オスカー・ピアストリ F1ハンガリーGP決勝「抜ける気がしなかった」

フィニッシュ直後のインタビューでは、「できる限りのことはやった」と語りながらも、悔しさをにじませた。
「全力でプッシュした。ランドが1ストップに切り替えたと分かった時点で、“これはコース上で抜くしかない”と覚悟したよ。でも、このサーキットでそれをやるのは口で言うほど簡単じゃない。いろいろ試したけど、今回はそのギャンブルがうまくいかなかった」
残り2周でターン1に仕掛けたシーンについても、「あれが最大のチャンスだった」と振り返る。
「もっとランドに接近するには、彼がミスをしてくれるしかなかった。0.2〜0.3秒くらい近づければ可能性があったけど、自分の中ではあれがベストのタイミングだったと思う。もちろん、もう1周待てばという見方もあるけど、もし次のチャンスが来なかったら後悔するから。だから行った」
記者会見では「今日のレースを一言で言うなら?」と聞かれ、「“ミックス”だね」と答えたピアストリ。その理由をこう説明している。
「こんなに僅差でレースに負けたときは、やっぱり悔しさが残る。でも、外から見ても面白いレースだったと思うし、実際に走っていても楽しかったよ。ただ、負けた側としてはちょっと辛い。でもベストは尽くした。シャルルを抜けたのも大きかったし、マシンは週末を通じてすごく良かった」
Q3で風の変化に苦しんだ予選から一転、決勝では見事な追い上げを見せたピアストリだが、「ランドと同じ1ストップを選ぶべきだったのではないか」との質問にも率直に答えた。
「そもそもレース前の時点では、1ストップはほぼ議論にも上がってなかった。2ストップが基本方針だったからね。ただ、レース中に1ストップの可能性については少し話した。でもコックピットの中からでは、どちらが正解かを判断するのは難しい」
「ランドは順位を落としていて、リスクを取るしかなかった。一方で僕は前を走っていたし、リスクを冒せば代償も大きかった。だから2ストップを選んだのは合理的だったと思う。ただ、結果を見れば1ストップが正解だったのかもしれない。あとで検証はするつもりだよ」

また、レース後半のランドとのバトルについては、「自分の方がペースはあった。でも、近づきすぎると中高速の連続コーナーでダウンフォースが失われてしまう」と技術的な視点から解説する。
「中盤セクターの連続コーナーで差を詰めると、次のコーナーで逆に詰められなくなる。ある意味、自分の速さが次のターンでの武器を奪ってしまうんだ。最終コーナーも長くて、その時点で前のマシンにピッタリ付いていると、メインストレートでの加速にも悪影響が出る。だから、接近戦は本当に難しかった」
「ロックアップはそこまで大きな影響じゃなかったよ。残り1周でまた差を詰め直すことはできた。ただ、そこからさらに2〜3テンポ縮めるのは、もはや新品のソフトタイヤでもないと無理だったと思う」
タイトル争いへの影響についても問われたが、ピアストリは冷静だった。
「夏休みに入るけど、ポイント差は10レース以上ずっと10ポイント以内で動いてる。だから特に気にしてない。今日あと1秒早くゴールしていれば“勢いはピアストリだ”って言われてたはず。そういう世界だからね。去年のカナダ以降、僕たちはずっと安定して強いパフォーマンスを維持していると思う。後半もそれを続けるだけ」
最後に、昨年「予選での改善」を課題として挙げていた件について聞かれると、「今年はかなり改善できてると思う」と満足げに答えた。
「もちろん完璧ではないけど、去年よりずっと安定している。去年は週末ごとにバラつきがあって、一貫性がなかったけど、今年は“週末を通じてまとめる”という点で手応えがある。このまま、それを毎戦続けていくことが後半戦の鍵になると思うよ」
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