F1スペインGP決勝 詳報:ピアストリが完勝 マクラーレンが今季2度目の1-2達成
マクラーレンのオスカー・ピアストリがF1スペインGPで今季5勝目を挙げ、チームメイトのランド・ノリスとのワンツーフィニッシュで圧巻の週末を締めくくった。予選では0.209秒差でポールポジションを奪取し、決勝ではタイヤ戦略と的確なレースコントロールで勝利を手にした。

レース終盤にはセーフティカーが導入され、再スタート後にフェルスタッペンとラッセルが接触。レッドブルのフェルスタッペンには10秒ペナルティが科され、5位から10位に降格した。

一方で、ヒュルケンベルグはザウバーに今季初の大量得点をもたらすなど、ミッドフィールドにも明暗が分かれる展開となった。

ストロールの欠場により1台体制となったアストンマーティンではアロンソが母国で意地を見せて今季初ポイントを獲得。角田裕毅はピットスタートから追い上げるも13位でレースを終えた。

ストロール欠場、角田はピットスタートに
3回のプラクティスとスリリングな予選を経て、スペインGP決勝(全66周)が始まった。予選ではオスカー・ピアストリがランド・ノリスを0.209秒上回り、自身今季4度目のポールポジションを獲得。この差は今季最大のポール獲得差となった。

決勝前夜には、ランス・ストロールがレースを欠場するとのニュースが飛び込んだ。アストンマーティンによれば、ストロールは過去6週間にわたり手首と手の痛みに悩まされており、これは2023年の自転車事故後に受けた手術が関係していると診断された。治療のため再手術を受けることが決まり、代役を立てるには遅すぎたため、アストンマーティンはフェルナンド・アロンソ1台で決勝に臨んだ。

ストロールが予選14番手だったことから、それ以下のドライバーは1つずつ繰り上がり、角田裕毅はパルクフェルメ下でのセットアップ変更によりピットレーンスタートとなった。

スタート時の気温・路面温度は高く、全車がソフトタイヤを選択する中、角田裕毅のみがミディアムタイヤを選択。マクラーレン勢は新品を投入したが、他のトップ10勢は使用済みタイヤを履いていた。

スペインGP F1 決勝 オスカー・ピアストリピアストリがポールポジションから力強いスタートを決めた

序盤戦:ピアストリ先行、ノリスが逆転ののろし
フォーメーションラップを終えた後、ピアストリは好スタートを決めてホールショットを奪う。ターン1ではノリスがフェルスタッペンとラッセルに挟まれるも、フェルスタッペンが2番手に浮上。ラッセルはハミルトンとルクレールに抜かれ6番手へ後退。アントネッリはエスケープゾーンに入りポジションを落としたが、ガスリーとハジャーはポジションを維持。ヒュルケンベルグは5つ順位を上げて10番手に浮上した。

4周目時点でピアストリは2秒のリード。ラッセルは「ブレーキング時に他車が動いている」と無線で不満を漏らし、トト・ヴォルフは「集中しろ」と声をかけた。

リプレイでは、ローソンがアロンソのリアに接触していたことが判明。アルボンも巻き込まれてフロントウイングを破損し、7周目にピットインして最後尾へ。

ルクレールとハミルトンは4番手争いを展開。9周目にルクレールがターン1で仕掛けるも、ハミルトンが激しく抵抗。だが、ノリスとの差が広がる中、チームから「ルクレールを先に行かせろ」と指示が出され、ハミルトンは従った。

角田裕毅やヒュルケンベルグ、ベアマンらがピットイン。サインツは極めて遅いピット作業で最後尾へ。11周目、ピアストリが3秒超のリードを維持する中、ノリスがフェルスタッペンを猛追。「グリップがない」とフェルスタッペンは無線で訴え、ピアストリも「リアに苦労している」と報告。

13周目、ノリスがターン1でフェルスタッペンをパス。1周後、フェルスタッペンはソフトへ交換し、8番手で復帰。

中盤戦:3ストップを試すフェルスタッペン
アロンソはターン5でグラベルに飛び出し、15番手で復帰。復帰の仕方が危険として審議対象となったが、調査不要と判断された。

スペインGP F1 決勝 フェルナンド・アロンソアロンソは母国レースで激しく攻めた結果、グラベルに飛び出す場面も

16周目にミディアムへ交換。ハミルトンも17周目にピットイン。「アンダーカットを狙っている」との指示を受けた。ルクレールも18周目にピット。フェルスタッペンはメルセデス2台を抜き、3番手に浮上。

22周目にノリスがミディアムへ交換し、3番手で復帰。23周目にピアストリもピットへ。だが、5秒差でフェルスタッペンがトップに浮上。

25周目、ピアストリ、ノリス、フェルスタッペンがトップ3。4番手にルクレール、以下ハミルトン、ラッセル、アントネッリ、ハジャー、ガスリー、ヒュルケンベルグ。

ローソンとアルボンが再び接触し、アルボンは2度目のフロントウイング損傷。ピットで10秒ペナルティを消化後、リタイア。ペナルティの持ち越しを避ける目的と見られる。

フェルスタッペンは29周目に再びピットし、ミディアムを装着。3ストップ戦略が濃厚に。

終盤戦:セーフティカー出動、混乱のラストスティント
47周目、ヒュルケンベルグとハミルトンがピット。48周目、フェルスタッペンが3度目のピットで中古ソフトを装着。角田裕毅が前を譲った。

ノリスとピアストリも順にピット。上位勢の順位は変わらず。ローソンとベアマンが再び接触し、フェルスタッペンは「バカどもだ」と無線で激怒。

アントネッリがターン10でストップし、セーフティカーが出動。上位陣は再度ピットイン。フェルスタッペンはハードを装着されたが「これしか残っていなかった」とされる。

スペインGP F1 決勝 セーフティカーセーフティカー出動により各車が一斉にピットイン、マクラーレン勢もタイヤ交換を実施

60周目に再スタート。ピアストリは冷静に加速、フェルスタッペンは大きなスナップ。ルクレールが接触しながらも3番手へ浮上。

続いてラッセルと接触、フェルスタッペンがエスケープゾーンへ。1件目は不問とされたが、2件目の接触で「衝突の原因」とされ10秒ペナルティ。

チェッカー:ピアストリ完勝、フェルスタッペンは10位転落
ピアストリが冷静に逃げ切り、2.471秒差でノリスを抑えて優勝。マクラーレンは今季2度目の1-2を達成し、両ランキングでリード拡大。

ルクレールは3位を守り、フェルスタッペンとの接触はレース後に審議。ラッセルが4位、ヒュルケンベルグがKickザウバーに貴重な5位をもたらした。

ハミルトンは6位で、7位のハジャーを0.5秒差で抑えた。ガスリーが8位、アロンソは母国で9位入賞。10位にフェルスタッペンが滑り込み、以降ローソン、ボルトレト、角田裕毅、サインツ、コラピント、オコン、ベアマンが続いた。アントネッリとアルボンはリタイア。

この結果、ピアストリはノリスに対しドライバーズ選手権で10ポイント差をつけ、フェルスタッペンとの差は49ポイントに。

スペインGP F1 決勝 マクラーレンピアストリとノリスが混乱の展開を制し、バルセロナで再び1-2フィニッシュを達成

キークオート「マックスが3ストップを選んだのは少し驚きだったけど、あと少しでうまくいくところだった。全体的に素晴らしい週末だった。必要なときにしっかりペースを出せたし、チームの努力に感謝したい。初日のプラクティスは良くなかったけど、そこから立て直せた。モナコの失望から良い形で巻き返せた」――オスカー・ピアストリ

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カテゴリー: F1 / F1レース結果 / F1スペインGP