レッドブルF1 “テープゲート”に批判殺到 「いい加減にしろ」Sky解説者が一喝
レッドブル・レーシングは、F1アメリカGP(オースティン)でマクラーレンのランド・ノリスが使用していたグリッド位置の目印テープを巡り、FIAから5万ユーロの罰金を科された。チームメンバーがフォーメーションラップ後に立入禁止エリアへ再侵入し、マクラーレンのマーカーに干渉したことが問題視された。

この“テープゲート”に対し、Sky Sportsの解説者デビッド・クロフトが「Grow Up(いい加減にしろ)」と一喝。

元F1ドライバーのカルン・チャンドックも「姑息なゲームメンス」と批判するなど、レッドブルの行為に非難の声が相次いでいる。

FIAがレッドブルに罰金、原因は「グリッドエリアへの再侵入」
FIAの調査によると、レッドブルのクルーはフォーメーションラップ後、ゲートウェル(Gate 1)と呼ばれる区域に再び入り、2番グリッド付近で不適切な行動を取った。

マーシャルの制止を無視して戻り、マクラーレンがノリスの位置確認のためピットウォールに貼っていたテープに触れようとしたとされる。

この行為そのものは危険性が低くとも、FIAは「安全上の手順違反」として処罰対象とした。テープ自体を触る行為は規則に明記されていないため、主な違反は“立入禁止エリアへの再侵入”だった。罰金額は5万ユーロ(約800万円)で、そのうち半額は猶予付き。

“Dick Dastardly的”行動? 解説陣が批判
事件は「Tape Gate(テープゲート)」としてF1界で話題に。

元F1ドライバーのカルン・チャンドックは、Sky Sports F1番組で次のように語った。

「これはまさに“ゲームメンス(駆け引き)”だ。ディック・ダスタードリー(いたずら好きな悪役)みたいだね。次は相手のホイールガンでも抜くのか?(笑)」

チャンドックはさらにこう続けた。

「実はこの“テープ目印”は昔からある手法なんだ。2000年代初頭、僕のレースエンジニアもやっていた。皮肉にも、彼は今FIAで働いている。だから、これは新しい話じゃない」

“テープ取り合戦”はシーズン通して続いていた?
チャンドックによれば、レッドブルは今季ほかのレースでもライバルチームのテープを取り除こうとしたことがあったという。

「どうやらこの“テープ取り合戦”は今季ずっと続いていたらしい。レッドブルがマクラーレンのやり方を知ってから、他のレースでもテープを剥がしていたそうだ。だからマクラーレンはより強力なテープを使うようになった、という噂もある」


「ノリスはグリッドに戻ってくる時、そのテープを目印にしている。フォーメーションラップ中は集中力が極限で、心拍数も上がる。マーカーがなければ、わずかに混乱するかもしれない。それこそが狙いなんだ。だから“ちょっとした悪ふざけ”だけど、かなりずるい」と語った。

「いい加減にしろ」クロフトが一喝

Sky Sports F1の実況解説者デビッド・クロフトも不快感を示した。

「サッカーでファウルを取られたあと、わざとボールを蹴り飛ばすようなものだ。ただの嫌がらせだよ。もうやめるべきだ。“Grow up(いい加減にしろ)”と言いたいね」

レッドブル F1 テープゲート

F1における“グレーゾーンの駆け引き”
この事件は単なるテープの問題ではなく、F1における「合法だがモラルに反する行為」というグレーゾーンを浮き彫りにした。

テープを貼る行為自体は規則で禁止されていない。マクラーレンが採用したのは、ドライバーの視界が制限される中でスタート位置を正確に把握するための補助手段だ。だが、レッドブル側がそれを取り除こうとすれば、“わずかな心理的揺さぶり”として作用しうる。

F1では、技術面だけでなく精神的プレッシャーや細部での駆け引きも戦いの一部とされる。過去にもライバルピット前でデータを盗み見たり、ウォームアップ走行で牽制したりといった行為は数多くあった。
ただし、今回は明確な「安全手順違反」として公式罰金が科された点で一線を越えた形だ。

今後への影響
今回の件を受け、FIAは「グリッドエリア再侵入」や「他チームの設置物への干渉」をより明文化する可能性がある。

また、チーム間の“テープ取り合戦”が再燃するようであれば、FIAが全面禁止を検討することもあり得るだろう。
一方で、こうした駆け引きが「F1の人間味」として面白がられる面もあり、ファンやメディアの間では賛否が分かれている。

まとめ
レッドブルは罰金処分を受けたが、行為そのものは「危険でも違法でもない」との見方もある。

しかし、シーズン終盤のタイトル争いが激化する中で、こうした“姑息な駆け引き”が表面化したことは、チームのイメージ戦略にとって痛手となる可能性も否めない。

オースティンで勝利を飾ったマックス・フェルスタッペンが見せた圧倒的な速さとは対照的に、ピットウォールでは小さな駆け引きが繰り広げられていた――それもまた、F1という極限の舞台の一面である。

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カテゴリー: F1 / レッドブル・レーシング