MotoGP:スズキ 第7戦 サンマリノGP 決勝レポート
今シーズン初めて少数の観客を動員して開催されたサンマリノGP決勝。ミサノワールドサーキット/マルコ・シモンチェリには決勝日に約10,000人のMotoGPファンが集まり、27周で行われたスリリングなレースを観客席から観戦した。チームスズキエクスターはジョアン・ミルが最終ラップにドラマティックなオーバーテイクを見せ3位表彰台を手に入れ、チームメイトのアレックス・リンスもレース終盤まで上位グループで激しい表彰台争いを行い5位でレースを終えた。

朝のウォームアップ走行での最大のテーマは、決勝で大きな鍵を握るタイヤ選択であり、ミルは前後共ミディアムタイヤを選択し、リンスはフロントにミディアム、リアにソフトを選択した。

シーズン初観客の声援の中で決勝がスタートし、スズキライダーのふたりは1周目にリンス6番手、ミル8番手とそれぞれポジションを上げる。リンスは安定したハイペースで周回を重ね8周目には5番手に、その後さらに4番手にポジションを上げ表彰台を射程圏内とする。ミルも後方から着々と追い上げ、リンスのグループのすぐ後ろで6番手を走行。オーバーテイクのタイミングを虎視眈々と狙う。

リンスはその後もペースを落とすことなくレースは終盤を迎え、残り数周ではふたりのライダーが共に表彰台を狙える展開となったが、リンスは腕上がりの症状に苦しみ表彰台争いから無念の脱落。一方のミルは最後まで表彰台争いを諦めることなく最終ラップでラストスパートを掛け、前を走るロッシ(ヤマハ)をオーバーテイク。3位にポジションを上げてシーズン2度目の表彰台を獲得した。腕の痛みによりペースダウンを強いられたリンスも5位でチェッカーを受け、チャンピオンシップに貴重なポイントを加算した。

この表彰台獲得によりミルはチャンピオンシップでトップから16ポイント差のランキング4位に浮上。リンスは36ポイント差の12位だが、チャンピオンシップポイントはかなり僅差で、今後のレース結果により大逆転が起こる可能性が高い。

河内 健 テクニカルマネージャー
「レッドブルリンクに続いてミサノはスズキにとって難しいサーキットだったのですが、初日こそ苦戦しましたが最終的にはふたり共トップ5でフィニッシュしてくれ、ジョアンは最終ラップで素晴らしい走りを見せて表彰台を獲得することができました。来週もう1戦ここでレースがありますので、アレックスにはこの悔しさを次のレースにぶつけてもらい、ジョアンには引き続き好調を維持して2戦目も表彰台を狙ってもらいたいと思います。応援よろしくお願いします。」

ダビデ・ブリビオ チームマネージャー
「今週もまた表彰台を獲得できましたし、何よりスズキの2台のマシンが揃って上位グループで表彰台争いをするのを見ることができたことが本当に嬉しいですね。予選グリッドがもう少し良かったら、さらに良いリザルトを期待できたのではないかと思います。ジョアンは後方から着々と追い上げ、最終ラップで息を飲むパフォーマンスを見せて表彰台を手に入れましたし、アレックスも腕の問題が起きるまでのペースは素晴らしいものでした。この週末のチームスタッフの努力に感謝すると共に、我々は来週もこの好調を維持し、来週末さらに上を目指していきます。」

ジョアン・ミル
「今日はオーストリアの時ほど強くはなかったけど、とにかくまた表彰台を獲得できて最高に嬉しいよ。最終ラップで仕掛けたコーナーは自信があったし、あそこでオーバーテイクすることは決めていたから、あのアタックは本当にエキサイティングだったね。スタート直後のタイヤが新しい時はペースアップに苦戦したけど、タイヤが消耗してからのペースはかなり良かったし、マシンのフィーリングも良かったから思い切って攻めることができた。火曜日のテストでさらにいろいろ試して、来週末に向けてまたきっちり準備するよ。」

アレックス・リンス
「今日はかなりきついレースだったよ。レース序盤から中盤は良い感じで走れていたんだけど、表彰台が見えてきてからペースを上げてかなりプッシュしたせいで右腕が腕上がりのような状態になってしまった。ヘレスで怪我した右肩がまだ完治していないから、それをかばって筋肉に負担を掛けてしまったせいだろうね。ラスト数周はもう限界だったから、とにかく転倒せず、順位をキープして完走することに気持ちを切り替えたんだ。状況を考えれば5位という結果には納得だけど、来週はさらに上を目指すよ。」

このエントリーをはてなブックマークに追加

カテゴリー: F1 / MotoGP