2025年F1 メキシコGP 分析:金曜日のデータが示す残りの週末の行方
マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)は、F1メキシコGP初日のプラクティスで再び圧倒的な速さを示し、FP2でトップタイムを記録した。暑さと路面の汚れによりグリップが極端に低下する難コンディションのなかでも、フェルスタッペンはすぐにマシンをフィットさせ、ライバルたちを抑え込んだ。

しかし、実際の勢力図はまだ不透明だ。マクラーレンやフェラーリ、メルセデスもそれぞれ強みを見せ、4強が僅差で競り合う展開となっている。

アップグレードを施したレッドブルの仕上がりや、角田裕毅の堅実な走りも含め、今週末のメキシコは予選・決勝ともに激戦が予想される。

アップグレード版レッドブル、1周の速さで優位
現王者のフェルスタッペンは、チームが若手ドライバーを走らせる機会を得たため、9人のレースドライバーのひとりとしてFP1を欠場した。それでも午後の2回目のセッションでは、燃料が少ない状態でソフトタイヤを履くとすぐにフィーリングをつかみ、最速タイムを記録した。

レッドブルはメキシコにさらに新しいアップグレードを持ち込み、モンツァで導入された新フロアに調整を加えた。コーナリングではタイムを短縮(低速域で約0.2秒、中速域で約0.1秒)し、マクラーレンよりも直線での空力効率が高いセットアップを採用していた。

予選シミュレーションのチャートではわずか0.04秒差でマクラーレンをリードしているが、理想ラップデータによると、もしシャルル・ルクレールとランド・ノリスがすべてのミニセクターを完璧にまとめていれば、フェルスタッペンを上回っていた可能性もある。

レースペースに関してはあまり良くなく、フェルスタッペン自身が「レースへの大きな懸念」と語ったのもそのためだ。レッドブルはマクラーレンに対して0.15秒遅れていた。ただし、メルセデスやフェラーリと同様にミディアムタイヤでロングランを行っており、チームチャンピオンであるマクラーレンはソフトで走行していた。

したがって、日曜の決勝に向けてレッドブルには一晩でやるべき課題が多いが、フェルスタッペンの低燃料ペースと角田裕毅の2回のプラクティスでの安定した走りには大いに自信を持てるだろう。

メキシコグランプリ:予選シミュレーションラップ

マクラーレン、レースペースは強力もバランスに課題
オスカー・ピアストリとランド・ノリスは、ポールポジション争いに加わるためには最終プラクティスと予選までにまだ多くの改善が必要だと認め、両ドライバーともマシンバランスに苦戦していた。

過去4戦でマクラーレンは予選で苦戦が続いており、その傾向はメキシコでも続くように見えた。だが、フェルスタッペンに及ばなかったとはいえ悪い日ではなく、ノリスはP4で、データ上ではベストラップをまとめていればP2相当の速さだった。

1周の走りでは改善の余地が大きく、ノリスは0.3秒、ピアストリは約0.4秒を失っていた。ドライバーズ選手権で首位のピアストリに14ポイント差で続くノリスが、今回もわずかに速さで上回っているようだ。

「バランスがあちこちに行ってる」― ノリス
レースペースに関しては非常に強力で、特にノリスのペースが印象的だった。「マクラーレンは別の次元にいた。大きく差があった」とライバルのルクレールは語った。「低燃料だったのかは分からないけど、すごく強かったね」。

一方、マクラーレンはこの週末に対して比較的前向きだ。レッドブルとは異なり、シルバーストン以来フロアを更新しておらず、すでに開発リソースを2026年に切り替えているが、それでも競争力を感じている。

「たぶんね」とピアストリはレッドブルとの戦いについて答えた。「いつも通り接戦になるだろうけど、いいマシンがあると思う」。

メキシコグランプリ:イディアルラップ

フェラーリはまずまずの初日、勝利にはまだ届かず
シャルル・ルクレールはFP1で最速、FP2でも2番手につけ、「ポジティブな一日だった」と語った。「マシンのフィーリングも良かった」と満足気だ。

ただし浮かれることはなく、「低燃料ではレッドブルに、そして高燃料ではマクラーレンに後れを取っている」と分析した。

データでもその傾向は明確で、フェラーリは予選・レースともに約0.3秒遅れ、いずれも4番手の位置にいる。

ルイス・ハミルトンは「今日はあまり良い感触じゃなかった割には、意外と差が小さいことに驚いた」とコメントしている。

「今日のままではレースしたくないね。ロングランのバランスは壊滅的ではなかったけど、タイヤからもっと引き出す必要がある。マシンにはもっと速さがあるはずだ」。

フェラーリはペースリーダーではないものの、前戦オースティンで示した改善傾向を継続しており、昨年カルロス・サインツが勝利したサーキットで再び表彰台を狙える位置にいる。今季ハミルトンにとってフェラーリで初の表彰台の好機となるかもしれない。

メキシコグランプリ:レースシミュレーションラップ

メルセデス、4チームによる接戦に加わる気配
ジョージ・ラッセルはリザーブのフレデリック・ベスティがFP1を担当する間、覆面姿でフォロソル・スタンドに紛れ込んで観戦していた。そしてFP2でコースに出た際は他のドライバー同様、低グリップの状況に苦しんだものの、ペース自体は良好だった。

これはFP1でのアントネッリとベスティの走りの延長線上にあり、メルセデスはショートランでもロングランでも競争力を見せていた。

マクラーレンやレッドブルにはわずかに及ばないが、予選ペースでは0.16秒差に収まっており、ポール争いにも十分加われる位置にいる。

日曜にタイヤマネジメントをうまくこなせば、決勝でも上位争いを展開できるだろう。コンストラクターズ選手権ではフェラーリに7ポイント差、レッドブルに10ポイント差と僅差で、2位を維持するためにも重要な週末となる。

メキシコグランプリ:カーパフォーマンス

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カテゴリー: F1 / F1メキシコGP