F1イギリスGP スプリント予選:ハミルトンが母国で0.011秒差のポール獲得
2026年F1第9戦イギリスGPのスプリント予選がシルバーストン・サーキットで行われ、ルイス・ハミルトン(フェラーリ)が1分28秒376を記録し、母国でスプリントポールを獲得した。

ハミルトンはFP1に続き、SQ1、SQ2、SQ3の全セッションでトップタイムを記録。最終セッションではメルセデスのアンドレア・キミ・アントネッリをわずか0.011秒差で抑え、シルバーストンを埋め尽くした地元ファンを熱狂させた。

2番手にはアントネッリ、3番手にはマックス・フェルスタッペン、4番手にはシャルル・ルクレールが続き、フェラーリ、メルセデス、レッドブルの3チームが上位2列を占めた。ジョージ・ラッセルは5番手、ランド・ノリス6番手、オスカー・ピアストリ7番手。アイザック・ハジャー、リアム・ローソン、アービッド・リンドブラッドまでがトップ10入りを果たした。

フェラーリは木曜日の記者会見で、シルバーストンはストレート性能が重要となるため、メルセデスやレッドブルに対して厳しい戦いになると予想していた。しかし、FP1でハミルトンがトップタイムを記録すると、その勢いはスプリント予選でも衰えることなく続き、最終的にはライバル勢を抑えてポールポジションを勝ち取った。

SQ1:ハジャーが一時首位 ベアマンは0.010秒差で涙
12分間のSQ1は、規定どおり全車がミディアムタイヤでスタートした。最初にコースへ向かったのはキャデラック勢で、セルジオ・ペレスが最初の基準タイムを刻む。その後フェラーリ、メルセデス、ウィリアムズ、ハース勢が続々と走行を開始し、本格的なタイムアタックが始まった。

序盤はハミルトンが1分29秒台前半を記録してトップへ浮上し、ルクレールも続いてフェラーリ勢が早々にワンツー体制を築いた。一方、アントネッリは3番手につけたものの、ラッセルはややタイムが伸びず、序盤からチーム内で差が見られた。

しかし、路面コンディションが改善すると順位は目まぐるしく入れ替わる。中盤にはハジャーが1分29秒470をマークし、一気にトップへ浮上。FP1ではソフトタイヤ装着後にペースを落としていたレッドブルだったが、ミディアムタイヤでは一転して高い競争力を見せ、フェルスタッペンも上位につけた。

その直後、ハミルトンが再びトップタイムを更新。1分29秒273を記録し、ルクレールを従えてフェラーリが首位を奪い返した。ハジャーは3番手を維持し、ピアストリ、アントネッリ、フェルスタッペンが続く展開となる。

一方、マクラーレンはノリスが伸び悩んだ。ピアストリが上位につける一方で、ノリスはトップ10圏内ぎりぎり。さらに走行中にはリアブレーキダクトの一部が脱落し、後のセッションにも影響を残すことになる。

終盤になると敗退圏では激しい攻防が展開された。アストンマーティン勢は最後までタイムを出せず、ベアマン、オコン、ペレス、ボッタスとともに下位に沈む。

残り時間がなくなる中、ベアマンは渾身のアタックで15番手へ浮上し、一度はSQ2進出圏内へ滑り込んだ。しかし、その直後にサインツJr.がタイムを更新して15番手へ入り、ベアマンは再び敗退圏へ押し出される。

最後に望みを託したのはアルボンだった。ウィリアムズのエースはチェッカー直前のアタックでタイムを更新し16番手へ浮上。ベアマンは17番手となり、SQ2進出を逃した。その差はわずか0.010秒だった。

地元イギリスでの予選だけに、ベアマンにとっては非常に悔しい結果となった。一方、ウィリアムズは2台とも辛うじてSQ2進出を果たし、望みをつないだ。

SQ1で敗退したのは17番手オリバー・ベアマン、18番手エステバン・オコン、19番手セルジオ・ペレス、20番手バルテリ・ボッタス、21番手フェルナンド・アロンソ、22番手ランス・ストロール。ハースは2台そろってSQ1敗退。キャデラックも2台とも姿を消し、アストンマーティンはアロンソ、ストロールともに最後尾グループに沈む厳しいスタートとなった。

イギリスグランプリ SQ1

SQ2:ハミルトンが再び最速 ノリスは薄氷のSQ3進出
SQ2もミディアムタイヤで争われた。ここを突破すればSQ3ではソフトタイヤでポール争いに挑めるだけに、各車とも一発のアタックに照準を合わせる。

最初にタイムを刻んだのはアウディのニコ・ヒュルケンベルグで、1分29秒729を記録。中団勢のベンチマークとなるタイムを残すと、その直後にフェルスタッペンが1分29秒242でトップへ浮上した。さらにハジャーもフェルスタッペンから0.038秒差につけ、レッドブル勢がワンツー体制を築く。FP1ではソフトタイヤ装着後に苦戦していたレッドブルだったが、ミディアムタイヤではマシンバランスが大きく改善し、2台とも高い競争力を発揮した。

その流れを断ち切ったのがマクラーレンだった。ピアストリが1分29秒120を記録してトップへ立つと、フェルスタッペンを約0.2秒上回る走りを披露。しかし、その直後にハミルトンが1分28秒747を叩き出し、一気に首位を奪還した。アントネッリも1分28秒846で0.099秒差の2番手につけ、ルクレールが3番手に続くなど、フェラーリとメルセデスが再び上位を占めた。

対照的にラッセルは苦しい時間が続く。最初のアタックでは8番手にとどまり、アントネッリとの差は約0.6秒。FP1から続く流れを変えられず、本来の一発の速さを発揮できなかった。

残り4分を切ると、各車は最後のアタックへ向かう。この時点で敗退圏にいたのはサインツJr.、アルボン、ローソン、リンドブラッド、ガスリー、コラピント。燃料を軽くした各車が一斉にタイム更新を狙い、中団争いは一気に激しさを増した。

ローソンは自己ベストを連発して4番手までジャンプアップ。リンドブラッドも8番手へ浮上し、レーシングブルズ勢が揃ってトップ10圏内へ入る。これによりノリスは9番手、ラッセルは10番手まで後退。さらにガスリーも好タイムを記録して11番手へ迫り、チェッカーまで誰が脱落するか分からない状況となった。

チェッカー後もボルトレトとヒュルケンベルグがアタックを続けたが、ボルトレトは12番手、ヒュルケンベルグは13番手止まり。ラッセルは最後に7番手まで順位を上げて無事SQ3進出を決め、ノリスも10番手を守り切った。

ノリスと11番手ガスリーとの差はわずか0.081秒。SQ1でリアブレーキダクトの一部を損傷し、空力性能に若干の影響を抱えたまま走っていたことを考えれば、マクラーレンにとっては冷や汗ものの突破だった。

一方、ラッセルは終盤にタイムをまとめたものの、アントネッリとの差は最後まで縮まらなかった。メルセデスではアントネッリが終始安定した速さを見せたのに対し、ラッセルは1周をまとめ切れず苦戦。セッションを通じて両者の差が目立つ内容となった。

SQ2敗退は11番手ピエール・ガスリー、12番手ガブリエル・ボルトレト、13番手ニコ・ヒュルケンベルグ、14番手フランコ・コラピント、15番手カルロス・サインツJr.、16番手アレクサンダー・アルボン。アウディは2台そろってSQ2へ進出したものの惜しくもSQ3進出は逃し、ウィリアムズもサインツJr.、アルボンともにトップ10入りはならなかった。

イギリスグランプリ SQ2

SQ3:ハミルトンが0.011秒差で母国スプリントポール獲得
SQ3ではソフトタイヤを装着し、トップ10による8分間のポール争いがスタートした。しかし、セッション開始直後から各車はピットで待機。ソフトタイヤでは2回目のプッシュラップまで十分な性能を維持することが難しいと判断され、全車が最後の一発勝負を選択した。

マクラーレンのチーム代表ザク・ブラウンも「今日はワンラップシュートアウトになる」と説明。SQ1でリアブレーキダクトを損傷したノリス車の修復にも時間を要したため、マクラーレンはタイミングを慎重に見極めながらコースインの瞬間を待った。

残り3分を切ると、ピアストリを先頭にリンドブラッド、ノリス、ローソンがピットを離れ、その後ろにアントネッリ、ルクレール、ハミルトン、フェルスタッペン、ハジャーが続く。ラッセルは最後尾からアタックへ向かった。

最初にタイムを刻んだのはピアストリだった。第1セクターではアントネッリと互角のタイムを記録し、第2セクターでは全体ベストを更新。1分28秒772をマークしてトップへ立つ。しかし、その直後にノリスが1分28秒740を記録し、チームメイトを0.032秒上回って首位を奪った。SQ1から苦戦が続いていたノリスだったが、最後の一発でこの日ベストのラップをまとめ上げる。

その流れを断ち切ったのがアントネッリだった。1分28秒387を叩き出し、一気にトップへ浮上。前戦オーストリアGPの悔しさを払拭するかのような見事なアタックで、ポールポジションへ大きく前進する。

続くルクレールはアントネッリに届かず2番手。フェルスタッペンも1分28秒697で3番手につけ、残るはFP1から全セッション最速を記録してきたハミルトンだけとなった。

地元ファンの視線を一身に集めたハミルトンは、第1セクターからアントネッリを上回るペースを刻む。その勢いを最後まで維持すると、最終コーナーではわずかにマシンを滑らせながらもアクセルを踏み抜き、1分28秒376を記録。アントネッリをわずか0.011秒上回り、母国シルバーストンで歓喜のスプリントポールを獲得した。

フェルスタッペンはトップから0.321秒差の3番手、ルクレールが4番手で2列目を確保。ラッセルは最後までタイムを伸ばし切れず5番手となり、チームメイトのアントネッリから約0.35秒遅れた。

3列目にはノリスとピアストリが並び、ノリスは最後のアタックでチームメイトを0.032秒上回った。4列目はハジャーとローソン、5列目にはリンドブラッドが続き、レッドブル陣営4台すべてがトップ10入りを果たした。

チェッカーが振られると、フェラーリのピットからは「グレートジョブ、グレートジョブ!」と祝福の無線が飛ぶ。ハミルトンも笑顔で応えながらウイニングランを行い、パルクフェルメではマシンを降りるとフェラーリのノーズに立ち、スタンドを埋め尽くした地元ファンへ向かって両手を掲げた。シルバーストンはこの日一番の歓声に包まれ、7度のワールドチャンピオンはその声援に何度も手を振って応えた。

セッション後、ハミルトンは「この場所が大好きだし、この観客も大好きだ。今でもこのレースを迎えるたびに夢のような気持ちになる」と笑顔を見せ、「マシンは今日一日とても良かった。ファクトリーのみんなが毎戦改良を続けてくれていることに感謝している」とチームを称えた。

さらに「ポールを獲得できて本当にうれしい。差は10ミリ秒しかなく、本当に接戦だった。メルセデスやレッドブルはここで非常に強いと思っていたから、この結果は素晴らしいサプライズだ」と喜びを語り、母国でのスプリントポール獲得を素直に喜んだ。

ルイス・ハミルトン(イギリスグランプリ スプリント予選)

フェラーリが事前予想を覆す速さ メルセデスと真っ向勝負へ
今回のスプリント予選最大の驚きは、フェラーリがシルバーストンで予想以上の競争力を発揮したことだった。

木曜日のFIA公式記者会見で、ハミルトンとルクレールはシルバーストンのようなパワー依存度の高いサーキットでは、メルセデスやレッドブルに対して厳しい戦いになるとの見方を示していた。ストレートスピードが重要となるこのコースでは、2026年型SF26にとって不利になる可能性も指摘されていた。

しかし、その予想は金曜日の走行開始直後から覆されることになる。ハミルトンはFP1で2番手アントネッリに0.2秒以上の差をつけてトップタイムを記録すると、その勢いをそのままスプリント予選へ持ち込んだ。SQ1、SQ2、SQ3のすべてで最速タイムをマークし、一度も首位を譲ることなくスプリントポールを獲得。フェラーリが持ち込んだ細かなアップデートも効果を発揮し、シルバーストンでも十分に優勝を狙える競争力を示した。

ルクレールもFP1ではハミルトンから約0.6秒遅れていたものの、予選が進むにつれて着実にタイムを縮めた。SQ3では4番手につけ、フェラーリは2台揃って上位2列を確保。事前の苦戦予想を完全に覆す結果となった。

アントネッリ躍進 レッドブル復調 マクラーレンはあと一歩届かず
メルセデスでは、アントネッリが改めて選手権リーダーらしい速さを示した。FP1から終始ハミルトンに食らいつき、SQ3でも1分28秒387を記録。ポールまであと0.011秒という僅差まで迫り、前戦オーストリアGPでの予選ミスを完全に払拭する内容だった。

一方でラッセルは最後までリズムをつかめず、SQ2では一時敗退圏近くまで後退。終盤のアタックで何とかSQ3進出を決めたものの、最終的には5番手にとどまり、アントネッリとの差は約0.35秒まで広がった。母国GPだけに悔しさの残る予選となった。

レッドブルはFP1終了時にはソフトタイヤで苦戦していたが、予選では見事に立て直した。ミディアムタイヤを使用したSQ1、SQ2ではフェルスタッペンとハジャーが上位争いを演じ、ハジャーはSQ1で一時トップタイムも記録。SQ3ではフェルスタッペンが3番手、ハジャーが8番手に入り、セットアップ変更が奏功したことを印象づけた。

マクラーレンはFP1で一定の速さを見せたものの、予選ではトップ3チームにあと一歩及ばなかった。ピアストリはSQ3最初のアタックで暫定トップタイムを記録したが、その後ライバル勢に逆転され7番手。ノリスはSQ1でリアブレーキダクトを損傷しながらも6番手まで順位を上げ、0.032秒差でピアストリを上回ったが、ポール争いに加わるまでの速さは見せられなかった。

一方、中団ではレーシングブルズが存在感を発揮した。ローソンはSQ2で一時4番手まで浮上する速さを見せ、最終的に9番手を獲得。リンドブラッドも10番手でSQ3へ進出し、チームとして2台揃ってトップ10入りを果たした。

惜しくもSQ3を逃したガスリーは11番手だったが、10番手ノリスとの差はわずか0.081秒。アウディもボルトレト12番手、ヒュルケンベルグ13番手と健闘し、中団争いが依然として極めて接近していることを示した。

スプリントはハミルトン対アントネッリ フェルスタッペンも優勝争いへ
スプリント予選は、ハミルトンがFP1から続く好調ぶりをそのまま結果へ結び付け、母国シルバーストンで最高のスタートを切った。しかし、その差はアントネッリに対してわずか0.011秒。スプリントはフロントローの2人を中心に、スタート直後から激しい首位争いが繰り広げられそうだ。

2列目にはフェルスタッペンとルクレールが並び、どちらも優勝を狙える位置につけた。フェルスタッペンはレッドブルの復調を証明し、ルクレールも予選を通じて着実に調子を上げているだけに、ターン1までの攻防がレース全体の流れを左右する可能性が高い。

3列目以降にもラッセル、ノリス、ピアストリと実力者が並び、ポイント圏内は8位までというスプリントならではの激しい争いも見どころとなる。さらにハジャー、ローソン、リンドブラッドら若手勢も上位からスタートするだけに、中団でも一瞬たりとも目が離せない17周となりそうだ。

フェラーリは事前予想を覆す速さで主導権を握ったが、メルセデス、レッドブルとの差は依然として僅差だ。ハミルトンが母国ファンの期待に応えてスプリントを制するのか。それともアントネッリが選手権リーダーの貫禄を示すのか。さらにフェルスタッペン、ルクレールを含めた四つ巴の戦いから目が離せない。

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カテゴリー: F1 / F1レース結果 / F1イギリスGP