レッドブルF1代表メキースがマクラーレンに反論「2026年PU不安?誤解だ」

ステラはメキシコGP後に「レッドブルはフォードとの新パワーユニットに確信を持てず、短期的な成果に走っている」と指摘。それに対して、ヘルムート・マルコとローラン・メキースの両者が真っ向から否定した。
メキース「2026年とは関係ない。理解を深めるための投資だ」
「2026年とはまったく関係ない」とメキースは語った。
「今シーズンを現行マシンの理解を深めずに終えれば、来年に多くの疑問を抱えたままになる。それを避けるために、改善すべき領域に投資し、さらなるスピードを見いだそうとしているんだ」
「これは我々のツールや手法、アプローチに対する自信を高めるものでもある。確かに新プロジェクトに割ける時間とエネルギーは減るが、それは意図的な判断であって、パフォーマンス上の問題とは関係ない」
さらに、リスクを取るためではなく、理解を深めるための選択だと強調した。
「これは純粋に“理解”のためのプロセスだ。方法論の検証を行い、それを2026年に適用できる。我々は無理をしているわけではない。確かに代償はあるが、その価値は十分にある」
マルコ「まだ116ポイント残っている」
レッドブルF1の顧問ヘルムート・マルコも、タイトル争いが依然として射程圏内にあると語った。
「まだ116ポイント残っているし、今はどのサーキットでも一方的に支配するチームはいない」とマルコ。
「我々のチャンスは生きている。マクラーレンが“フェアプレイ”を続けてくれることを願っているよ。我々の強みは、すべてがマックス(フェルスタッペン)に集中していることだ」
マルコはまた、フェルスタッペンのメキシコGPでの走りを称えた。
「レーストリムでは速さが出るとわかっていた。マックスは猟犬のような男だ。一度“獲物の匂い”を嗅ぎ取れば、周りのことは何も見えなくなる。そして攻め続けるんだ」

マクラーレン側の視点「確信を取り戻した週末」
一方、マクラーレンはメキシコGPでランド・ノリスが圧巻の勝利を収め、ドライバーズランキングの首位を奪還。オスカー・ピアストリの不調を差し引いても、ステラ代表は「チームが再び強さを証明した週末」と胸を張った。
「フェルスタッペンは依然としてライバルだが、今後の数戦は我々に有利だ」とステラ。
「この週末で我々が証明したのは、勝てるマシンを持っているということだ。条件が揃えば支配的に戦える。そのことがランドとオスカーにタイトルを争う力を与えている」
ピアストリのポイント喪失にも前向きな姿勢を示した。
「確かにオスカーはフェルスタッペンにポイントを奪われたが、この週末で多くを学んだ。あらゆるコンディションで戦えるようになるための“投資”なんだ。我々はメキシコを後にして、より強く、より楽観的になっている」
レッドブルの「現行理解型」開発とマクラーレンの「将来志向型」戦略
今回のやり取りは、F1における「短期的成果」と「長期的基盤構築」という哲学の違いを浮き彫りにした。
マクラーレンは2026年以降の新レギュレーションに備えて、開発リソースを慎重に配分する“蓄積型”の姿勢を取るのに対し、レッドブルは現行マシンの開発を通じて手法と理解を検証しようとする“即実証型”のアプローチを選択している。
メキースの言葉からは、2026年レッドブル・フォードのパワーユニットを見据えた「基礎検証フェーズ」として、現行RB21を開発に活用している意図も読み取れる。
これは単なる“終盤の意地”ではなく、風洞・シミュレーション・空力補正の精度を確認するための“実地テスト”に近い。
つまり、短期的にはリソース消耗のリスクを伴うが、成功すれば2026年以降の技術基盤を盤石にする布石ともなる。
2025年終盤のレッドブルとマクラーレンの対立は、単なるタイトル争いではなく──未来を見据えた「開発哲学の衝突」でもある。
カテゴリー: F1 / レッドブル・レーシング / マクラーレンF1チーム

