIDは、LMP1クラスを争う3台のライバルとともに「ハイパーポール」を争い、4年連続でのポールポジション獲得を目指す。

現在のWECポイントリーダーであるマイク・コンウェイ、小林可夢偉、ホセ・マリア・ロペスがドライブするTS050 HYBRID 7号車がこの予選で3分17秒089という最速タイムをマーク。2018年、2019年のル・マン覇者であるセバスチャン・ブエミと中嶋一貴、加えてブレンドン・ハートレーが組むTS050 HYBRID 8号車は、1周13.626kmのラップタイムで、チームメイトから0.247秒遅れの2番手につけた。

現状を鑑みて、今年のル・マン24時間レースは、多くの変更を余儀なくされた。通常であればレースの2週間前に行われてきたテストデーは実施されず、レースカーがサルト・サーキットを走るのは昨年6月のレース以来となる。

最新のローダウンフォース仕様TS050 HYBRIDでル・マンを走るのは初めての機会となる。TOYOTA GAZOO Racingは朝からの公式練習など、合計で約11時間にわたる走行セッションをフルに活用し、週末のレースへの準備を整える。

午前10時からの3時間にわたる公式練習セッションで、最初にル・マンのコースへと出たのはブエミだった。チームはこの時間を使って、ローダウンフォース仕様の空力特性を分析し、長く、高速なミュルサンヌストレートと、ポルシェコーナーなどでのダウンフォースの妥協点を見出すべくセットアップの最適化作業を続けた。

それぞれの走行セッションの間に設けられたインターバルが短く、ドライバーやチームメンバーは、ミスやトラブルの許されないプレッシャーとも戦わなくてはならなかった。彼らのハードワークにより、公式練習1回目は大きな問題なく終わり、中嶋が8号車でマークした3分21秒656が最速タイム。そして7号車の小林が0.334秒差のタイムで2番手となった。

60分間のインターバルを経て、再開された3時間の公式練習2回目では、チームは更なるセットアップを進め、タイヤパフォーマンスの分析や、メカニカル及びハイブリッドのセッティングを続けた。このセッションはLMP2車両のアクシデントにより2度の赤旗中断を余儀なくされたが、再び8号車がブエミによりトップタイムをマーク。7号車はコンウェイが0.892秒差の2番手で続いた。

3時間ずつ2回の練習走行セッションで、2台の合計127周、1730kmを走破したチームは、気温が29度に達する暑い一日となる中、予選へ向けた準備を進めた。

ル・マンで2017年にコースレコードを記録している小林と、2度のポールポジションを獲得している中嶋が、7号車と8号車でまず予選のアタックを開始。セクター1とセクター2では中嶋が最速のペースでしたが、セクター3で逆転した小林がトップタイムをマーク。

その後、全てのドライバーが予選セッション中に走行しましたが、新品タイヤと少な目の燃料で最初にアタックした小林と中嶋のタイムは更新できず、予選は7号車がトップ、8号車が2番手で、そこから4.262秒遅れのレベリオン1号車が3番手で続いている。

今日木曜日の24時間レースへ向けた準備はまだ終わらず、この後4時間にわたる夜間走行セッションが控えている。そして、明日18日(金)は決勝のスターティンググリッドを決定する「ハイパーポール」が現地時間11時半から開始される。

TS050 HYBRID 7号車 (マイク・コンウェイ、小林可夢偉、ホセ・マリア・ロペス):
公式練習1回目 : 2番手 (3分21秒990), 30周
公式練習2回目 : 2番手 (3分20秒611), 32周
公式予選 : 1番手 (3分17秒089), 12周

小林可夢偉(7号車):
路面コンディションを心配していましたが、周回を重ねるごとに良くなっていき、問題ありませんでした。ロングランでのセットアップにはとても満足していますし、さらにデータを収集して改良を続けるつもりですが、良い方向に進んでいると思います。TS050 HYBRIDの感触は良いですが、レースは24時間と長いので、快適に、着実に走り続けるための微調整が必要です。私の予選アタックラップは圧倒的に速くはなかったですが、トップに立つには十分でした。とはいえあの2017年のレコードタイムには届きませんでした。

マイク・コンウェイ(7号車):
久しぶりにル・マンに戻れてとても嬉しいです。まるで家に帰ってきたようで、昨年のTS050 HYBRIDにそのまま乗り続けているような感覚です。今日は多くの空力セットアップを試し良い方向に向かっています。今の感触は非常にいいですが、もっとよくなるはずです。今日学んだことを最大限活用し土曜日のレースに備えます。可夢偉のトップタイムは良かったですが、勿論レースに向けて集中することがより重要です。

ホセ・マリア・ロペス(7号車):
ここに戻ってこられたことをとても嬉しく思っていますし、1年以上ぶりに最初の1周を走ったときは最高の気分でした。今日は考える時間も無いほど忙しい一日でしたが、チームが素晴らしい仕事をしてくれて、TS050 HYBRIDも速かったです。可夢偉とマイクもいつも通りよくやってくれました。まだバランス面の調整をしていて、さらに改良を続けます。明日のハイパーポールは今日の予選よりも重要で、それ以上に決勝レースが最大の目標ですが、今日の予選で7号車が最速だったのは良かったです。

TS050 HYBRID 8号車 (セバスチャン・ブエミ、中嶋一貴、ブレンドン・ハートレー):
公式練習1回目 : 1番手 (3分21秒656), 32周
公式練習2回目 : 1番手 (3分19秒719), 33周
公式予選 : 2番手 (3分17秒336), 13周

中嶋一貴(8号車):
今日は忙しい日でした。多くの走行時間が設けられ、セッション間の時間もあっと言う間に過ぎました。予選の前に計画していたことは全て出来、午前中に空力仕様の比較、午後には異なるセットアップを試しました。でもまだやることはたくさんあります。今日の結果から最も効率的なセットアップを見出さなければなりません。明日のハイパーポール・セッションに向けてさらに準備を進めます。

セバスチャン・ブエミ(8号車):
今日は全てがスムーズでした。レースに向けて重要な初日ですが、何の問題もありませんでした。トラックコンディションも想像していたより良くて空力セットアップの比較も出来ました。今年は時間が限られているので全てのラップが貴重です。一貴は良いラップタイムを出し、2台のTS050 HYBRIDが1-2を占めたのは良かったですが、これは明日のハイパーポールに向けたウォームアップに過ぎません。

ブレンドン・ハートレー(8号車):
ル・マンに戻って来られたのは大変嬉しいです。昨年はル・マンのテストデーでTS050 HYBRIDを少しだけ運転しましたが、ル・マンを走るために作られた車というのがわかりました。今日は多くの周回を重ね、本当に楽しかったです。チームのモチベーションも高く、準備も順調に進んでいるのでレースが楽しみでなりません。

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カテゴリー: F1 / トヨタ / ル・マン24時間レース / WEC (FIA世界耐久選手権)