メルセデスF1代表 アントネッリを評価「F1の弱肉強食の世界で立場を守った」
アンドレア・キミ・アントネッリにとって、F1での初シーズンは順風満帆とは言い難いものだった。だがメルセデスF1代表のトト・ヴォルフは、厳しい評価や外部からの批判がある中でも、この若きイタリア人ドライバーが「F1という世界の弱肉強食の世界の中で、自分の立場を守った」と高く評価している。

シーズン開幕時点ではまだ18歳だったアントネッリは、全24戦という自身初の長丁場を戦い抜き、150ポイントを獲得。

チームの前任者であるルイス・ハミルトンとの差は10ポイント未満に抑え、ドライバーズランキング7位でシーズンを終えた。

好スタートと試練の夏
序盤戦は上々だった。安定したレースペース、印象的な走り、そしてカナダGPでの初表彰台が、アントネッリの才能を明確に示した。しかし夏場に入ると状況は一変。ヨーロッパラウンドでポイントを獲得できないレースが続き、精神的にも大きな試練を迎えることとなった。

終盤での巻き返しと復活の証明
それでもアントネッリは立ち直る。シーズン終盤にはブラジルGPとラスベガスGPで再び表彰台に立ち、特にサンパウロでの2位は、停滞していたシーズンを再び前向きなものへと変えた。

若すぎるルーキーへの批判
この回復力は多くのライバルからも評価された一方で、批判の声もあった。レッドブルのアドバイザーを退任するヘルムート・マルコは、これほど若いルーキーをメルセデスのマシンに乗せる判断そのものに疑問を呈していた。

ヴォルフが語る“予想通りの一年”
アブダビGP後、ヴォルフはあらためてアントネッリが置かれていた状況と、その中で見せた成熟ぶりを強調した。

「シーズン前にも言ったように、彼の才能を示す天才的な瞬間もあれば、こちらが頭を抱えるような瞬間もあるだろうと分かっていた。」

「まさにそういう日々こそが、彼に最も多くを教えてくれる。我々は浮き沈みを経験し、そして非常に多くを学んだ。」

“F1の弱肉強食の世界”の中で
ヴォルフは、タスクの難しさを次のように表現している。

「特にこのようなシーズンを終えたあとで思い出すべきなのは、キミはまだ19歳だということだ。F1という弱肉強食の世界に、初めて放り込まれた。私は、彼は自分の立場をしっかり保ったと思っている。そして将来に対して大きな期待を抱いている。」

若いドライバーとの向き合い方
さらにヴォルフは、メルセデスF1としても未経験だった“10代のレギュラードライバー”との関係性について語った。

「キミと話すとき、うまくいっている時もそうでない時も、我々は非常に率直だ。ただし、相手は大人ではないということを忘れてはいけない。キミはどちらかと言えば大人よりも子どもに近い。彼は19歳なんだ。」

「確かにクルマの中ではプロだ。ずっとカートやレースをしてきた。ただ、その成熟度を見ていると、あまりにも急激な成長を期待してしまいがちで、それが難しさでもある。彼はこの世界に一気に放り込まれた。」

批判とプレッシャーの中で
ヴォルフは続ける。

「彼の最も苦しかったレースを見ても、あれほどの注目とメディアからのプレッシャーの中で経験を積んでいるのは、本当に印象的だ。あらゆる方向から批判される。しかもチームメイトは非常に速く、経験も豊富だ。それでも彼は常に対処してきた。将来に向けて大きなポテンシャルを示していると思う。」

アンドレア・キミ・アントネッリ F1 メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

19歳の自分と重ねて
ヴォルフは、自身の若い頃と比較しながらこう締めくくった。

「私が19歳だった頃は、正直かなり愚かだった。彼が受けているようなプレッシャーには耐えられなかっただろう。だから彼と話すとき、時々少し厳しくなりすぎる。そこで自分に言い聞かせるんだ。待て、彼はまだ子どもなんだ、と。それは我々にとっても興味深い学びだ。」

アントネッリ自身が語る疲労
シーズン最終戦後、アントネッリ本人も、過酷な一年を戦い抜いた疲労を隠さなかった。

「正直、かなり疲れている。」

「最後のレース週末は、体調面でも万全ではなかった。健康面でもあまり良い状態ではなかったので、この冬はしっかり休めるのが楽しみだ。」

「これで初めてのシーズンが終わった。これから1か月かけて振り返り、もっと強くなって戻ってきたい。」

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カテゴリー: F1 / メルセデスF1 / アンドレア・キミ・アントネッリ