フェラーリF1 2026年にハミルトンとルクレールの要求でステアリング刷新

ドライバーの“オフィス”とも呼ばれるステアリングは、アクティブエアロと複雑化するエネルギーマネジメントに対応するため、根本から見直された。
基本的な形状コンセプトこそ維持されているものの、ドライバーとマシンの関係性そのものが大きく変わろうとしている。
2026年レギュレーション下では、エネルギー配分の管理が1周の中で極めて重要な要素となる。ストレート区間に十分な電力を確保するため、ドライバーはセクター単位に近い感覚でパワーユニットの使用状況を制御しなければならない。
それに加えて、アクティブエアロの導入により、各ストレートの入り口で低ドラッグの「直線モード」を手動で作動させる必要がある。これらの操作は1周の中で何度も繰り返されるため、従来の操作体系ではドライバーの負担が過大になる。
フェラーリF1はこの問題に対応するため、ステアリング上の情報と操作系の配置を大幅に整理した。これまで分散して配置されていた機能の多くは集約され、エネルギー回生、エネルギー展開、電子制御戦略に関連する操作は、中央ディスプレイ下に配置された3つのロータリースイッチにまとめられている。
中央ディスプレイ自体は引き続き重要な情報表示を担い、選択中のギアや、センサーから取得されるタイヤ温度などのリアルタイムデータが表示される。全体としては、よりクリーンで視認性の高いインターフェースとなり、高速走行中の認知負荷を抑える設計が狙われている。
物理的な形状にも大きな変化が加えられた。新しいステアリングは全体的に小型化され、特に下部が大きく切り詰められている。従来の6つのロータリースイッチを備えた厚みのあるレイアウトとは明確に異なる思想だ。

ドライバー主導で進められた再設計
このステアリング刷新の最大の特徴は、開発プロセスそのものにある。設計はエンジニア主導ではなく、ドライバーのフィードバックを軸に進められてきた。
フェラーリF1のシミュレーターでは、すでにルイス・ハミルトンとシャルル・ルクレールが新レイアウトをテストしており、その過程で継続的な意見交換が行われている。両者は特にエルゴノミクスの改善を重視し、頻繁に使用する操作系が直感的かつ確実に扱えることを強く求めてきた。
フェラーリF1は現時点で、このステアリング設計を最終形とは考えていない。プレシーズンテストを通じてさらなる調整が行われ、シーズン開幕戦となるオーストラリアGPまでに最終仕様が確定される見通しだ。
2026年F1では、ドライバーが担う役割はこれまで以上に複雑になる。その変化に真正面から向き合い、操作体系そのものを再定義しようとするフェラーリF1の取り組みは、新時代のF1マシン設計を象徴する一例と言える。
カテゴリー: F1 / スクーデリア・フェラーリ
