ピレリ
ピレリが、2014年 第7戦 F1カナダGPが開催されるジル・ヴィルヌーヴ・サーキットをタイヤメーカーの観点から解説した。

モナコ同様、ピレリのP Zero イエロー・ソフトとP Zero レッド・スーパーソフトタイヤがジル・ヴィルヌーヴサーキットに登場する。このサーキットは、常設サーキットのセクションと公園内の公道を組み合わせた半常設サーキット。

しかし、モントリオールはモナコとは大きく異なり、平均スピードが速く、変わりやすい天候や経験豊富なドライバーであえもミスを犯しやすいグリップレベルの低い路面が特徴的。過去には、多くのドライバーが有名な“wall of champions”に接触している。

モントリオールにおけるもうひとつの重要な要素はブレーキングであり、ブレーキによる熱がタイヤ温度を上昇させる(しかし、新しく導入されたブレーキ・バイ・ワイヤシステムによって、今年のブレーキの動作は昨年までと異なっている)。さらに、モントリオールには悪名高い縁石が存在し、タイヤは、マシンのサスペンションの一部として衝撃を吸収しなければならない。

トラクションとブレーキングが、モントリオールではタイヤに影響を及ぼす2つの主な要素。トルクが増大し、ダウンフォースが減少している2014年型マシンは、このトラックをより難しいものにしている。最も大きなリスクであるホイールスピンは、トレッド表面をオーバーヒートさせる。レイトブレーキングは、ホイールがロックしたバイイにフラットスポットを生成する可能性がある。しかし、2014年型タイヤは、フラットスポットが生成されにくいように設計されている。

モントリオールでは、ストレートで300km/hを超えるトップスピードを最大限にするために、マシンはローダウンフォースのセットアップで走行する傾向にある。そのトレードオフとして、コーナーでの空力グリップが減少するため、マシンはスライドしやすくなり、タイヤコンパウンドによるメカニカルグリップに依存することになる。

スーパーソフトタイヤは作動温度領域が低く、低温化でも最適な性能を発揮できるコンパウンド。ソフトタイヤは、作動温度領域が高く、高温のコンディションや厳しい路面状況に適したコンパウンド。カナダの天候は変わりやすく、レースが中断になることもしばしば。ピレリがF1に復帰した2011年のカナダGPは、度重なる中断によってF1史上最長のレースとなった。

カナダでのタイヤにとって最も大きな課題のひとつは、アスファルトに非常に大きなばらつきがあるという事実であり、不均等なグリップレベルを提供する多様な路面によって構成されている。タイヤコンパウンドは、このような多様性を取り払い、可能な限り一貫したグリップレベルを提供する役割を担う。

昨年は、ポールポジションからスタートしたレッドブルのセバスチャン・ベッテルが優勝。ベッテルは、ウェットでの予選でインターミディエイトタイヤを私用し、決勝では、スーパーソフト-ミディアム-ミディアムと繋いだ2ストップ戦略で優勝した。今年、ミディアムではなくソフトをスーパーソフトとともに選択しているが、2014年型の全コンパウンドは、昨年型よりもわずかに硬めになっている。

ポール・ヘンベリー (ピレリ・モータースポーツ・ダイレクター)
「カナダはモナコよりも非常に高速になっているため、タイヤは、より大きな負荷とともに酷使されることになります。モントリオールで不可欠な最大限のメカニカルグリップを導き出す必要があります。路面の改善は大きく、特に今年のダウンフォースは減少しているので、スタイドが多発することもタイヤへの負荷を明らかに増大させます。しかし、レンジ中で最も軟らかい組み合わせのタイヤでも、今週の摩耗とデグラデーションは抑制されると思います。カナダは、セーフティカー導入率が高いこともあり、戦略が差を生じさせる常に予測不可能なレースになる傾向があります。セーフティカー導入率が高いこともあり、戦略が差を生じさせる常に予測不可能なレースになる傾向があります。モナコでも見られたように、臨機応変な戦略を採ることが、カナダのような一般的ではないサーキットで成功を収めるためには必要要素となります。歴史的に雨の確率も高いため(特にはドライセッション後にデータが無い状態であることも)、クロスオーバーポイントを判断することが極めて重要になります」

ジャン・アレジ (ピレリ・コンサルタント)
「モントリオールは、高速で市街地サーキットと常設トラックの組み合わせを特徴とする極めて特殊で例外的なサーキットです。ドライバーの観点から最も重要な点は、リアタイヤを可能な限りベストな状態に保つことです。長いコーナーが存在しないため、カナダでのタイヤへの負荷は、加速と減速時の縦方向の負荷が主なものです。加速時には特に注意を払う必要があります。さもなければ、タイヤをすり減らしてしまし、ブレーキングも困難になります。ドライバーにとってフィジカル的に厳しいトラックではありませんが、特に有名な“wall of champions”が待ち受けるピット直前のスケインでは、ブレーキング時に最大限の集中が必要です。個人的には、1995年のカナダでの優勝が思い出に残っています。それは私のF1で唯一の勝利であり、誕生日にジル・ヴィルヌーヴと同じ伝説的なカーナンバー27をつけて成し遂げた優勝に信じられないほどの感動を味わいました」



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カテゴリー: F1 / ピレリ / F1カナダGP