オスカー・ピアストリ F1アブダビGP会見「3番手という立場が心を軽くする」
オスカー・ピアストリ(マクラーレン)は、前戦カタールでの力強い走りを経て「大きな自信」を得てアブダビGPに臨むと語った。ポイントでは16点差と不利な立場だが、過去の“三つ巴タイトル決戦”のジンクスが「わずかな comfort(心の余裕)」を与えているという。

一時は第5戦以降ずっとランキング首位を走っていたピアストリだが、後半戦の失速によりメキシコでランド・ノリスに首位を奪われ、前戦カタールではマックス・フェルスタッペンにも逆転され3位に後退。

それでもスプリント勝利とスプリントポールを手にしたカタール週末は、ここ数戦で最も充実した内容となった。

「リラックスしている」とピアストリは木曜メディアデーで語った。

「ジュニア時代にはタイトル争いの“追われる立場”だったけど、あれは本当にハードだった。今回は3人の中で“失うものが一番少ない立場”で入れていて、すごく違う感覚だよ」

「カタールでの週末を経て、自分がしっかり戦えるという大きな自信がある。もちろんタイトルを取るには多くのことが必要だけど、正しい場所にいて、正しいタイミングを逃さず、あとはどう転ぶかを見てみるだけだね」

ランキングトップのノリスとは16点差。可能性は最も低いが、もし王座を獲得すれば「とてもクールだ」と笑う。

「そういう大きな成果って、後からじわじわ実感が湧くものだと思う。でもシーズンオフまでもすぐだし、レースというのは結局、次の週末に向けて切り替わっていく。もし達成できたら、それはもちろんすごく嬉しいことだよ」

ピアストリがわずかに勇気づけられているのが、“三つ巴の最終戦”におけるある統計だ。

2007年(キミ・ライコネン)、2010年(セバスチャン・ベッテル)と、最終戦に3番手で入ったドライバーが2度とも逆転王者になっている。

セバスチャン・ベッテル アブダビグランプリ

「僕にとっては嬉しい統計だけど、過去にそうだったからといって今回もそうなるとは限らない。だから寄りかかるつもりは全くない。ただ、“可能だ”というほんのわずかな comfort は与えてくれるね」

チームオーダーについて問われると、ピアストリはまだ何も決まっていないと強調した。

「その話はしていない。何が期待されているのか、まだ分からないんだ」

最後に母国オーストラリアのファンに向けて「ベストを尽くす」と語り、静かに決戦へ気持ちを整えていた。

マクラーレン内の力関係と“3番手からの逆転”の現実味
マクラーレンは今季、ノリスとピアストリを“完全に自由に戦わせる”と公言してきたが、タイトル最終決戦で両者が絡むシナリオは避けたい。一方で、前戦カタールでチーム戦略が裏目に出たことは、ピアストリの士気と判断の柔軟さをむしろ高めた印象だ。

統計的には“3番手逆転”は過去に2回起きているものの、今年のポイント差は16点。タイトル奪取には、ノリスとフェルスタッペン双方の不運を含め、複数の条件が重なる必要がある。ただし、カタールで示した単体パフォーマンスを武器に「最低限、チャンスが生まれたときにそこに居合わせる」ことは十分可能だ。

ピアストリの冷静さと勝負勘が、最終戦アブダビでどこまで“奇跡の構図”に関与できるのか。三つ巴決戦の結末を左右する存在になることは間違いない。

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カテゴリー: F1 / オスカー・ピアストリ / マクラーレンF1チーム / F1アブダビGP