レッドブルF1 RB20のコンセプト変更は「いくつかの領域でやりすぎた」
2023年に1レースを除いて全勝したRB19の後を継ぐのは常に難しいことだったが、レッドブルはRB20でより速いマシンを作り上げたものの、空力レギュレーションの3年目で競争が激化しているため、勝利を収めるのはより困難になっている。
レッドブルのテクニカルディレクターであるピエール・ワチェは、PlanetF1.comとの独占インタビューで、ミルトンキーンズを拠点とするチーム内でのRB20に対する一般的な感覚について語った。
圧倒的な強さを誇ったRB19よりも大幅に速いマシンであるにもかかわらず、RB20は夏休み前の過去4レースで1勝もできず、もはや標準的な存在ではなくなっている。マクラーレンのMCL38は、シングルラップとレースペースの両方で大幅な性能向上を果たしており、メルセデスのW15も時折RB20を上回るペースを見せている。
RB20は前モデルから大幅に進歩しているものの、レッドブルのライバルチームの中にはさらに大きな進歩を遂げたチームもある。また、ピエール・ワシェは、レースドライバーのマックス・フェルスタッペンとセルジオ・ペレスにとって、この車の本質的な特性がうまく機能していないことを認めている
ピエール・ワシェ：RB20はRB19よりも優れたマシン
「我々は限界を少し高めに設定し、いくつかの領域では、おそらくやりすぎた。その結果、ドライバーにとって設計されていない特性がいくつか生み出された」とワシェは語った。
「成功は、自分たちだけで手に入れるものではなく、他者との相対的なパフォーマンスによってもたらされる。昨年は、他のチームが今年ほど良い仕事をしていなかったという幸運に恵まれていた。そのことも考慮しなければならない要素だ」
「RB20はRB19よりも良い車だ。しかし、もしかしたら我々の方が良い仕事ができるかもしれない。それがシーズン終盤と来年に向けて修正しようとしていることだ。ドライバーが戦えるよう、より良いツールを提供したい」
フェルスタッペンがよく口にする不満は、アンダーステアに対する一般的な不満であり、ワシェは、両ドライバーがRB20でアンダーステアとバランスに対する一般的な不満という同じ根本的な問題を抱えていると説明し、そのバランスに対する一般的な不満が、RB19の形を繰り返さないための決定的な要因であると述べた。
しかし、このうちどれほどがレッドブルが冬の間に車のコンセプトを変更したことによるものなのだろうか？
RB19は成功を収めたRB18の単純な進化形だったが、ライバルにコピーされることを恐れたレッドブルは、プラットフォームを再考し、穏やかな革命を目指した。つまり、RB19が他車より圧倒的に優れていたことを考えると、シーズン当初には驚きがあった。
しかし、もしレッドブルが前年のプラットフォームを使い続けていたとしたら、彼らは戦いに残れていただろうか？ 今年のほとんどのサーキットでは、昨年に比べマシンは1秒以上速くなっている。つまり、F1史上最も支配的なマシンであるRB19でさえ、安定したレギュレーションのもとでも今年は敗者になっていたということだ。レッドブルは冬の間に進化によって、ある意味でそれほどのパフォーマンス向上を実現できたのだろうか？それともコンセプトの変更が必要だったのだろうか？
「それは難しい質問だ」とワシェは言う。
「昨年と今年のデルタペースを見れば…大きな違いがあると思う。コンセプトを変えたことで、さらなる一歩を踏み出す可能性が生まれた」
レッドブルが最も警戒していたのは、直面する空力テストの時間制限だった。コンストラクターズチャンピオンシップで優勝したチームは、風洞テストとCFD研究に充てられる時間が最も少ない状態で次のシーズンを迎えることになる。
「序盤の4レースが終わった後で、このような質問をされたかどうかはわからない」とワシェは微笑んだ。
「私が言ったように、競争はより激しくなり、より難しくなっている。他社と比較した際の我々の空力開発時間やツールを考慮すると、以前のコンセプトを開発することが最良の結果をもたらすとは限らない」
「パフォーマンスを向上させたい場合、コンセプトを変更して他チームよりも空力開発に時間をかけない方が、パフォーマンスを発揮しやすい。それが、我々がこのリスクを取った理由だ。これが正しい選択だったという意味ではない。何が最善の選択だったか、その質問には答えられない。しかし、これが我々の取った行動だ」
最速のマシンでシーズンをスタートしたレッドブルだが、マクラーレンやメルセデスが成し遂げた進歩が選手権の様相を変えた。この2チームが投入したアップグレードは、レッドブルのアップグレードよりもはるかにマシンと調和しているように見える。
「開発はより難しいと思います」とワシェは認めた。
「我々が最速でないということは、我々の限界が他チームと同じではないということであり、それを突き止めなければならないということだ。我々はそれを突き止め、より良い仕事をする必要がある」
「開発に限界はないと思うが、真実なのは、開発から得られる利益や利得は今より小さくなるということだ」
「我々の現状では、ドライバーたちに毎レースで勝てるマシンを与えるには十分ではない。私はその点に集中している。つまり、両方のドライバーに確実に結果を出すことだ」
しかし、レッドブルとフェルスタッペンは、シーズン終了までの10レースの激しい戦いを前に、両選手権で依然としてリードを保っている。そして、迫り来るマクラーレンの猛攻に直面している。チームはRB20でどのような意図を持っているのだろうか？
2024年の終わりまで開発を続け、2025年シーズンに向けてさらに車を改良することが目標なのか、それとも現行のレギュレーションの最終年にはさらなる革命が必要なのか？
「現時点では、このコンセプトを開発し、この車を可能な限り開発することが目標だ」とワシェは言う。
「なぜなら、選手権は戦うためにあるものであり、我々は両方の選手権を勝ち取ろうとしているからだ」
「そして来年、我々はコース上でのコンセプトを評価する。それは今年とは確実に異なるものになるだろう。そして、さらなるパフォーマンスの向上を目指そう」
カテゴリー： F1 / レッドブル・レーシング
