F1エミリア・ロマーニャGP 決勝レポ:角田裕毅がピットレーンスタートから10位の健闘
レッドブル・レーシングにとって通算400戦目のメモリアルレースとなったF1エミリア・ロマーニャGPで、マックス・フェルスタッペンが通算65勝目となる勝利を飾った。スタート直後にオスカー・ピアストリを交わして首位に立つと、その後は巧みなタイヤマネジメントと戦略的なピットタイミングでリードを守り切り、終盤のセーフティカー再開後も他を寄せつけずチェッカーを受けた。

一方、角田裕毅は予選Q1でのクラッシュによりピットレーンからのスタートを強いられる厳しい展開となったが、レッドブルによるシャシー再組み上げの努力に応えるように粘りの走りを披露。中団の激しい争いの中でも冷静にポジションを積み上げ、最終的に10位でフィニッシュ。困難な週末を乗り越え、貴重な1ポイントをチームにもたらした。

そのほか、2位には終盤のオーバーテイクでチームメイトを抜いたランド・ノリスが入り、3位にはポールスタートのピアストリが続きマクラーレンがダブル表彰台を獲得。フェラーリ勢は母国レースでルクレールが6位、サインツが8位に食い込み、ルイス・ハミルトンはチーム移籍後初のイタリア戦で4位と健闘を見せた。ウィリアムズのアレックス・アルボンは再三のバトルを制して5位入賞と躍進し、ルーキーのアイザック・ハジャーは9位に入り再びポイントを加算した。

スタート前の変更とタイヤ選択
一日明けて迎えた決勝は、予選で選手権リーダーのオスカー・ピアストリが今季3度目のポールポジションを獲得した興奮冷めやらぬ中、いよいよ決戦の時を迎えた。

スタート前にはグリッドに2件の変更が生じた。フランコ・コラピントはQ1の赤旗再開時に、再開時刻が確定する前にファストレーンへ進入したことにより1グリッド降格となり、F1復帰初戦となる今大会ではアルピーヌから16番手スタートとなった。

角田裕毅はピットレーンからのスタートとなった。Q1序盤、ヴィルヌーヴシケイン進入でクラッシュし、マシンが横転するほどの衝撃を受けたため、レッドブルはRB21のサバイバルセルを含む広範な修復作業をパルクフェルメ下で実施。多くのコンポーネントを交換した結果、レギュレーションによりピットスタートが課された。

フォーメーションラップを終え、気温高めのドライコンディションのもとレースは15時にスタート。タイヤ選択は大多数がミディアムを選択した中、ハミルトン、アントネッリ、ヒュルケンベルグ、ベアマン、角田裕毅の5名はハードを選んだ。

フェルスタッペン、1周目でトップに浮上
スタート直後のターン1で、フェルスタッペンがピアストリに果敢に挑む

ピアストリは好スタートを決めたが、フェルスタッペンがタンブレロ・シケインでアウトから強引にオーバーテイクを決めて先頭に浮上。ラッセルは3番手を維持しながらノリスを抑え、ルクレールは1つ順位を上げて10番手に浮上。ルクレールはその後、ガスリーと争いながらアグレッシブに攻め、ガスリーはグラベルにはみ出す場面も。

後方ではハミルトンがアントネッリとの11位争いを展開。5周目時点でフェルスタッペンはピアストリに対し1.6秒のリードを築いた。以後、ラッセル、ノリス、アロンソ、サインツ、アルボン、ストロール、ルクレール、ハジャーと続く。

序盤のバトルと早まったピットウインドウ
ノリスとラッセルの3位争いが激化し、ノリスは9周目に仕掛け、翌10周目には芝生に片輪を落とすスリリングな展開に。ラッセルは「このままのペースでターゲットラップまで保てるとは思えない」と無線で訴え、タイヤの消耗に不安を示した。

11周目、ついにノリスがシケインでラッセルを抜き、6秒前方のピアストリを追う形に。ラッセルはすぐにピットへ入り、ハードに交換。これを皮切りに予定より早く各車のピットストップが始まり、アロンソのマシンからはピットアウト時に前ブレーキから火花が出る場面も見られた。

ピアストリは14周目に3.6秒のやや遅いストップ。ルクレールはこのサイクルでラッセル、サインツ、アロンソの前に出て順位を上げる。

VSC導入とフェルスタッペンの完璧なタイミング
フェルスタッペンはステイアウトを選び、10秒リードを築いたまま走行。ピアストリはピット作業を終えたマシンを順に交わしていくが、その中に角田裕毅が立ちはだかる。ピアストリは角田裕毅の堅実なブロックを受けつつ、やがて10位でパスした。

29周目、ノリスがピットインし、直後にオコンのトラブルでVSCが発動。フェルスタッペンにとっては最適のタイミングでピットを済ませ、首位の座を守ることに成功。これに続き、未ストップ勢が一斉に動き、ルクレールやピアストリも2度目のストップを選んだ。

>エミリア・ロマーニャGP F1 決勝 マックス・フェルスタッペンフェルスタッペンはVSC中の絶妙なタイミングでピットイン

中盤の攻防と角田裕毅の追い上げ
VSC明けの33周目時点では、フェルスタッペンが19秒のリードで先頭。ノリス、アルボン、ピアストリ、ハジャー、アントネッリ、ハミルトン、ルクレール、アロンソ、ストロールがトップ10を構成。

その後、ハミルトンはアントネッリとハジャーを相次いで攻略し5位へ浮上。ピアストリはアルボンを抜いて3位へ。ルクレールは6位へと順位を上げ、チーム内のオーダー判断も視野に入る展開に。

エミリア・ロマーニャGP F1 決勝 ルイス・ハミルトンフェラーリ本拠地で快走するハミルトン

アントネッリのリタイアとセーフティカー再開
46周目、アントネッリのマシントラブルによりフルセーフティカーが導入され、フェルスタッペンとノリスが再びピットへ。ピアストリはステイアウトを選び、これにより2位に再浮上。

リスタートは53周目。フェルスタッペンは完璧な加速でトップを維持。ノリスはピアストリに迫り、55周目にはターン2でオーバーテイクを決めて2位を奪取。角田裕毅はヒュルケンベルグを交わして10位へ。

終盤の決着とポイント争いの攻防
アルボンはルクレールに迫り、激しい攻防の末に一度はグラベルに飛び出して順位を落とすも、最終ラップに再び前へ出ることに成功。ルクレールは無線で「何が悪かったんだ?」と困惑を見せた。

エミリア・ロマーニャGP F1 決勝 アレクサンダー・アルボンイモラで奮闘したアルボンのレースは波乱に満ちていた

トップを守り続けたフェルスタッペンは6.109秒差でノリスを下し、今季2勝目、通算65勝目を記録。ピアストリが3位表彰台に立ち、ハミルトンは4位で母国フェラーリの観客に応えた。

10位には角田裕毅が入り、クラッシュからの立て直しで価値ある1ポイントを手にした。

エミリア・ロマーニャGP 決勝 2025年のF1世界選手権フェルスタッペン、イモラで通算65勝目を記録

優勝コメント
「スタート自体はあまり良くなかったが、アウトサイドラインにいたし『外から行くしかない』と思ってトライしたら、うまくいった」とフェルスタッペンは語った。

「そこからは自分たちのペースを発揮できた。タイヤもマネジメントできて、今日は本当に速かった。金曜日から大きく改善していて嬉しい。VSCのタイミングも完璧だったし、ハードタイヤでもペースは良かった。セーフティカーが出て集団が接近しても、再スタートもうまくまとめた。チーム全体の仕事ぶりに誇りを感じている。今週はとても重要な一週間だったし、ピット戦略も含めて全体の執行が素晴らしかった」

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カテゴリー: F1 / F1レース結果 / F1エミリア・ロマーニャGP