オリバー・ベアマン F1アメリカGPスプリント「一瞬、出場停止を覚悟した」
ハースF1チームのオリバー・ベアマンは、アメリカGPスプリントでアンドレア・キミ・アントネッリとの接触後にトラックリミット違反で10秒ペナルティを受け、「レース出場停止になるかと思った」と明かした。

20歳のルーキーは、レース終盤の14周目、ターン15で最後のポイント圏を争うバトルを展開。イン側で先行したメルセデスのアントネッリに対し、アウト側から並んだベアマンはコース外にはみ出して前に出た。

しかし、ルール上「イン側が先行していれば、アウト側にスペースを残す義務はない」と定められているため、スチュワードはベアマンに10秒ペナルティを科した。結果、8位から15位へと順位を落とした。

さらに重要だったのは、彼の累積ペナルティポイントがすでに10点に達していたこと。あと2点でメキシコシティGP出場停止となる状況だったが、今回は追い越し後の「危険な復帰」とは見なされなかったため追加はなしとなった。

「みんながどう思ったかは分からないけど、僕は今朝かなりショックだった」とベアマンはメディアに語った。「正直、最初は出場停止になったと思って本気で怒っていた。いろいろあって火がついた感じだった」

ペナルティには納得していない様子で、「あまり言わない方がいいこともある」としながらも、判断に対する不満を滲ませた。

「僕たちの視点では、あの瞬間にじっくり考える時間がなかった。ランス(ストロール)がチームメイトのエステバン(オコン)と接触してセーフティカーがすぐに出たからね」と説明。「僕から見れば本当に微妙だった。0.2秒で10ページもあるドライビングガイドラインを思い出すのは無理だよ」

「結局、チームが判断を下す前にセーフティカーが入った。10秒ペナルティなんて、馬鹿げてるよ」

それでもベアマンは、結果に対しては潔かった。「8位だろうと20位だろうと構わない」と語り、「ただ、あの瞬間は必死にポイントを守っていた」と振り返った。

「16番手から8位まで上がってきてラッキーだったけど、燃料が重い状態ではセットアップが完璧じゃなかった。とにかく必死だったよ」

「でもまあ、明日は誰とも争わないようにするつもりだ」

オリバー・ベアマン ハースF1チーム

ハースF1のアップグレードに手応え

ポジティブな面もあった。チームメイトのオコンがFP1で試したアップグレードは十分な成果を示し、週末残りのセッションで両マシンに導入された。

「アップグレードは間違いなく正しい方向に進んでいる」とベアマンは分析する。「クルマが少し繊細で限界に近づいた感じはある。Q2では風の影響でリアが流れてミスをしたけど、それも性能を引き出している証拠だと思う」

「今のレギュレーションでは、パフォーマンスを上げれば上げるほど扱いが難しくなる。でも確実に速くなっている。今はそれが一番重要なことだ」

その成果として、ベアマンは予選で8番手を獲得。Q1ではオコンに0.844秒差をつけて上回った。

「週末前から厳しい戦いになると分かっていたけど、こうしてP8に立てたことを誇りに思う」と語り、「チーム全体の努力の成果だ」と締めくくった。

分析:ルーキーらしからぬ冷静さと順応力

ベアマンはスプリントでの不運な裁定にも冷静に対応し、精神的な成長を示した。新型アップグレードにいち早く適応し、翌日の予選でトップ10入りを果たした点は、ルーキーとして際立つ成果だ。

一方で、メルセデスのアントネッリとの接触は、若手同士の限界ギリギリの攻防を象徴しており、判断力の精度が問われた場面でもある。結果的にはポイントを失ったものの、戦う姿勢と回復力の高さは、ハースF1チームにとっても将来への希望材料と言えるだろう。

このエントリーをはてなブックマークに追加

カテゴリー: F1 / オリバー・ベアマン / ハースF1チーム