レッドブル・ホンダF1 分析:ホンダPUのデプロイメントが週末の鍵 / F1トスカーナGP 金曜フリー走行
レッドブル・ホンダF1にとって、今週末のF1トスカーナGPでは予選におけるホンダF1のパワーユニットのデプロイメントが鍵を握ることになりそうだ。

高速3連戦の最終戦となるF1トスカーナGP。同じ“高速サーキット”という括りではあるが、ムジェロ・サーキットは“モンツァ仕様”のローダウンフォースパッケージを持ち込んだ先週末のF1イタリアGPとは毛色は異なり、ロングストレートは1本のみで、それ以外は緩やかなコーナーの連続となる。

先週末のF1イタリアGPで、レッドブル・ホンダF1はローダウンフォースパッケージの最適化に失敗。ストレートでもダウンフォース区間でもパフォーマンスを発揮できなかった。

ムジェロ・サーキットはよりノーマルなダウンフォースパッケージが持ち込まれ、これまでのところ、レッドブル・ホンダはマシンの挙動という点で良好な滑り出しをみせている。

「バランスの調整はまだ必要だけど、メルセデスとの差も少なく、全体的に満足している」(マックス・フェルスタッペン)

「マシンのバランス面で改善点はあるけど、苦しんだモンツァに比べて、いいパフォーマンスを発揮できていると思う」(アレクサンダー・アルボン)

FP2で3番手だったマックス・フェルスタッペンは、トップタイムを記録したメルセデスのバルテリ・ボッタスとの差は0.207秒、2番手のルイス・ハミルトンからは0.039秒差に迫った。これは通常よりも小さなタイム差だ。

しかし、ムジェロ・サーキットは初開催の会場であり、メルセデスはより入念にプログラムを進めていた印象を受ける。前戦F1イタリアGPの反省を踏まえてか、FP1からレースペースに重点を置いて両方のコンパウンドを評価していたのが印象的だった。特にルイス・ハミルトンはこれまでのグランプリでは見られないような慎重にコースをチェックしていた。そのため、明日になれば、その差は通常の0.5秒程度に開くと予想される。

そこで問題となってくるのが、レッドブル・ホンダ以下の存在だ。マクラーレンはトラブルもあって下位に沈んだが、ルノー勢はそれなりの仕上がりをみせている。今季のルノーは高速サーキットと相性がよく、ムジェロでもセクター3で好パフォーマンスをみせていた。

また、フリー走行を見ると、ムジェロ・サーキットが抜きにくいトラックであることは明確だ。そのため、予選ポジションが非常に重要になる。

そこで重要になってくるのがホンダF1のパワーユニットだ。1周5.245kmのムジェロはブレーキングポイントが少ないためMGU-Kのチェージが困難。そのため、MGU-Hの効率性が求められてくる。

スパ・フランコルシャンで開催されたF1ベルギーGPの予選で、マックス・フェルスタッペンはラップ終盤にデプロイ切れを起こしていた。

そのため、ホンダF1がパワーユニットのデプロイメントを最適化し、予選でしっかりとメルセデス勢の後ろにつけることが重要になってくるだろう。

■デプロイメントとは
デプロイメントとは、回生システムで蓄電したエネルギーをトラックのどの部分でどれだけ使用するかの配分量のことをいう。F1パワーユニットは、V6ターボエンジンに加え、運動エネルギー回生システム(MGU-K)と熱エネルギー回生システム(MGU-H)という2種類のエネルギー回生システムが組み込まれている。MGU-Kは、1周あたりの回生量が2MJ、放出量が4MJと規定されている。フルで放出した場合、約33秒、120kW(約160馬力)のパワーアシストとなる。ただし、回生量・放出量が規定されているため、この部分で大きな差がつくことはないといえる。一方、MGU-Hは回生量・放出量ともに制限がない。MGU-Hで蓄積したエネルギーをMGU-Kに配分(デプロイメント)すれば、33秒を超えて160馬力をアシストできるようになる。

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カテゴリー: F1 / レッドブル・レーシング / ホンダF1 / F1イタリアGP