スーパーフォーミュラ:野尻智紀が開幕から2連勝で鈴鹿を制す
2021年のスーパーフォーミュラ 第2戦の決勝レースが4月25日(日)に鈴鹿サーキットで開催され、野尻智紀(TEAM MUGEN)が開幕2連勝を挙げた。
30周という短いレースながら、途中セーフティーカーが導入されるなど、波乱もあった第2戦。序盤にPPからトップを守っていた福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がタイヤバーストで姿を消したあとは、予選2番手からスタートした野尻智紀(TEAM MUGEN)がトップに浮上するとそのままポジションを守って、トップチェッカー。2008年の松田次生以来となる開幕2連勝を果たした。
2位には、スタートでポジションを上げた平川亮(carenex TEAM IMPUL)。平川にとっては、今季初表彰台となった。3位には笹原右京(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が入賞。笹原は今季代役参戦ながら、自身初の表彰台を獲得し、存在感をアピールした。
気温23℃、路面温度31℃というコンディションのもと、午後2時30分にフォーメーションラップがスタートした。ここで痛恨のエンジンストールに見舞われたのは、阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)。阪口は、エンジンを再始動して隊列に加わったが、最後尾グリッドからスタートすることとなってしまった。
19台の1周の隊列走行を終え、正規グリッドに着くと、後方でグリーンフラッグが振られ、シグナルオールレッドからブラックアウト。その瞬間、各ドライバーが30周先のゴールに向けて一気に加速する。ここで好スタートを切ったのは、PPの福住。2番手グリッドの野尻がこれに続く。予選3番手の大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)はクラッチミート後にストール気味となり失速。後方集団に飲み込まれる形となって一気に14番手までドロップし、そこからの追い上げを図ることとなった。大湯に代わって3番手に浮上したのは、平川。笹原も4番手に浮上する。また、予選6番手の宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)、予選8番手のジュリアーノ・アレジ(Kuo VANTELN TEAM TOM’S)がスタートでポジションダウン。これに対して、開幕戦に続き好スタートを切った関口雄飛(carenex TEAM IMPUL)が5番手、大津弘樹(Red Bull MUGEN Team Goh)が6番手に浮上してくる。
スタートでトップを守った福住は、オープニングラップから1分40秒台のタイムをマークし、野尻を突き放しにかかる。その後方では、4番手争いの笹原と関口が2周目のシケインから3周目の1コーナーにかけて接近戦。シケインでは関口が一旦前に出たが、笹原が1コーナーでポジション取り戻すというバトルが展開された。また、5周目の1コーナーでは大湯と松下信治(B-Max Racing Team)によるホイール・トゥ・ホイールのバトルが勃発。2台は軽く接触したが、大湯はオーバーテイクシステムを使いながら、松下の攻略に成功した。
一方の首位攻防戦はジワジワと差が広がり、5周を終えたところで福住が野尻に対して2秒473のリードを築く。そこから福住はさらにマージンを稼ぎ、8周を終えたところでは3秒033というリードを築いていた。ところが、9周目のスプーンコーナーで福住のマシンに異変が発生。バックストレートで右リヤタイヤがバーストし、福住はスローダウン。ピットに戻る途中にサスペンションにもダメージを負い、そのままリタイヤとなってしまう。代わってトップに立ったのは野尻。そこからは2番手に浮上した平川が、ジワジワと差を詰め始めた。そして、野尻が10周を終えたところで、ピットは一気に慌ただしくなる。ここでピットに入ったのは、関口、大津、山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)、山下健太(KONDO RACING)、松下、阪口、大嶋和也(NTT Communications ROOKIE)、タチアナ・カルデロン(ThreeBond Drago CORSE)。大嶋は再スタートの際にエンジンストールして遅れる形となったが、それ以外にはポジションの入れ替わりはなく、各ドライバーがコースに戻っていった。
この動きを見て、翌周ピットに入ったのは、3番手を走行していた笹原。国本雄資(KCMG)、中山雄一(KONDO RACING)も同じく11周を終えたところでピットに入る。笹原は、関口の前でコースに戻ることに成功し、ポジションを守った形だ。
そして、間もなくトップが動く。平川のタイヤがピットロードに用意されたのを見て、野尻は同時ピットインを狙い、13周を終えたところでピットイン。しかし、carenex TEAM IMPULのクルーは平川のピットインを遅らせた。TEAM MUGENは7秒という素早い作業でチームは野尻を送り出す。そのアウトラップで、野尻は猛プッシュを開始。対する平川は、野尻がピットに入ったのを見て、インラップでやはり猛プッシュ。14周を終えてピットに滑り込むと、野尻と同様、7秒1という素早い作業を終えて、コースに戻った。この時、メインストレートでは、野尻がオーバーテイクシステムを使いながら、平川の前に出る。しかし、野尻のタイヤはまだ温まり切っておらず、マシンがボトミング。1コーナーでオーバーランし、肝を冷やす場面もあった。しかし、野尻はきっちりポジションキープしている。
その翌周、16周目には、大きなアクシデントが発生する。福住と同じく、130Rに入ったところで国本の右リヤタイヤがバースト。国本はクルクルとスピンしながら、スポンジバリアに激突し、マシンがひっくり返る形となった。幸い国本にケガはなかったが、これによりコース上にはセーフティーカーが導入される。
タイヤ交換を引っ張る作戦に出て、まだピットに入っておらず、この時見た目上のトップに立っていたのは宮田。2番手にはチームメイトのアレジがつけていた。セーフティーカーが導入されると、チームは2台を同時に呼び戻し、タイヤ交換。だが、最初に立てていた作戦は完全に裏目に出る形となり、宮田は6番手、アレジは11番手で隊列に戻ることとなってしまった。
国本のマシンの回収が終わり、レースがリスタートしたのは19周終了時点。ここからは残り11周のスプリントとなり、各所でオーバーテイクシステムを使ってのバトルが発生。 7番手争いの中で、山本が一旦は坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)をオーバーテイク。しかし、翌21周目のシケインからは坪井がオーバーテイクシステムを作動させ続け、S字の一つ目でポジションを取り返すことに成功した。また、25周目には10位争いのアレジと山下が接近。こちらもオーバーテイクシステムを使いながらのバトルとなったが、2台は1コーナーからS字まで真横に並ぶ形となり、最終的にはアレジがポジションを上げることに成功した。その同じ周のシケインでは、阪口がオーバーテイクシステムを使って、山下の前に出る。さらに、山下の前に出たアレジが27周目の1コーナーでは大湯の攻略にも成功した。
これに対して、トップ争いは膠着。リスタート直後こそ野尻と平川の差は開いていったが、残り5周というところからは、平川がジワジワと差を詰め、1秒3〜4というところまで迫った。しかし、野尻は動じることなく、そのまま走り切り、開幕戦に続くトップチェッカー。2連勝を果たし、ポイントでも頭一つ抜きん出る形となった。これに続き、今季初表彰台を獲得したのは平川。今回も全体的にホンダエンジンユーザー勢の方がストレートスピードが速く、トヨタエンジンユーザーの平川はそこが弱点となったが、後方から追ってくる笹原を上手く突き放していく頭脳プレーを見せただけでなく、最後は野尻にも迫る力強さを見せた。そして3位には笹原。笹原にとっては、嬉しい初表彰台。オープニングラップの攻防の中でブレーキをロックし、レース前半はタイヤのフラットスポットから来るバイブレーションに苦しんだというが、ようやく結果を出した。以下、関口、大津、宮田、坪井、最終ラップの最終コーナーで坪井に迫った山本、アレジ、大湯までが入賞している。
決勝1位:No.16 野尻智紀(TEAM MUGEN)
「ありがとうございます。今日のレースは、正直僕のレースじゃないかなというところもあって…。序盤戦ですごい厳しいなぁと思っていたんですけど、違うレースではりますが、福住(仁嶺)選手とはSUPER GTでチームメイトですし、彼の気持ちを考えると素直に喜べないところもちょっとあります。まぁでもチームのみんなの頑張りもあるので、喜ばないといけないかなという葛藤もあります。今週、走り始めがあまり調子良くなくて…。これは、僕と僕がオーダーしたクルマの方向性が間違っていて、その辺でチームのみんなにすごいハードワークを強いてしまったところがあったと思います。それでも(チームが)すごく完璧に仕事をこなしてくれたので、ほんとチームのみんなに感謝です。あとは、次に向けてここからひとつひとつのピースをはめ込んでいかなくてはいけないので、しっかりと地に足つけて、また次のオートポリス戦でさらに高く飛躍できるように、その準備をインターバルの間にしていきたいと思います。ほんとにたくさんの方々に応援して頂き、支えてもらった今週の優勝かなと思います」
(8周目にトップ福住選手が戦線離脱したことで、戦略の変更は?)
「さほどその瞬間(福住選手のトラブル)から作戦の影響はあまりなかったんですが、気持ちとしては、正直あのダンデライアンのクルマが(タイヤ)バーストするという…あまり過去を振り返ってもそういう印象がまったくなかったものですから、自分のクルマも今まで(タイヤが)バーストしたことがなかったですけれども、すごくイヤな思いがよぎりました。その心配が最後まで常につきまといました。でも、ここで(勢いを)緩めてはいけないと思うし、いけないというか、タイトルを本気で獲りに行こうと思ったら、ここはプッシュし続けないといけないと気持ちを切り替えて、最後まで集中を切らさず走ることができたかなと思います」
(ピットインのタイミングは)「鈴鹿だと気温も上がってきてますからアウトラップの心配は大きくなくて、タイヤへの攻撃性も高荷重のサーキットで高いというところから、トータルで考えると均等割するくらいが一番速い(ペースで走れる)んじゃないかというのが前提にあって…。ただ状況によって(ピットインのタイミングが)前後するとは思うのですが、その中で福住選手の(タイヤ)バーストが(あったので)少し早めに入りたくなったところはあります。あとはチームから伝えられていた無線(のやりとり)の中では、平川(亮)選手にどう対応するかがキモでした。「平川選手が次の周に(ピットへ)入りそうだから、次の周(ピットに)入って」という無線だったので、僕としては同じタイミングでピットインしたつもりだったんですが、平川選手は結果的に多分もう一周引っ張ったと思うんで…。「あれ?この周、平川選手は(ピットに)入らなかったな」とちょっと思ったんですが(苦笑)、結果的にどっちの周でも(平川の)前に出れたことに変わりはなかったかなと思います。先に動けたし、(タイヤの)ウォームアップも非常に良かったので、オーバーカットされることなく前に出られたのが良かったなと思います」
(そのアウトラップの1コーナーでオーバーランしたが)「僕のクルマは結構車高を攻めていたこともあって、1コーナーでは(クルマが)ボトミングして(底を突いて)しまっていて、完全にクルマが宙に浮いて、舵を切ってもまっすぐ行っちゃうというような感じのオーバーランでした。自分の中ではもしかしたら(レースの)展開を大きく左右してしまったかもしれないミスのひとつではあるので、反省しなきゃいけない点のひとつかなと思います。平川選手の前に出られた安堵感だったりという点で少し気が緩んだ部分もあり、(タイヤの)内圧が上がり切ってなかった部分をもう少し自分としてはケアするべきだった思います。大事に至らなったのは本当に運としか言いようがないくらいなものなので、その辺きっちり詰めていかないといけないかなと思います。だいぶヒヤッとしました」
(トップに出てからひとり1分41秒台をキープ。クルマは仕上がっていたか?)「そうですね。朝のフリー走行の段階から昨日の予選を終えて、「今のクルマのパフォーマンスとこの雰囲気の中で、燃料を積んだらどういう風なクルマになるか?」っていうところを想像しながら、またちょっとロング向けにアジャストしたところもありました。そこのイメージと今日の朝(フリー走行)で走り出したときの実際のフィーリングがものすごく近くて…。その瞬間にかなりの手応えを僕とチームは得ることができていました。なので、クルマとしてはすごくいいところにまとまっていたかなと思います」
(2連勝で2位に22点差となったが)「良くも悪くも2戦で稼いだポイントですから、2戦とは言わず1戦で失う可能性も十分にあるので、特別気ににしていないというか、(逆に)危機感はあります。さほど差が開いて良かったなとは思っていないです。このスーパーフォーミュラは誰が勝ってもおかしくないし、各チームがすごく技術力を持っている選手権です。今回不調だとしても次のレースからまったく違ったクルマでシリーズの流れを変えてくるようなところがあってもおかしくないと思うので、それを含めて自分たちももっともっとやっていかなきゃいけない。常に危機感をチームに与えながらもっとプッシュ——、ドライバー的にもチーム的にも一丸となってプッシュし続けられたらいいかなと思います。
この先、昨シーズン優勝したオートポリスであったり、(その後の)SUGOも初優勝の地ですから思い入れというか、いいイメージは当然ありますが、逆にそれに引っ張られても良くないと思うので、すごくまっさらなところからスタートしたいなと思います。昨シーズンのオートポリスも優勝はしましたが、圧倒的にペースが良かったのは山本(尚貴)選手でした。その辺も踏まえて改善すべき点はしっかりと改善をしていかなくてはいけないというところで、怠ることなく妥協なくやっていきたいと思います」
決勝2位:No.20 平川亮(carenex TEAM IMPUL)
「久しぶりに表彰台に乗れたのはうれしいです。鈴鹿はさほど自分的に得意ではないと思っていたので、その中で昨日の予選もうまくまとめてそれなりにいいポジションも取れたし、今日のレースもしっかりトップ争いには絡めていたので、そこはチームとしても自分としても成長しているところとして実感できました。なので、そこは今後に向けて自信にもなりました。ただ野尻(智紀)選手に2連勝されていてポイントランキング的にも大きく離されてしまっているし、予選のポイントも取れていないので、かなりちょっと差はあるんですが、夏になって得意なもてぎ戦があるので、それに向けてしっかり流れを作れているのかなと思います。ただやっぱりもっと上に行かなきゃいけないし、次のオートポリスは自分としてはすごく好きで得意なサーキットだと思っているので、しっかりと準備して臨みたいと思います」
(野尻に対し、ピットインのタイミングを1周ずらしたのは)「同時ピットでは勝てないですからね。何か違うことをやらないと勝てないですから、もう1周引っ張っただけです。(チームメイトの関口雄飛選手の調子も上がり、チーム全体としてもいい調子に見えるが)2台で速いほうがいろいろと比較ができたりしますし、今週はすごく助けてもらったこともあったのでそこは非常に良かったと思います。自分としてはチームメイトがいなくても、ひとりでやれる力をつけたいと思っているのですが、今週は逆に助けられた部分があったので、そこはチームにも助けられたのかなと思います。やはり2台で上位を争っているほうがチームの士気も高いので、そこは非常に良かったと思います。(次戦の)オートポリスに向けてはまだ特に考えていませんが、うまくやれれば勝てると思うので、そこは事前の準備をいつものようにして、週末をしっかりとまとめられればいい結果が出ると思うのんで、そこはあまり深く考えすぎずに楽しんでいけたらいいかなと思います」
決勝3位:No. 6 笹原右京(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
「まずは、優勝した野尻(智紀)選手、「おめでとうございます」。同じチームの福住(仁嶺)選手がああいった形(タイヤバースト)でレースを失っているのですが、結果として3位表彰台に立って、ひとつステップを踏み出せたのかなと思います。自分自身は週末を通してスピードに欠けるというか、いま一歩足りない状況が続いていたんですが、チームの皆さんが一生懸命サポートしてくれて、粘り強く耐えるレースをできたからこそここにいられると思うので、ほんとにチームの皆さんに感謝しかないです。
最初のほうで大きなミスをしてしまって(タイヤに)大きなフラットスポットを作ってしまったので、当然、(クルマの)振動も大きかったですし、福住選手のトラブルも目撃していたので心配もありました。今回も前回も代役という形で参戦させていただいているので、当然チームのためにポイントを持って帰るというのが第一のタスクとしてあるんですが、(戦いは)自分の人生のことでもあるので(アクセルを)緩めたくなかったというか、最後まで悔いは残さず全力で走りたいなと思っていたので…。そういった形がなんとか少しでもこういう結果に繋がったのだとしたら、そこはポジティブに捉えたいと思います」
(代役参戦で毎戦結果を求められることはプレッシャーだったのでは?)「間違いなくプレッシャーはすごいですし、フリー走行の走り始めから決勝が終わるまで、一周一周すべてが最後のチャンスだと思って走っていました。プレッシャーも大きかったですし、いつどのタイミングで次のレースに出られる/出られないということもチームや皆さんとの話し合いで決まっていくので、年間で(レースに)出られるとしたらチームの皆さんとともに色んな準備ができる要素もあるのですが、こういう形(代役参戦)になると限られた時間しかないわけで…。でも今日に至るまでもそうですが、毎日、自分の時間というのをきっちりと見つめ直し、やれることを精一杯やろうとやってきたので、まだまだ足りないとは思いますが、とにかく大変な状況の中でチームが献身的にサポートしてくれたので、本当にクリアな状態でレースに挑めていました。チームのサポートには感謝しかないです」
優勝チーム監督:TEAM MUGEN 田中洋克監督
「ただただほんとにうれしくて言葉が出ないくらい。うれしいです。(マスク着用で)顔はそんな表情をしていないかもしれませんが…。ほんとにありがとうございました。今年、チームの体制が変わったわけですが、チームのメンバーがずっと作ってきたものにたまたまそのタイミングで僕が今年監督になっただけで、大きな仕事をしているわけではないんですけど、チームのみんなの努力のおかげです。あとは、野尻(智紀)選手のメンタル的にもすごく強くなったなと思います。昨日のフリー走行はすごい悪かったのですが、通常だとあそこから気持ちが下がっていくような雰囲気がこれまであったんですが、きっちり持ち直して、予選、併せて決勝——、優勝できたというところで、野尻選手もすごく強くなったと思います。彼は精神的にいろいろ不安になったり、心配事があるとどうしてもそっちの方向にどうしても行って色んなことにはまってしまうことがあるように僕から見てそう思うのですが、なるべくそう行かないように…と。僕らも野尻を信頼しているのでそういう部分で安心させてあげるような、そういう取り組みをチーム全体としてしています。彼を持ち上げる感じですね」
(これまでのエンジンエンジニアから監督に就任して、2戦を終えたが)「まだ自分で言うと、”監督”という板にまだ乗っていないなという感じです。まだ自分でなにができるのかというところをいろいろ考えています。(他の関係者の)皆さん(が見て)もまだ監督として馴染んでいないようなところが多分あると思いますが(苦笑)、この先きっちりと自分のやりたいことをいろいろ形にして挑んでいきたいと思います。スーパーフォーミュラのクラスで2戦連続で勝つことは至難の業。これはチームとドライバー、そしてスポンサーさん、ファンの皆さんの応援あってのことだと思いますが、出来すぎでちょっと怖いくらい。ただなんとなくこの勢いだと次(第3戦)も行けるんじゃないかなと思ってます。「全戦ポール・トゥ・ウィン」(を目指す)と言ったものの、ここまで実際にいい成績で来れるとは思っていなかったので…。ありがとうございます。調子に乗ってるなと思われるかもしれないですが、ぜひ優勝目指して連勝目指して頑張りたいと思います。
一方で、こうやってレースができているというのも、医療従事者の皆さんが日々新型コロナウイルスと戦ってくれているおかげでもあるので、レースができることに感謝しています。本当にありがとうございます。この場を借りてお礼申し上げます」
カテゴリー: F1 / スーパーフォーミュラ
30周という短いレースながら、途中セーフティーカーが導入されるなど、波乱もあった第2戦。序盤にPPからトップを守っていた福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がタイヤバーストで姿を消したあとは、予選2番手からスタートした野尻智紀(TEAM MUGEN)がトップに浮上するとそのままポジションを守って、トップチェッカー。2008年の松田次生以来となる開幕2連勝を果たした。
2位には、スタートでポジションを上げた平川亮(carenex TEAM IMPUL)。平川にとっては、今季初表彰台となった。3位には笹原右京(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が入賞。笹原は今季代役参戦ながら、自身初の表彰台を獲得し、存在感をアピールした。
気温23℃、路面温度31℃というコンディションのもと、午後2時30分にフォーメーションラップがスタートした。ここで痛恨のエンジンストールに見舞われたのは、阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)。阪口は、エンジンを再始動して隊列に加わったが、最後尾グリッドからスタートすることとなってしまった。
19台の1周の隊列走行を終え、正規グリッドに着くと、後方でグリーンフラッグが振られ、シグナルオールレッドからブラックアウト。その瞬間、各ドライバーが30周先のゴールに向けて一気に加速する。ここで好スタートを切ったのは、PPの福住。2番手グリッドの野尻がこれに続く。予選3番手の大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)はクラッチミート後にストール気味となり失速。後方集団に飲み込まれる形となって一気に14番手までドロップし、そこからの追い上げを図ることとなった。大湯に代わって3番手に浮上したのは、平川。笹原も4番手に浮上する。また、予選6番手の宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)、予選8番手のジュリアーノ・アレジ(Kuo VANTELN TEAM TOM’S)がスタートでポジションダウン。これに対して、開幕戦に続き好スタートを切った関口雄飛(carenex TEAM IMPUL)が5番手、大津弘樹(Red Bull MUGEN Team Goh)が6番手に浮上してくる。
スタートでトップを守った福住は、オープニングラップから1分40秒台のタイムをマークし、野尻を突き放しにかかる。その後方では、4番手争いの笹原と関口が2周目のシケインから3周目の1コーナーにかけて接近戦。シケインでは関口が一旦前に出たが、笹原が1コーナーでポジション取り戻すというバトルが展開された。また、5周目の1コーナーでは大湯と松下信治(B-Max Racing Team)によるホイール・トゥ・ホイールのバトルが勃発。2台は軽く接触したが、大湯はオーバーテイクシステムを使いながら、松下の攻略に成功した。
一方の首位攻防戦はジワジワと差が広がり、5周を終えたところで福住が野尻に対して2秒473のリードを築く。そこから福住はさらにマージンを稼ぎ、8周を終えたところでは3秒033というリードを築いていた。ところが、9周目のスプーンコーナーで福住のマシンに異変が発生。バックストレートで右リヤタイヤがバーストし、福住はスローダウン。ピットに戻る途中にサスペンションにもダメージを負い、そのままリタイヤとなってしまう。代わってトップに立ったのは野尻。そこからは2番手に浮上した平川が、ジワジワと差を詰め始めた。そして、野尻が10周を終えたところで、ピットは一気に慌ただしくなる。ここでピットに入ったのは、関口、大津、山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)、山下健太(KONDO RACING)、松下、阪口、大嶋和也(NTT Communications ROOKIE)、タチアナ・カルデロン(ThreeBond Drago CORSE)。大嶋は再スタートの際にエンジンストールして遅れる形となったが、それ以外にはポジションの入れ替わりはなく、各ドライバーがコースに戻っていった。
この動きを見て、翌周ピットに入ったのは、3番手を走行していた笹原。国本雄資(KCMG)、中山雄一(KONDO RACING)も同じく11周を終えたところでピットに入る。笹原は、関口の前でコースに戻ることに成功し、ポジションを守った形だ。
そして、間もなくトップが動く。平川のタイヤがピットロードに用意されたのを見て、野尻は同時ピットインを狙い、13周を終えたところでピットイン。しかし、carenex TEAM IMPULのクルーは平川のピットインを遅らせた。TEAM MUGENは7秒という素早い作業でチームは野尻を送り出す。そのアウトラップで、野尻は猛プッシュを開始。対する平川は、野尻がピットに入ったのを見て、インラップでやはり猛プッシュ。14周を終えてピットに滑り込むと、野尻と同様、7秒1という素早い作業を終えて、コースに戻った。この時、メインストレートでは、野尻がオーバーテイクシステムを使いながら、平川の前に出る。しかし、野尻のタイヤはまだ温まり切っておらず、マシンがボトミング。1コーナーでオーバーランし、肝を冷やす場面もあった。しかし、野尻はきっちりポジションキープしている。
その翌周、16周目には、大きなアクシデントが発生する。福住と同じく、130Rに入ったところで国本の右リヤタイヤがバースト。国本はクルクルとスピンしながら、スポンジバリアに激突し、マシンがひっくり返る形となった。幸い国本にケガはなかったが、これによりコース上にはセーフティーカーが導入される。
タイヤ交換を引っ張る作戦に出て、まだピットに入っておらず、この時見た目上のトップに立っていたのは宮田。2番手にはチームメイトのアレジがつけていた。セーフティーカーが導入されると、チームは2台を同時に呼び戻し、タイヤ交換。だが、最初に立てていた作戦は完全に裏目に出る形となり、宮田は6番手、アレジは11番手で隊列に戻ることとなってしまった。
国本のマシンの回収が終わり、レースがリスタートしたのは19周終了時点。ここからは残り11周のスプリントとなり、各所でオーバーテイクシステムを使ってのバトルが発生。 7番手争いの中で、山本が一旦は坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)をオーバーテイク。しかし、翌21周目のシケインからは坪井がオーバーテイクシステムを作動させ続け、S字の一つ目でポジションを取り返すことに成功した。また、25周目には10位争いのアレジと山下が接近。こちらもオーバーテイクシステムを使いながらのバトルとなったが、2台は1コーナーからS字まで真横に並ぶ形となり、最終的にはアレジがポジションを上げることに成功した。その同じ周のシケインでは、阪口がオーバーテイクシステムを使って、山下の前に出る。さらに、山下の前に出たアレジが27周目の1コーナーでは大湯の攻略にも成功した。
これに対して、トップ争いは膠着。リスタート直後こそ野尻と平川の差は開いていったが、残り5周というところからは、平川がジワジワと差を詰め、1秒3〜4というところまで迫った。しかし、野尻は動じることなく、そのまま走り切り、開幕戦に続くトップチェッカー。2連勝を果たし、ポイントでも頭一つ抜きん出る形となった。これに続き、今季初表彰台を獲得したのは平川。今回も全体的にホンダエンジンユーザー勢の方がストレートスピードが速く、トヨタエンジンユーザーの平川はそこが弱点となったが、後方から追ってくる笹原を上手く突き放していく頭脳プレーを見せただけでなく、最後は野尻にも迫る力強さを見せた。そして3位には笹原。笹原にとっては、嬉しい初表彰台。オープニングラップの攻防の中でブレーキをロックし、レース前半はタイヤのフラットスポットから来るバイブレーションに苦しんだというが、ようやく結果を出した。以下、関口、大津、宮田、坪井、最終ラップの最終コーナーで坪井に迫った山本、アレジ、大湯までが入賞している。
決勝1位:No.16 野尻智紀(TEAM MUGEN)
「ありがとうございます。今日のレースは、正直僕のレースじゃないかなというところもあって…。序盤戦ですごい厳しいなぁと思っていたんですけど、違うレースではりますが、福住(仁嶺)選手とはSUPER GTでチームメイトですし、彼の気持ちを考えると素直に喜べないところもちょっとあります。まぁでもチームのみんなの頑張りもあるので、喜ばないといけないかなという葛藤もあります。今週、走り始めがあまり調子良くなくて…。これは、僕と僕がオーダーしたクルマの方向性が間違っていて、その辺でチームのみんなにすごいハードワークを強いてしまったところがあったと思います。それでも(チームが)すごく完璧に仕事をこなしてくれたので、ほんとチームのみんなに感謝です。あとは、次に向けてここからひとつひとつのピースをはめ込んでいかなくてはいけないので、しっかりと地に足つけて、また次のオートポリス戦でさらに高く飛躍できるように、その準備をインターバルの間にしていきたいと思います。ほんとにたくさんの方々に応援して頂き、支えてもらった今週の優勝かなと思います」
(8周目にトップ福住選手が戦線離脱したことで、戦略の変更は?)
「さほどその瞬間(福住選手のトラブル)から作戦の影響はあまりなかったんですが、気持ちとしては、正直あのダンデライアンのクルマが(タイヤ)バーストするという…あまり過去を振り返ってもそういう印象がまったくなかったものですから、自分のクルマも今まで(タイヤが)バーストしたことがなかったですけれども、すごくイヤな思いがよぎりました。その心配が最後まで常につきまといました。でも、ここで(勢いを)緩めてはいけないと思うし、いけないというか、タイトルを本気で獲りに行こうと思ったら、ここはプッシュし続けないといけないと気持ちを切り替えて、最後まで集中を切らさず走ることができたかなと思います」
(ピットインのタイミングは)「鈴鹿だと気温も上がってきてますからアウトラップの心配は大きくなくて、タイヤへの攻撃性も高荷重のサーキットで高いというところから、トータルで考えると均等割するくらいが一番速い(ペースで走れる)んじゃないかというのが前提にあって…。ただ状況によって(ピットインのタイミングが)前後するとは思うのですが、その中で福住選手の(タイヤ)バーストが(あったので)少し早めに入りたくなったところはあります。あとはチームから伝えられていた無線(のやりとり)の中では、平川(亮)選手にどう対応するかがキモでした。「平川選手が次の周に(ピットへ)入りそうだから、次の周(ピットに)入って」という無線だったので、僕としては同じタイミングでピットインしたつもりだったんですが、平川選手は結果的に多分もう一周引っ張ったと思うんで…。「あれ?この周、平川選手は(ピットに)入らなかったな」とちょっと思ったんですが(苦笑)、結果的にどっちの周でも(平川の)前に出れたことに変わりはなかったかなと思います。先に動けたし、(タイヤの)ウォームアップも非常に良かったので、オーバーカットされることなく前に出られたのが良かったなと思います」
(そのアウトラップの1コーナーでオーバーランしたが)「僕のクルマは結構車高を攻めていたこともあって、1コーナーでは(クルマが)ボトミングして(底を突いて)しまっていて、完全にクルマが宙に浮いて、舵を切ってもまっすぐ行っちゃうというような感じのオーバーランでした。自分の中ではもしかしたら(レースの)展開を大きく左右してしまったかもしれないミスのひとつではあるので、反省しなきゃいけない点のひとつかなと思います。平川選手の前に出られた安堵感だったりという点で少し気が緩んだ部分もあり、(タイヤの)内圧が上がり切ってなかった部分をもう少し自分としてはケアするべきだった思います。大事に至らなったのは本当に運としか言いようがないくらいなものなので、その辺きっちり詰めていかないといけないかなと思います。だいぶヒヤッとしました」
(トップに出てからひとり1分41秒台をキープ。クルマは仕上がっていたか?)「そうですね。朝のフリー走行の段階から昨日の予選を終えて、「今のクルマのパフォーマンスとこの雰囲気の中で、燃料を積んだらどういう風なクルマになるか?」っていうところを想像しながら、またちょっとロング向けにアジャストしたところもありました。そこのイメージと今日の朝(フリー走行)で走り出したときの実際のフィーリングがものすごく近くて…。その瞬間にかなりの手応えを僕とチームは得ることができていました。なので、クルマとしてはすごくいいところにまとまっていたかなと思います」
(2連勝で2位に22点差となったが)「良くも悪くも2戦で稼いだポイントですから、2戦とは言わず1戦で失う可能性も十分にあるので、特別気ににしていないというか、(逆に)危機感はあります。さほど差が開いて良かったなとは思っていないです。このスーパーフォーミュラは誰が勝ってもおかしくないし、各チームがすごく技術力を持っている選手権です。今回不調だとしても次のレースからまったく違ったクルマでシリーズの流れを変えてくるようなところがあってもおかしくないと思うので、それを含めて自分たちももっともっとやっていかなきゃいけない。常に危機感をチームに与えながらもっとプッシュ——、ドライバー的にもチーム的にも一丸となってプッシュし続けられたらいいかなと思います。
この先、昨シーズン優勝したオートポリスであったり、(その後の)SUGOも初優勝の地ですから思い入れというか、いいイメージは当然ありますが、逆にそれに引っ張られても良くないと思うので、すごくまっさらなところからスタートしたいなと思います。昨シーズンのオートポリスも優勝はしましたが、圧倒的にペースが良かったのは山本(尚貴)選手でした。その辺も踏まえて改善すべき点はしっかりと改善をしていかなくてはいけないというところで、怠ることなく妥協なくやっていきたいと思います」
決勝2位:No.20 平川亮(carenex TEAM IMPUL)
「久しぶりに表彰台に乗れたのはうれしいです。鈴鹿はさほど自分的に得意ではないと思っていたので、その中で昨日の予選もうまくまとめてそれなりにいいポジションも取れたし、今日のレースもしっかりトップ争いには絡めていたので、そこはチームとしても自分としても成長しているところとして実感できました。なので、そこは今後に向けて自信にもなりました。ただ野尻(智紀)選手に2連勝されていてポイントランキング的にも大きく離されてしまっているし、予選のポイントも取れていないので、かなりちょっと差はあるんですが、夏になって得意なもてぎ戦があるので、それに向けてしっかり流れを作れているのかなと思います。ただやっぱりもっと上に行かなきゃいけないし、次のオートポリスは自分としてはすごく好きで得意なサーキットだと思っているので、しっかりと準備して臨みたいと思います」
(野尻に対し、ピットインのタイミングを1周ずらしたのは)「同時ピットでは勝てないですからね。何か違うことをやらないと勝てないですから、もう1周引っ張っただけです。(チームメイトの関口雄飛選手の調子も上がり、チーム全体としてもいい調子に見えるが)2台で速いほうがいろいろと比較ができたりしますし、今週はすごく助けてもらったこともあったのでそこは非常に良かったと思います。自分としてはチームメイトがいなくても、ひとりでやれる力をつけたいと思っているのですが、今週は逆に助けられた部分があったので、そこはチームにも助けられたのかなと思います。やはり2台で上位を争っているほうがチームの士気も高いので、そこは非常に良かったと思います。(次戦の)オートポリスに向けてはまだ特に考えていませんが、うまくやれれば勝てると思うので、そこは事前の準備をいつものようにして、週末をしっかりとまとめられればいい結果が出ると思うのんで、そこはあまり深く考えすぎずに楽しんでいけたらいいかなと思います」
決勝3位:No. 6 笹原右京(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
「まずは、優勝した野尻(智紀)選手、「おめでとうございます」。同じチームの福住(仁嶺)選手がああいった形(タイヤバースト)でレースを失っているのですが、結果として3位表彰台に立って、ひとつステップを踏み出せたのかなと思います。自分自身は週末を通してスピードに欠けるというか、いま一歩足りない状況が続いていたんですが、チームの皆さんが一生懸命サポートしてくれて、粘り強く耐えるレースをできたからこそここにいられると思うので、ほんとにチームの皆さんに感謝しかないです。
最初のほうで大きなミスをしてしまって(タイヤに)大きなフラットスポットを作ってしまったので、当然、(クルマの)振動も大きかったですし、福住選手のトラブルも目撃していたので心配もありました。今回も前回も代役という形で参戦させていただいているので、当然チームのためにポイントを持って帰るというのが第一のタスクとしてあるんですが、(戦いは)自分の人生のことでもあるので(アクセルを)緩めたくなかったというか、最後まで悔いは残さず全力で走りたいなと思っていたので…。そういった形がなんとか少しでもこういう結果に繋がったのだとしたら、そこはポジティブに捉えたいと思います」
(代役参戦で毎戦結果を求められることはプレッシャーだったのでは?)「間違いなくプレッシャーはすごいですし、フリー走行の走り始めから決勝が終わるまで、一周一周すべてが最後のチャンスだと思って走っていました。プレッシャーも大きかったですし、いつどのタイミングで次のレースに出られる/出られないということもチームや皆さんとの話し合いで決まっていくので、年間で(レースに)出られるとしたらチームの皆さんとともに色んな準備ができる要素もあるのですが、こういう形(代役参戦)になると限られた時間しかないわけで…。でも今日に至るまでもそうですが、毎日、自分の時間というのをきっちりと見つめ直し、やれることを精一杯やろうとやってきたので、まだまだ足りないとは思いますが、とにかく大変な状況の中でチームが献身的にサポートしてくれたので、本当にクリアな状態でレースに挑めていました。チームのサポートには感謝しかないです」
優勝チーム監督:TEAM MUGEN 田中洋克監督
「ただただほんとにうれしくて言葉が出ないくらい。うれしいです。(マスク着用で)顔はそんな表情をしていないかもしれませんが…。ほんとにありがとうございました。今年、チームの体制が変わったわけですが、チームのメンバーがずっと作ってきたものにたまたまそのタイミングで僕が今年監督になっただけで、大きな仕事をしているわけではないんですけど、チームのみんなの努力のおかげです。あとは、野尻(智紀)選手のメンタル的にもすごく強くなったなと思います。昨日のフリー走行はすごい悪かったのですが、通常だとあそこから気持ちが下がっていくような雰囲気がこれまであったんですが、きっちり持ち直して、予選、併せて決勝——、優勝できたというところで、野尻選手もすごく強くなったと思います。彼は精神的にいろいろ不安になったり、心配事があるとどうしてもそっちの方向にどうしても行って色んなことにはまってしまうことがあるように僕から見てそう思うのですが、なるべくそう行かないように…と。僕らも野尻を信頼しているのでそういう部分で安心させてあげるような、そういう取り組みをチーム全体としてしています。彼を持ち上げる感じですね」
(これまでのエンジンエンジニアから監督に就任して、2戦を終えたが)「まだ自分で言うと、”監督”という板にまだ乗っていないなという感じです。まだ自分でなにができるのかというところをいろいろ考えています。(他の関係者の)皆さん(が見て)もまだ監督として馴染んでいないようなところが多分あると思いますが(苦笑)、この先きっちりと自分のやりたいことをいろいろ形にして挑んでいきたいと思います。スーパーフォーミュラのクラスで2戦連続で勝つことは至難の業。これはチームとドライバー、そしてスポンサーさん、ファンの皆さんの応援あってのことだと思いますが、出来すぎでちょっと怖いくらい。ただなんとなくこの勢いだと次(第3戦)も行けるんじゃないかなと思ってます。「全戦ポール・トゥ・ウィン」(を目指す)と言ったものの、ここまで実際にいい成績で来れるとは思っていなかったので…。ありがとうございます。調子に乗ってるなと思われるかもしれないですが、ぜひ優勝目指して連勝目指して頑張りたいと思います。
一方で、こうやってレースができているというのも、医療従事者の皆さんが日々新型コロナウイルスと戦ってくれているおかげでもあるので、レースができることに感謝しています。本当にありがとうございます。この場を借りてお礼申し上げます」
カテゴリー: F1 / スーパーフォーミュラ