佐藤琢磨、2022年インディ500のプラクティスで2日連続トップタイム
第106回インディア500のプラクティス3日目が終了。2日目の水曜日(プラクティス3)は走行開始直前から降り出した雨により、33台集まっているインディカーがとうとう1周も走ることなく終了した。しかし、幸いにも木曜日のプラクティス4はスケジュール通りの正午に走行が開始され、6時間という長さのセッションが無事に行われた。

雲が空を覆っている時間帯の長かったこの日、39秒5572=平均時速227.519マイルの最速ラップを夕刻にマークしたのは、初日も最速だった佐藤琢磨(Dale Coyne Racing with RWR)だった。雨による休みが1日挟まれてはいるが、プラクティスで2日連続のトップタイム記録は、インディ500で2勝利の実績を持つ佐藤琢磨にとっても13回目となる挑戦の中で初めてとなる。

日中には太陽が照りつけることもあり、最高気温は摂氏27度を記録したプラクティス3日目だったが、セッション後半は雲で太陽光が遮られ、午後3時30分を境に路面温度が下がっていった。スピードの出易いコンディションとなってベストラップを更新するドライバーが続出、セッション終了30分前の午後5時半に佐藤琢磨は走行初日の午後と同じく、スコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)からトップの座を奪う最速ラップをマークした。

佐藤琢磨のチームメートでルーキーのデビッド・マルカス(Dale Coyne Racing with HMD Motorsports)は、まだ暑いコンディション下だった午後3時過ぎに、その時点で2番手にランクされる平均時速266.869マイルのラップを記録した。インディ初挑戦のマルカスはまだ20歳という若さだが、安定感のある走りを続けてプラクティス4を3番手で終えた。

2日連続でトップタイムをマークしたホンダ勢は、プラクティス初日のトップ4独占に続き、走行2日目となった木曜日もトップから3番手までを占めた。

昨シーズンからインディカーのストリートコースとロードコースのレースに出場し、今年はオーバルレースも含めたフルシーズン参戦を行っているストックカーレースチャンピオンのジミー・ジョンソン(Chip Ganassi Racing)は、プラクティス初日が3番手で、木曜日も5番手と2日続けて上位につけている。

初日に4番手だったマーカス・エリクソン(Chip Ganassi Racing)も木曜日に7番手のタイムをマーク。2018年インディウイナーのシモン・パジェノー(Dale Coyne Racing with RWR)は、走行2日目に9番手のスピードを記録と、ホンダドライバー6人がトップ10入りを果たした。

土曜日、日曜日の2日間に渡って行われる予選に備え、金曜日もプラクティスは6時間の長さで行われる。インディ特有のルールにより、予選はターボのブースト圧が高められたハイパワーエンジンを使って争われる。その高速タイムトライアルに備え、金曜日の走行では全車がハイパワーの予選スペックで走り込みを行う。これまでの2日間はレースを想定した集団走行がメインだったが、金曜日は1台ずつが、ほかのマシンのドラフティングを使わないように連続周回し、4周連続アタックで争われる予選に向けたマシン造りをしていく。

佐藤琢磨(Dale Coyne Racing with RWR)
「昨日の水曜日が雨でプラクティスがキャンセルとなったため、今日は通常のターボブースト圧で走る2日目でした。僕たちのチームは2台揃ってトップ3入りをしました。ボーナスをもらったような1日になりましたが。それよりも重要なのは自分たちのマシンのトラフィック内でのハンドリングがよくなっていることです。スピードでトップになれたことはうれしいのですが、今日の場合はライバル勢との比較を正確に行える状況ではありませんでした。誰でも新品のタイヤを装着し、ハッピーアワーと呼ばれる涼しい時間帯に大きな集団の中を走れば、あれぐらいのラップは可能だったはずです。それでも総合的に見て、今日はすばらしい1日でした。トラフィック内での走りで大きな進歩を遂げることができました。そして明日は"ファストフライデイ”です。Dale Coyne RacingのマシンはINDY500の予選でずっと速さを見せて来ていますから、僕はそのマシンで走ることに大きな興奮を抱いています」

スコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)
「とても興味深い1日でした。みんなが多くのラップを重ねていました。僕たちはその半分以上でレース用セッティングを行いました。その結果、いくつかの状況でマシンは満足の行く仕上がり具合になったと思います。しかし、1列で走っていているときに自分が6番目、あるいはそれより後ろのポジションになるとハンドリングが悪くなっていました。その点を改善するために、レース用セッティングでのダウンフォース量をどれぐらいにしたらいいのか、さらなる検討が必要と分かりました。明日は予選開始前日で、ターボのブースト圧が予選用の高いものに変わります。僕たちは控えめな予選用セッティングで走り出すことになると思います」

デビッド・マルカス(Dale Coyne Racing with HMD Motorsports)
「インディアナポリスモータースピードウェイでの3日目、僕たちは非常によい結果を残すことができました。2日目の昨日は雨のために何もできませんでした。モーターホームで洗濯をしていました。今日、走行2日目が終了したわけですが、たいへん順調に来ています。走行1日目の走り出しからマシンは非常によく、1日が終わったところで7番手につけることができました。そして、2日目が終わった今も、僕の自己ベストは総合での7番手を保っています。今日、僕たちは3番手につけるラップタイムを出しました。チームががんばってくれているおかげです。とても喜んでいます。マシンの仕上がりは非常によいと感じています。チームメートの琢磨は2日ともトップタイムでした。すごいことです。明日、金曜日は完全な予選仕様での走りに変わります。予選でも速さを発揮するために、明日はマシンセッティングの確認を行います。今日はトラフィックの中をできる限り走り、乱気流を受けたり、ドラフティング【空気抵抗を少なくするために先行車の真後ろについて走ること】を利用したりという走りを重ねました。まだ決勝レースに向けて準備すべきことは残っていますが、自分たちは目指すレベルに到達しつつあります。これまでの自分たちのパフォーマンスに対して自分はとてもハッピーです。この調子で物事がうまく進んでいってくれることと期待しています」

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カテゴリー: F1 / 佐藤琢磨 / インディカー