レッドブルF1代表 「最後に何が起きようとも力を必ずすべて出し切る」
レッドブル・レーシング・ホンダのチームプリンシパルがメキシコ / ブラジル / カタールの3連戦とラスト2レースについて語った。

ドライバーズ / コンストラクターズ両選手権のチャンピオン争いが近年で最も激しい接戦となっている中、3大陸にまたがる極めてタフなトリプルヘッダーが開催された。メキシコ、ブラジル、そしてカタールでの3GPではマックス・フェルスタッペンとセルジオ・ペレスが素晴らしいドライブを見せ、優勝1回・2位2回・3位1回・4位2回のリザルトを残した。

この結果、ドライバーズ / コンストラクターズ両選手権のチャンピオン争いは僅差のまま2021シーズン最終2戦へ向かうことになった。ドライバーズは、マックスがルイス・ハミルトンから8ポイント差の首位に立っており、コンストラクターズでは、レッドブル・レーシング・ホンダがメルセデスを5ポイント差で追っているため、最終戦アブダビが終わるまでエキサイティングな展開が続くことになる。

F1初開催を迎えるサウジアラビアGPへ向けて出発する前に、レッドブル・レーシング・ホンダのCEO兼チームプリンシパルを務めるクリスチャン・ホーナーが直前3レースを振り返るとともに2021シーズン最終2レースへの展望を語った。

一定の結果を得たトリプルヘッダー
「トリプルヘッダーの10日間で9時間の時差を経験した。特にブラジルは、貨物の到着が遅れたためにひときわ過酷だった。それでも、チームがトリプルヘッダーというチャレンジに極めてスムーズに対応した。また、一定のリザルトと共に終えられたのは素晴らしい功績だ。コンストラクターズでメルセデスとのポイント差を縮められたのも評価できる」

メキシコ / ブラジル / カタールでの試練
「メキシコGPはチームとチェコにとって濃密な週末となった。チェコへの声援とF1を欲する気持ちは前例のないレベルだった。ファンがあまりにも多かったので、ホテルへ戻るのもひと苦労だった。コース上ではダブルポディウムという、戦いを続けられる素晴らしいリザルトを手にできた。チェコはメキシコGPでラップリードを記録した史上初のメキシコ人ドライバーとなり、またメキシコ人ドライバー初の母国GP表彰台を記録したので、彼にとっては特に良いリザルトだった」

「一方、ブラジルは私たちにとってこれまでとは異なるチャレンジになった。マックスは週末を通じて素晴らしいドライブを披露したが、ルイス(・ハミルトン)のマシンのアドバンテージは絶大だった。そのオーバーテイク能力は桁違いで、いとも簡単に追い抜いていくさまはまるで別カテゴリーのようだった。ルイスは10番グリッドからスタートしても、必ず優勝争いに絡んでくるドライバーだが、彼が19周目までに他の全ドライバーをパスしたあと、マックスは50周に渡り彼を抑え込むことができた。この事実は、マックスの傑出したドライブを証明するものだ」

「カタールについては、マックスは予選で一連の不運な状況に見舞われ、アンラッキーなことにグリッドペナルティを受けたが、降格からのリカバリーは見事だった。レースではメルセデスの方が速く、2位は私たちが得られる最大限のリザルトだった。しかし、ストレートスピードで久々にメルセデスと互角に渡り合えていたのは良かった」

最大限に高まるプレッシャー
「キャリア初のF1タイトルを争っている状況は緊張を伴うが、今シーズンを通じてマックスが示している成熟ぶりは極めて印象的だ」

「マックスはリラックスしており、チャンピオン争いのプレッシャーにも信じられないほど上手く対応している。彼は過去最高のドライビングを見せていると思う。好例が、カタールでルイスを捕まえられる気配が感じられない中での『楽しんでみよう』という無線での発言だ。マックスは率直な物言いをする人物で、自分の考えをはっきりと伝えてくる。そして彼にスポーツ心理学者はついていない。彼は自分ひとりでこの状況に対処している」

プレッシャーの扱い方
「ドライバーズ / コンストラクターズ両選手権を手に入れるために、私たちは懸命な努力を重ねてきた。あと数レースを残すのみだが、チャンピオン争いは極めて接戦だ。マックスはわずか8ポイント差でドライバーズをリードしており、コンストラクターズはトップまで5ポイント差だ。選手権終盤でこの位置につけるために、私たちは過去数シーズン戦い続けてきた」

「私たちはタイトル争いで首位に立ちたい。今シーズンは緊張の連続だが、私たちには自分たちにわざとプレッシャーをかけているところがある。経験を重ねてきたおかげで、私たちは『自分たちではコントロールできないこと』ではなく『自分たちでコントロールできること』だけを意識している。重要な局面では特にそうだ」

「私はこのチャンピオンシップ争いを心から楽しんでいる。メルセデスとルイスに互角の勝負を挑めていることもあり、本当に素晴らしいシーズンを送れている。世の中にはプレッシャーに晒されることで本領を発揮する人と、プレッシャーを避ける人がいるが、私は常にプレッシャーの中で最高の仕事をしてきたと自負しているし、今シーズンもそれは変わらない。コース外では多少邪魔が入るが、レースがスタートすれば、レース以外のすべてが些細なものになる」

「F1は人命救助ではなく、ただのスポーツだ。だからこそ、ある程度大局的に眺める必要がある。F1は熾烈な競争だが、世界には他にも大事なことが存在する。だから私は家族と一緒に過ごし、犬たちと散歩に出かけている。そうすることで緊張を解いている」

「スポーツやチームに対する意見は人それぞれだ。しかし、他人の視点に左右されながら自分の人生を生きることはできない。自分の考えに心地よさを感じながら、それを貫く必要がある」

ラスト2レース
「これからサウジアラビアでの初レースに臨むが、サーキットは強烈なイメージだ。非常に高速で、最初のセクターは鈴鹿にも似ているが、コンクリートウォールに囲まれている! サウジアラビアGPは大きなチャレンジになるだろう。数多くの興奮とドラマが待ち受けているはずだ」
「F2のレースを注意深く観察することになるだろう。数字上はパワーサーキットに見えるので、メルセデスに有利なサーキットと言えるし、彼らもそう考えているかもしれないが、実際に走り出してみなければ分からない」

「サウジアラビアの翌週は最終戦アブダビへ向かう。2020シーズン、私たちは2014シーズンから続いていたメルセデスのアブダビGP連勝記録を止めたが、今シーズンはコースレイアウトが大幅に変更された。最大限の準備をして最終戦に臨み、全力を尽くして結果を待ちたい」

「このチャンピオンシップの最後に何が起きようとも、私たちは持てる力を必ずすべて出し切る。今年は素晴らしいレースが続き、緊張溢れる戦いが展開されてきた。賛否両論が生まれてきたが、今シーズンは多くのオーディエンスを惹きつけることもできている。その一端を担えているのは嬉しいことだ」

サー・フランク・ウィリアムズ氏の逝去に寄せて
「サー・フランク・ウィリアムズ氏逝去の報を受け、深い悲しみを覚えている。彼は真のジェントルマンであり、真のレーサーだった。少年時代の私はウィリアムズチームのファンだった。私がF1の世界に入ってからも、彼はいつも私のために時間を割いてくれた。彼のF1への情熱は絶大な影響力を持っていた。レッドブル・レーシングを代表し、ウィリアムズ家の皆様にお悔みを申し上げるとともに、ウィリアムズ氏がF1にもたらしたすべてに感謝したい」

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カテゴリー: F1 / レッドブル・レーシング / ホンダF1