宮田莉朋 初挑戦のル・マンでクラス首位を争うも12位フィニッシュ
6月15日(土)から16日(日)にかけてフランス・ル・マンのサルト・サーキットで第92回ル・マン24時間レースが行われ、TGR WECチャレンジプログラムのドライバーである宮田莉朋がLMP2クラスで初出場。一時クラス首位を走る快走を見せたが、チームはトラブルにより12位に終わった。

昨年国内のスーパーフォーミュラとSUPER GTでダブルチャンピオンを獲得した宮田莉朋が、今年はTOYOTA GAZOO Racing WECチャレンジプログラムのドライバーとして世界に舞台を移し、FIA-F2選手権とELMS(ヨーロピアン・ル・マン・シリーズ)のLMP2クラスに参戦している。

宮田莉朋はELMSのLMP2クラスに、スイスのチームであるクール・レーシングから、ロレンツォ・フルクサ、マルテ・ヤコブセンと共に37号車で参戦しており、開幕戦のバルセロナでは、デビュー戦ながら見事初優勝を飾った。

同チームはこれまでの戦績により、今年のル・マン24時間レースへの出場権を得ており、宮田莉朋は同チームからLMP2クラスでル・マン24時間レースデビューを果たすこととなった。

【テストデー】
ル・マン24時間レースの行われるサルト・サーキットは、常設サーキットと、ル・マン郊外の公道を組み合わせたレイアウトとなっているため、フルコースを走ることができるのはレースウィークのみ。このため、レースウィークに先立ち、6月9日(日)にはテストデーとしてフルコースを走る機会が参戦チームとドライバーに与えられる。

宮田莉朋は今回のル・マンでは、TGR WECチームのリザーブドライバーの任も与えられており、そのためにこのテストデーではTGRのGR010 HYBRIDもドライブする必要があったため、序盤にTGRチームで規定の周回をこなしたあと、クール・レーシングへ移動し、LMP2車両でさらに周回を重ね、初めてのコースの習熟に努めた。

宮田莉朋
「今日はTGRのハイパーカーにまず午前中数周乗って、その後クール・レーシングのLMP2カーをドライブしました。ル・マンのレースに向けた練習という目的をしっかり達成できるように、着実に周回を重ねることに専念しました。ハイパーカーの方は、まずこのテストデーで数周走ることでリザーブドライバーとして正式に決まるものだったので、とにかく焦らずに、まずはその数周を走り切ることをタスクとしてやってきました。ル・マンは初めての走行でしたが、サーキットと公道を使っての長いサーキットは、僕自身今までも他のカテゴリーで市街地を走ったことがあるのでもっとドライビングに苦労するのかなと思っていましたが、意外とル・マンはグリップが高く走りやすかったです。クルマのトップスピードを伸ばしたいのでダウンフォースもかなり低い状態でのエアロキットを使いました。そのあたりの限界を見極めるのが難しいのかなと思っていたのですが、意外と攻め甲斐のあるコーナーが多かったです。特にポルシェコーナーは本当に奥が深いというか、攻めすぎるとそのミスが大きなクラッシュにつながるコーナーでもありますし、逆に守りすぎるとタイムロスも大きいので、本当にステップバイステップで学べたと思います。初めてのル・マンはとても楽しめましたし、この良い状態で、テストデーで学んだことを振り返り、レースウィークもフリー走行から、レースに向けて準備したいと思います」

宮田莉朋 ル・マン24時間レース

【練習走行&予選】
ル・マンの公式な走行セッションは、12日(水)のフリー走行から開始された。ナイトセッションを含む2度にわたるフリー走行の間に、翌日のハイパーポール進出をかけた予選が行われ、37号車はヤコブセンがアタックを担当。クラストップタイムをマークし、ハイパーポール進出を決めた。宮田莉朋は着実に夜間走行もこなし、決勝への準備を進めた。

13日(木)も2度の練習走行と、その間にハイパーポールセッションが行われた。ハイパーポールもヤコブセンが担当。不運な赤旗のタイミングもあり、37号車はクラス6番手グリッドからのスタートが決まった。

14日(金)の走行はなかったが、宮田莉朋はル・マン市街地で行われたドライバーズパレードに参加。集まった多くのファンの皆様との、交流の時間を楽しんだ。

宮田莉朋
「ハイパーポールはクラス6番手で終わりました。マルテ(ヤコブセン)選手が昨日の予選で素晴らしい走りをしてくれたおかげで、ハイパーポールに行くことができたのですが、今日のハイパーポールは赤旗もあって、チームの作戦も少し運がなく6番手でした。とはいえレースは24時間と長いので、6番手からのスタート位置は悪くないですし、天気もまだまだ荒れそうな予報でもあるので、しっかりとチームと共に準備して、いいレースにしたいなと思っています。僕はル・マンのナイトプラクティスは初めてだったのですが、過去にナイト走行の経験は何度もありましたし、ル・マンは結構コースが暗いというか、本当にクルマのヘッドライトのみで走るようなコーナーが多いので、その辺は少し慣れが必要なところもあります。でも自分としてはスーパー耐久24時間やデイトナ、それに耐久テストでのハイパーカーの経験もかなり活きていますし、今のところ自分としては順調なので、引き続きチームと準備していきたいと思います」

【決勝】
15日(土)午後4時から24時間にわたる長い決勝レースのスタートが切られた。直前のウォームアップ走行時は雨に見舞われたが、その後路面は乾き、スタート時はドライコンディション。

37号車はヤコブセンがスタートを担当し、6番手グリッドから着実にポジションアップ。首位に浮上してスタートから1時間45分で宮田莉朋へと交代した。宮田は雨が降り始めた難コンディションの中首位争いを繰り広げ、3スティントを走ってフルクサへとバトンを渡した。

宮田莉朋はまた、深夜の午前1時過ぎから2時間にわたって3スティントを担当。断続的な雨と、フルコースイエローやセーフティカーが多発する厳しい時間帯を着実に走り切り、上位争いのポジションを堅守した。

朝方、長いセーフティカー走行の後にレースが再開され、宮田莉朋は午前11時過ぎから3度目の走行を引き継いだ。セーフティカーで上位勢のマージンが無くなり、接近戦が繰り広げられる中、宮田莉朋はトップ5圏内のバトルを継続し、最後はライバルをパスし首位を奪取し、ヤコブセンへと交代した。

37号車は終盤まで僅差の上位争いを繰り広げたが、残り1時間を切ったところで突然トラブルに見舞われピットイン。ガレージでの修復を余儀なくされ、上位争いからは脱落することとなってしまった。チームはなんとか車両を修復してコースへ復帰し、首位からは8周遅れながら12位で、長い24時間レースのチェッカーを受け、完走を果たした。

宮田莉朋
「チェッカーは受けたものの、最後の残り45分ぐらいで車両トラブルに見舞われトップ争いから離脱してしまいました。結果は残念ですが、ル・マン24時間を戦えたことはすごく自分にとっていい経験になりました。今まで経験してきた24時間の耐久レースと比較してみると、やはりル・マン24時間のレベルは高いですし、公道を使っているので、天候にもかなり左右されやすく、リスクを背負いながらも走り切るというのが、ル・マンは一番難しいところだなと感じました。結果は別として、この経験を自分の将来にしっかり繋げたいと思います。また僕は翌週末F2バルセロナがあるので、切り替えてF2バルセロナでまた頑張ります。応援ありがとうございました」

第92回ル・マン24時間レース 宮田莉朋 個人成績(LMP2クラス)
予選) 走行せず
決勝) Fastest Time 3:39.377(LMP2クラス決勝出走48人中21位)
走行周回数 96周(全289周中)

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カテゴリー: F1 / 宮田莉朋 / ル・マン24時間レース