【SUPER GT】 NISMO:第4戦 SUGO 決勝レポート
SUPER GT第4戦の決勝レースが行われ、14番手スタートの#23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)は、2人のドライバーの気迫あふれる走りで大幅なポジションアップを果たし、4位でフィニッシュした。
予選日はなんとか持ちこたえた天候も、夜半から雨が降り出し、決勝日のコース上はウェットコンディション。昼頃には空も明るくなりだんだんと路面も乾き始めたため、グリッド上ではスリックタイヤでスタートするかウェットタイヤでスタートするかの選択が各チームで分かれることになった。
#23 GT-Rはウェットタイヤでのスタートを選択。結果的に、スタート直前に大粒の雨が再びコースを濡らしたことで、スリックタイヤを選んだライバル勢が序盤に大きく順位を下げ、スタートドライバーのクインタレッリはオープニングラップで14番手から9番手へと大幅なポジションアップに成功した。
その次の周で、クインタレッリは7番手までさらにポジションアップ。6周目にセーフティカー(SC)が入り、11周目にリスタートが切られ、上位陣の1台がスピンでコースアウトしたことで6番手へと上がった。ここからは、前方の3台と集団での3位争いへ。周回遅れのGT300車両を間に挟みながらの接近戦がしばらく続くことになった。
再びレースが動いたのは40周目。コースアウト車両の回収のため、2度目のSCランとなった。47周目にリスタートが切られると、上位陣がピットインを選択し、#23 GT-Rは表彰台圏内の3位へと浮上。このまま上位争いを続けられるかと思った矢先、49周目に車両クラッシュが発生したため、このレースで3度目のSC導入となった。まだドライバー交代を済ませていなかった#23 GT-Rは、レースが再開された53周目にピットイン。チームは素早い作業でタイヤ交換とガソリン補給を済ませ、クインタレッリからバトンを受け取った松田がコースへと戻っていった。SC導入のタイミングで上位2台に周回遅れにされてしまったが、7番手に踏みとどまった松田は残りの約30周で猛チャージ。60周目に6番手へ上がると、翌周には5番手へ。79周目には、1コーナーのブレーキング勝負で4番手に上がると、残り2周で表彰台をかけた争いが展開された。松田は最後まで勢いを緩めず、前を行く#6 LC500を猛追。テール・トゥ・ノーズにまで持ち込んだ。惜しくも0.3秒差で順位逆転は叶わなかったが、14番手スタートから大きく順位を上げ、4位フィニッシュを果たした。
ロニー・クインタレッリ (#23 ドライバー)
「(オープニングラップで)スリックタイヤでスタートした数台をかわした後も、前にいたレクサス勢よりも自分の方がペースが良かったので、最初の数周でいいポジションまで上がれました。6号車も抜けるかと思いましたが、相手もかなり踏ん張っていたし、なかなか隙が無かったですね。チームとしては、完璧なレースはできたと思います。次生のスティントになって、最初に順位を確認した時には“なんでこのポジションになったんだ?”とがっかりしましたが、そこから次生がすごく頑張ってくれました。今日も、内容としては満足です。後半戦の最低限の目標は、まずは富士と鈴鹿でトップ5に入ること。特に富士は第2戦でもパフォーマンスが良かったので、ここは表彰台に上がりたいと思っています」
松田次生 (#23 ドライバー)
「ロニーのスティントは、すごくドキドキしながら見ていました。ものすごいシチュエーションで自分のスティントが来るのではと考えながら待機していて、代わった後は、一瞬なんで自分が周回遅れなんだろうとも思いました。SCは難しいです。(#8 NSX-GTとの4位争いは)最終コーナーでうまく合わせられたんですが、向こうもブロックしてきたので、僕はアウト側でぎりぎりのところまで我慢して、なんとかパスできました。その流れで6号車も抜けそうでしたが、最後にセクター1でGT300に引っかかってしまって。それがなければ、順位を上げられたかもしれません。最後のタイヤの状態を考えると、今回ミシュランさんがいいタイヤを持ってきてくれて、それが僕たちの助けになりました。自分たちのやるべきことはできたので、良かったかなと思います。今年はまだ大きな勝ちがないですが、ちゃんとポイントを重ねてこれています。タフな戦いが続くと思いますが、こういう積み重ねを続けていきたいです」
鈴木豊 (ニスモ 監督)
「2度目のSCが明けたタイミングでは、ドライタイヤに変えるにはまだ少し早いと判断してコース上に残ったのですが、直後にもう一度SCが出てしまいました。ウェットのペースも悪くなかったので、もう4~5周引っ張って、そこでスリックタイヤに換えればトップに立てる目論見だったので、残念でしたね。でも、そこから松田があきらめずにプッシュしてくれました。思った以上にペースも良く、8号車を抜いたときなどは痺れましたね。ロニーも前半の長いスティントを、ノーミスでしっかりポジションを上げてくれて、次生にも“いけるぞ!”という雰囲気で渡してくれました。2人ともすごく頑張ってくれて、非常にいいレースになりましたね。もちろん3度目のSCなどアンラッキーな部分もありましたが、次の富士でなんとか上位を狙えるように頑張ります。いったんは優勝争いから遠ざかった46号車が表彰台に上がったことは、ミシュランさんとしてもいいレースになりました。次は我々が、という気持ちでつなげていきたいです」
長谷見昌弘監督率いるNDDP RACINGの#3 B-MAX NDDP GT-R(星野一樹/高星明誠)は、予選5位からスタートしたが、2度のセーフティカー(SC)導入もあり、上位進出は阻まれた。しかし8位まで順位を上げてゴール。開幕から4戦連続入賞となった。
朝から弱い雨が降ったり止んだりというスポーツランドSUGO。決勝直前にも弱い雨がコースを濡らし始めたため、レインタイヤを装着してスタートすることとなった。ウェット路面では苦戦が予想されたが、スタートを担当した星野は最初の2周で3位まで順位を上げると、6周目にクラッシュした車両があり、その回収のために序盤からSCが導入された。
隊列を整えて10周完了の時点でレース再開となり、1コーナーで2位の車両と競り合い2位に浮上した。しかし他車に追い上げられ、16周目には4位へ。その後も厳しい展開ながら、8位にとどまっていた31周目でピットインして高星に交代。雨も弱まり天候も回復傾向にあると読み、スリックタイヤに交換した。
スリックタイヤで快調に走行していた高星が38周目を走行中に、最終コーナーでクラッシュした車両があり、その回収のために2回目のSCランとなった。この時点でクラストップとは周回遅れの19 位。44周完了でレースは再スタートし、ここで多くの車両がピットインしたことで、高星は13位まで順位を上げた。しかし直後の45周目に1コーナーとSPコーナーでクラッシュした車両があり、3度目のSC導入。この後ピットインする車両があり、高星は10位と入賞圏内へとさらにポジションを上げた。高星は順位を守って周回を続け、終盤に1台がピットインしたこともありひとつ順位を上げた9位でゴール。レース後にペナルティを受けた車両が順位を下げたため、正式結果は8位となり、開幕戦から4戦連続入賞を遂げてシリーズランキングで3ポイントを追加した。
星野一樹 (#3 ドライバー)
「ウェット路面では最初からグリップしない状態でしたが2位まで順位を上げることができました。タイヤが厳しくなってからは後続を押さえるような走りを展開して、ピットインまでは完璧でした。しかしそれ以降の2回のSCはアンラッキーでした。高星も速かったし表彰台が見えていただけに残念な結果です。消化不良なレースでしたが、クルマは進化しているので次は表彰台に乗れるよう頑張りたいと思います」
高星明誠 (#3 ドライバー)
「ピットインしてスリックタイヤに交換したタイミングは良かったですが、SCが2回出て自分の順位が分からない状態でした。まだハンディウェイトも軽い状態ですから、次の富士もそうですが、ボーナスポイントがつく鈴鹿1000kmで多くのポイントを獲得できるよう、いい結果を狙って粘り強く走りたいと思います」
長谷見昌弘 (NDDP RACING 監督)
「ちょっと運の悪いレース展開になってしまいました。SUGOのレースは一昨年もこんな感じでSCに翻弄されてしまい残念な結果ですね。序盤は星野も頑張って走ったし、いいタイミングでピットインして高星に交代し速く走れたけれど、その後の2回のSCがね。やはりウェットコンディションは厳しいので、ドライコンディションでレースをしたいですね」
関連:【SUPER GT】 第4戦SUGO 結果:DENSO KOBELCO SARD LC500が優勝
カテゴリー: F1 / SUPER GT
予選日はなんとか持ちこたえた天候も、夜半から雨が降り出し、決勝日のコース上はウェットコンディション。昼頃には空も明るくなりだんだんと路面も乾き始めたため、グリッド上ではスリックタイヤでスタートするかウェットタイヤでスタートするかの選択が各チームで分かれることになった。
GT500クラス 決勝レース
MOTUL AUTECH GT-R、幾多の波乱を乗り越えて4位フィニッシュ#23 GT-Rはウェットタイヤでのスタートを選択。結果的に、スタート直前に大粒の雨が再びコースを濡らしたことで、スリックタイヤを選んだライバル勢が序盤に大きく順位を下げ、スタートドライバーのクインタレッリはオープニングラップで14番手から9番手へと大幅なポジションアップに成功した。
その次の周で、クインタレッリは7番手までさらにポジションアップ。6周目にセーフティカー(SC)が入り、11周目にリスタートが切られ、上位陣の1台がスピンでコースアウトしたことで6番手へと上がった。ここからは、前方の3台と集団での3位争いへ。周回遅れのGT300車両を間に挟みながらの接近戦がしばらく続くことになった。
再びレースが動いたのは40周目。コースアウト車両の回収のため、2度目のSCランとなった。47周目にリスタートが切られると、上位陣がピットインを選択し、#23 GT-Rは表彰台圏内の3位へと浮上。このまま上位争いを続けられるかと思った矢先、49周目に車両クラッシュが発生したため、このレースで3度目のSC導入となった。まだドライバー交代を済ませていなかった#23 GT-Rは、レースが再開された53周目にピットイン。チームは素早い作業でタイヤ交換とガソリン補給を済ませ、クインタレッリからバトンを受け取った松田がコースへと戻っていった。SC導入のタイミングで上位2台に周回遅れにされてしまったが、7番手に踏みとどまった松田は残りの約30周で猛チャージ。60周目に6番手へ上がると、翌周には5番手へ。79周目には、1コーナーのブレーキング勝負で4番手に上がると、残り2周で表彰台をかけた争いが展開された。松田は最後まで勢いを緩めず、前を行く#6 LC500を猛追。テール・トゥ・ノーズにまで持ち込んだ。惜しくも0.3秒差で順位逆転は叶わなかったが、14番手スタートから大きく順位を上げ、4位フィニッシュを果たした。
ロニー・クインタレッリ (#23 ドライバー)
「(オープニングラップで)スリックタイヤでスタートした数台をかわした後も、前にいたレクサス勢よりも自分の方がペースが良かったので、最初の数周でいいポジションまで上がれました。6号車も抜けるかと思いましたが、相手もかなり踏ん張っていたし、なかなか隙が無かったですね。チームとしては、完璧なレースはできたと思います。次生のスティントになって、最初に順位を確認した時には“なんでこのポジションになったんだ?”とがっかりしましたが、そこから次生がすごく頑張ってくれました。今日も、内容としては満足です。後半戦の最低限の目標は、まずは富士と鈴鹿でトップ5に入ること。特に富士は第2戦でもパフォーマンスが良かったので、ここは表彰台に上がりたいと思っています」
松田次生 (#23 ドライバー)
「ロニーのスティントは、すごくドキドキしながら見ていました。ものすごいシチュエーションで自分のスティントが来るのではと考えながら待機していて、代わった後は、一瞬なんで自分が周回遅れなんだろうとも思いました。SCは難しいです。(#8 NSX-GTとの4位争いは)最終コーナーでうまく合わせられたんですが、向こうもブロックしてきたので、僕はアウト側でぎりぎりのところまで我慢して、なんとかパスできました。その流れで6号車も抜けそうでしたが、最後にセクター1でGT300に引っかかってしまって。それがなければ、順位を上げられたかもしれません。最後のタイヤの状態を考えると、今回ミシュランさんがいいタイヤを持ってきてくれて、それが僕たちの助けになりました。自分たちのやるべきことはできたので、良かったかなと思います。今年はまだ大きな勝ちがないですが、ちゃんとポイントを重ねてこれています。タフな戦いが続くと思いますが、こういう積み重ねを続けていきたいです」
鈴木豊 (ニスモ 監督)
「2度目のSCが明けたタイミングでは、ドライタイヤに変えるにはまだ少し早いと判断してコース上に残ったのですが、直後にもう一度SCが出てしまいました。ウェットのペースも悪くなかったので、もう4~5周引っ張って、そこでスリックタイヤに換えればトップに立てる目論見だったので、残念でしたね。でも、そこから松田があきらめずにプッシュしてくれました。思った以上にペースも良く、8号車を抜いたときなどは痺れましたね。ロニーも前半の長いスティントを、ノーミスでしっかりポジションを上げてくれて、次生にも“いけるぞ!”という雰囲気で渡してくれました。2人ともすごく頑張ってくれて、非常にいいレースになりましたね。もちろん3度目のSCなどアンラッキーな部分もありましたが、次の富士でなんとか上位を狙えるように頑張ります。いったんは優勝争いから遠ざかった46号車が表彰台に上がったことは、ミシュランさんとしてもいいレースになりました。次は我々が、という気持ちでつなげていきたいです」
GT300クラス 決勝レース
#3 B-MAX NDDP GT-Rが8位ゴールで4戦連続入賞長谷見昌弘監督率いるNDDP RACINGの#3 B-MAX NDDP GT-R(星野一樹/高星明誠)は、予選5位からスタートしたが、2度のセーフティカー(SC)導入もあり、上位進出は阻まれた。しかし8位まで順位を上げてゴール。開幕から4戦連続入賞となった。
朝から弱い雨が降ったり止んだりというスポーツランドSUGO。決勝直前にも弱い雨がコースを濡らし始めたため、レインタイヤを装着してスタートすることとなった。ウェット路面では苦戦が予想されたが、スタートを担当した星野は最初の2周で3位まで順位を上げると、6周目にクラッシュした車両があり、その回収のために序盤からSCが導入された。
隊列を整えて10周完了の時点でレース再開となり、1コーナーで2位の車両と競り合い2位に浮上した。しかし他車に追い上げられ、16周目には4位へ。その後も厳しい展開ながら、8位にとどまっていた31周目でピットインして高星に交代。雨も弱まり天候も回復傾向にあると読み、スリックタイヤに交換した。
スリックタイヤで快調に走行していた高星が38周目を走行中に、最終コーナーでクラッシュした車両があり、その回収のために2回目のSCランとなった。この時点でクラストップとは周回遅れの19 位。44周完了でレースは再スタートし、ここで多くの車両がピットインしたことで、高星は13位まで順位を上げた。しかし直後の45周目に1コーナーとSPコーナーでクラッシュした車両があり、3度目のSC導入。この後ピットインする車両があり、高星は10位と入賞圏内へとさらにポジションを上げた。高星は順位を守って周回を続け、終盤に1台がピットインしたこともありひとつ順位を上げた9位でゴール。レース後にペナルティを受けた車両が順位を下げたため、正式結果は8位となり、開幕戦から4戦連続入賞を遂げてシリーズランキングで3ポイントを追加した。
星野一樹 (#3 ドライバー)
「ウェット路面では最初からグリップしない状態でしたが2位まで順位を上げることができました。タイヤが厳しくなってからは後続を押さえるような走りを展開して、ピットインまでは完璧でした。しかしそれ以降の2回のSCはアンラッキーでした。高星も速かったし表彰台が見えていただけに残念な結果です。消化不良なレースでしたが、クルマは進化しているので次は表彰台に乗れるよう頑張りたいと思います」
高星明誠 (#3 ドライバー)
「ピットインしてスリックタイヤに交換したタイミングは良かったですが、SCが2回出て自分の順位が分からない状態でした。まだハンディウェイトも軽い状態ですから、次の富士もそうですが、ボーナスポイントがつく鈴鹿1000kmで多くのポイントを獲得できるよう、いい結果を狙って粘り強く走りたいと思います」
長谷見昌弘 (NDDP RACING 監督)
「ちょっと運の悪いレース展開になってしまいました。SUGOのレースは一昨年もこんな感じでSCに翻弄されてしまい残念な結果ですね。序盤は星野も頑張って走ったし、いいタイミングでピットインして高星に交代し速く走れたけれど、その後の2回のSCがね。やはりウェットコンディションは厳しいので、ドライコンディションでレースをしたいですね」
関連:【SUPER GT】 第4戦SUGO 結果:DENSO KOBELCO SARD LC500が優勝
カテゴリー: F1 / SUPER GT