トロロッソ・ホンダ:F1モナコGP 現場レポート
トロロッソ・ホンダにとって、チーム、ドライバーともに確かな手応えを感じられる結果となった第6戦モナコGP。そんなモナコでの週末をチームスタッフが振り返った。
伝統のモナコGP――モンテカルロ市街地コースで開催されるモナコGPは、シリーズの中でも独特の雰囲気を漂わせるグランプリだ。
今年で76回目となる長い歴史、華やかさがあふれる数々のイベント、いくつもの名勝負を生んできた市街地コース、そしてドライバーのだれもがウイナーとなることを夢見る特別な大会である。
トロロッソ・ホンダは、そんな華やかさに浸ることなく、速さを追求する戦いに挑んだ。シリーズ序盤のマシンの不調も対策が進み、前戦スペインではある程度の成果を確認できた。そして、モナコ独特のコースに対応するべく、シャシー、空力、パワーユニット(パワーユニット)もそれぞれに工夫を凝らし、期待を持って第6戦モナコGPを迎えた。
「モナコでは低速コーナーが多く、ドライバビリティが大きくタイムに影響します。なので、普段はあまり使わないような低速域でのパワーユニットセッティングが重要です。追い抜きが難しいコースですから予選が非常に重要で、そのため、予選を重視したエネルギーマネジメントを考えています。スペインGP後のテストで、パワーユニットの各コンポーネント間のエネルギーバランスの最適化にトライしましたが、そこで得たものを、いくつかここモナコで使えると考えています」とホンダF1のテクニカルディレクターの田辺豊治は語った。
ホンダとトロロッソの連携や信頼感も、シーズンが進むごとに深まっている。モナコでは、ホンダからトロロッソにマシンカラーを模したホンダ製のスクーターが贈られ、その贈呈式を走行前日の水曜日に行った。ドライバーのピエール・ガスリー、ブレンドン・ハートレーはそれぞれのゼッケンナンバーをつけたスクーターに乗って大はしゃぎし、場はトロロッソ・ホンダらしい、明るいムードに包まれた。
モナコGPは走行スケジュールも独特で、通常金曜日に行われるプラクティス1、2は木曜日に行われる。そして金曜日は走行がなく、さまざまなイベントが組み込まれている。迎えた木曜日、トロロッソ・ホンダの2台は好調な走り出しを見せた。トップ10には及ばなかったが、マシンの状態はドライバー、チームともに手応えを感じられるもので、特にハートレーは常にガスリーをリードするタイムをマークし、好調さをアピール。ガスリーも、若干セッティングバランスに苦しんだが、マシンの速さを実感していた。
「今はまだベストなセッティングを探している最中ですが、マシンに速さがあることは分かっているので、あとコンマ数秒詰めればベスト10に入れると思います」とピエール・ガスリー。走行のない金曜日も、チームは速さを求めて全力で作業を行った。
その努力の成果は、土曜日のプラクティス3に表れる。ハートレーが7番手、ガスリーが8番手と、これまでで最高の結果を残し、予選での期待が一気に高まった。
しかし、予選ではガスリー、ハートレーともに残念な結果に終わってしまう。それまでガスリーに勝る速さを見せていたハートレーは、Q1でトラフィックに引っかかりタイムが伸びず、Q2に進むことができなかった。バーレーン以来のQ3進出を果たしたガスリーは、ベストラップを刻んだ最終セクターでわずかにガードレールにヒットしてコンマ数秒を失い、10番手に終わった。
予選後、チーフエンジニアのジョナサン・エドルズは「新しいタイヤで走った最後のアタックは特にいい走りができていて、ターン15でタイムロスするまではコンマ数秒、縮めていました。6~7番手のポジションを狙うチャンスがあっただけに、残念でした」と悔しがった。
迎えた決勝レース当日。2人のドライバーは、予選でのミスをばん回するすばらしい仕事をして見せた。ともに初めてのモナコGPながら、レースではそれを感じさせないスピードと安定感のあるドライビングを披露。ハートレーはスタート直後の接触や、レース終盤にブレーキの壊れたマシンに追突されるという不運に見舞われたものの、走行ペースはよく、入賞目前までポジションを上げていた。ガスリーは、見事なタイヤマネージメントで、1セット目のハイパーソフトタイヤをだれよりも長く持たせ、ポジションを作り上げた。その戦略と、それをミスなく遂行し7位入賞を果たしたガスリーには多くの賞賛が寄せられた。
「FP3や予選でもいいパフォーマンスを見せていましたが、決勝でもその流れを維持し、ポジションアップが難しいここモナコで、予選結果を上回るかたちでレースを終えることができました。この結果はチーム全員の努力と、ガスリー選手のすばらしいドライビングのおかげだと思います。パワーユニットとしては予選、レースともに特殊なモナコのトラックに合わせたセットアップをまとめきり、週末を通してトラブルフリーで乗りきることができてよかったです」とレース後、田辺豊治はコメントしている。
チームもドライバーも序盤の苦しい時期を乗り越えて、マシンに手応えを感じている。難しいモナコでのレースを好結果で乗りきったことは、マシンの方向性が間違っていないことと、ドライバーがそのポテンシャルを発揮していることを合わせて自信につながり、チームのムードも一段とよくなっている。
シリーズ中盤に向けて、競争はさらに激しさを増すことだろう。次戦カナダでもマシンのアップデートが行われ、そして真価が問われるヨーロッパでの連戦がまもなく始まる。モナコでのいい流れを引き継ぐこと、そしてマシンのさらなるパフォーマンスアップが、トロロッソ・ホンダに求められている。
カテゴリー: F1 / トロロッソ / ホンダF1 / F1モナコGP
伝統のモナコGP――モンテカルロ市街地コースで開催されるモナコGPは、シリーズの中でも独特の雰囲気を漂わせるグランプリだ。
今年で76回目となる長い歴史、華やかさがあふれる数々のイベント、いくつもの名勝負を生んできた市街地コース、そしてドライバーのだれもがウイナーとなることを夢見る特別な大会である。
トロロッソ・ホンダは、そんな華やかさに浸ることなく、速さを追求する戦いに挑んだ。シリーズ序盤のマシンの不調も対策が進み、前戦スペインではある程度の成果を確認できた。そして、モナコ独特のコースに対応するべく、シャシー、空力、パワーユニット(パワーユニット)もそれぞれに工夫を凝らし、期待を持って第6戦モナコGPを迎えた。
「モナコでは低速コーナーが多く、ドライバビリティが大きくタイムに影響します。なので、普段はあまり使わないような低速域でのパワーユニットセッティングが重要です。追い抜きが難しいコースですから予選が非常に重要で、そのため、予選を重視したエネルギーマネジメントを考えています。スペインGP後のテストで、パワーユニットの各コンポーネント間のエネルギーバランスの最適化にトライしましたが、そこで得たものを、いくつかここモナコで使えると考えています」とホンダF1のテクニカルディレクターの田辺豊治は語った。
ホンダとトロロッソの連携や信頼感も、シーズンが進むごとに深まっている。モナコでは、ホンダからトロロッソにマシンカラーを模したホンダ製のスクーターが贈られ、その贈呈式を走行前日の水曜日に行った。ドライバーのピエール・ガスリー、ブレンドン・ハートレーはそれぞれのゼッケンナンバーをつけたスクーターに乗って大はしゃぎし、場はトロロッソ・ホンダらしい、明るいムードに包まれた。
モナコGPは走行スケジュールも独特で、通常金曜日に行われるプラクティス1、2は木曜日に行われる。そして金曜日は走行がなく、さまざまなイベントが組み込まれている。迎えた木曜日、トロロッソ・ホンダの2台は好調な走り出しを見せた。トップ10には及ばなかったが、マシンの状態はドライバー、チームともに手応えを感じられるもので、特にハートレーは常にガスリーをリードするタイムをマークし、好調さをアピール。ガスリーも、若干セッティングバランスに苦しんだが、マシンの速さを実感していた。
「今はまだベストなセッティングを探している最中ですが、マシンに速さがあることは分かっているので、あとコンマ数秒詰めればベスト10に入れると思います」とピエール・ガスリー。走行のない金曜日も、チームは速さを求めて全力で作業を行った。
その努力の成果は、土曜日のプラクティス3に表れる。ハートレーが7番手、ガスリーが8番手と、これまでで最高の結果を残し、予選での期待が一気に高まった。
しかし、予選ではガスリー、ハートレーともに残念な結果に終わってしまう。それまでガスリーに勝る速さを見せていたハートレーは、Q1でトラフィックに引っかかりタイムが伸びず、Q2に進むことができなかった。バーレーン以来のQ3進出を果たしたガスリーは、ベストラップを刻んだ最終セクターでわずかにガードレールにヒットしてコンマ数秒を失い、10番手に終わった。
予選後、チーフエンジニアのジョナサン・エドルズは「新しいタイヤで走った最後のアタックは特にいい走りができていて、ターン15でタイムロスするまではコンマ数秒、縮めていました。6~7番手のポジションを狙うチャンスがあっただけに、残念でした」と悔しがった。
迎えた決勝レース当日。2人のドライバーは、予選でのミスをばん回するすばらしい仕事をして見せた。ともに初めてのモナコGPながら、レースではそれを感じさせないスピードと安定感のあるドライビングを披露。ハートレーはスタート直後の接触や、レース終盤にブレーキの壊れたマシンに追突されるという不運に見舞われたものの、走行ペースはよく、入賞目前までポジションを上げていた。ガスリーは、見事なタイヤマネージメントで、1セット目のハイパーソフトタイヤをだれよりも長く持たせ、ポジションを作り上げた。その戦略と、それをミスなく遂行し7位入賞を果たしたガスリーには多くの賞賛が寄せられた。
「FP3や予選でもいいパフォーマンスを見せていましたが、決勝でもその流れを維持し、ポジションアップが難しいここモナコで、予選結果を上回るかたちでレースを終えることができました。この結果はチーム全員の努力と、ガスリー選手のすばらしいドライビングのおかげだと思います。パワーユニットとしては予選、レースともに特殊なモナコのトラックに合わせたセットアップをまとめきり、週末を通してトラブルフリーで乗りきることができてよかったです」とレース後、田辺豊治はコメントしている。
チームもドライバーも序盤の苦しい時期を乗り越えて、マシンに手応えを感じている。難しいモナコでのレースを好結果で乗りきったことは、マシンの方向性が間違っていないことと、ドライバーがそのポテンシャルを発揮していることを合わせて自信につながり、チームのムードも一段とよくなっている。
シリーズ中盤に向けて、競争はさらに激しさを増すことだろう。次戦カナダでもマシンのアップデートが行われ、そして真価が問われるヨーロッパでの連戦がまもなく始まる。モナコでのいい流れを引き継ぐこと、そしてマシンのさらなるパフォーマンスアップが、トロロッソ・ホンダに求められている。
カテゴリー: F1 / トロロッソ / ホンダF1 / F1モナコGP