レッドブルF1 最終リスタートでフェルスタッペンにハードを履かせた背景
レッドブルはスペインGPで、マックス・フェルスタッペンに3ストップ戦略を採用するという、同チームらしい積極的なアプローチを取った。狙いはマクラーレン勢に真っ向から挑むことだった。

角田裕毅はピットレーンスタートだったが、チームメイトと同じ3ストップ戦略を追走した。もっとも実際には、彼の方が毎回ピットインのタイミングが早く、結果として常に先に動く形となった。

レッドブルはスペインGPで、マックス・フェルスタッペンに3ストップ戦略を採用するという、同チームらしい積極的なアプローチを取った。狙いはマクラーレン勢に真っ向から挑むことだった。

角田裕毅はピットレーンスタートだったが、チームメイトと同じ3ストップ戦略を追走した。もっとも実際には、彼の方が毎回ピットインのタイミングが早く、結果として常に先に動く形となった。

第1スティントはミディアムタイヤでわずか8周という短さで終え、カルロス・サインツJr.とともにフランコ・コラピントを交わした直後にピットインすることとなった。

戦略の成功と限界
レース優勝を飾ったオスカー・ピアストリも、フェルスタッペンの3ストップ戦略が大部分では効果的だったと評価している。40周目時点でフェルスタッペンはマクラーレン勢にかなり迫っており、ランド・ノリスもピアストリに近づかざるを得ない状況に追い込まれていた。

しかし、マクラーレンが「フェルスタッペンが最終スティントに入る可能性がある最も早い周回」に差しかかると、ピアストリは一気にペースを上げた。レッドブルが47周目にフェルスタッペンをピットインさせたときには、ノリスはすでにフェルスタッペンに対して4.4秒のリードを築いており、1周でのアンダーカットを防ぐには十分だった。ピアストリはさらにそのノリスからも前方に位置していた。

50周目までには、3人ともピットを終えて元の順位に戻った。ただし、アンダーカットの影響でそれぞれの間隔はやや縮まっていた。

戦略の弱点を露呈させたセーフティカー
だがここで、アンドレア・キミ・アントネッリがリタイアし、セーフティカーが出動。この瞬間、レッドブルの戦略の弱点が露わになった。

古いタイヤで走り続ける選択は、ピットインして新しい、あるいは多少新しいタイヤに履き替えた他車に抜かれるリスクが伴う。前日のF2スプリントレースでも、同様の展開で戦局が大きく変わっていた。

フェルスタッペンとマクラーレン勢はいずれも、ソフトタイヤ(C3)を計4セット(新品1セット+ユーズド3セット)用意してレースに臨んでいた。フェルスタッペンはそのすべてのソフトタイヤを3スティントで使い切っており、ノリスとピアストリよりも1セット多く使用していた。このため、セーフティカー導入時点でレッドブルには使えるソフトタイヤが残っておらず、残っていたハードタイヤ(C1)を投入するしかなかった。レッドブルは、この戦略がスプリント勝負に不利になることを承知のうえで、タイヤの状態を考慮した決断を下した。

スペイングランプリ F1 マックス・フェルスタッペン レッドブル・レーシング

孤独なハードタイヤへの決断
レッドブルは、古いソフトタイヤで先頭に立つも再スタートで即座に抜かれるリスクを取るか、それとも唯一残っていた新品ハードタイヤに履き替えるかという、難しい二択に迫られた。ちなみに、このレースでは他の誰一人としてハードタイヤを使用していなかったことからも、ハードタイヤがいかに望ましくない選択肢だったかが分かる。

フェルスタッペンが最終的に10位まで順位を落としたことからも、この判断は厳しい評価にさらされるだろう。しかしその多くは、彼自身のオン・トラックでの対応にも起因していた。仮に再スタート直後に最後のコーナーでオーバーステアを喫しなければ、少なくともジョージ・ラッセルを抑えて3位、あるいは4位は維持できた可能性があった。

どちらの選択が「よりマシ」だったかは、古いソフトタイヤでどれだけ彼が持ちこたえられたかにかかっていた。レッドブルが、少なくともハードタイヤで3位を確保できると読んでいたなら、ソフトを履き続けることでそれ以下に沈むリスクを恐れたということだ。

ホーナーの見解
チーム代表クリスチャン・ホーナーは次のように語っている。

「セーフティカーは、我々の戦略にとって最悪のタイミングで出てしまった。古いタイヤでステイアウトしてリスタートで無防備になるか、それとも新品のハードに賭けるかという選択を迫られた」

「後からなら何とでも言えるが、その時点で持っていた情報に基づいて最善の判断を下したつもりだ」

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カテゴリー: F1 / レッドブル・レーシング / F1スペインGP / マックス・フェルスタッペン