メルセデスF1圧縮比問題 FIA高温テスト通過も波紋

今回の検証では、エンジンを115度まで加熱したのち分解し、75度の状態で計測が行われた。FIAはこの条件下で技術的適合性を確認し、設計の合法性を承認している。
“第2マイクロチャンバー”が論争の火種に
問題の焦点は、メルセデスの燃焼室設計に組み込まれた「第2マイクロチャンバー」の存在だ。この構造は常温時に16:1の圧縮比を保証する一方、高温・高圧状態では機能が停止する設計とされる。
メルセデス側はあくまでレギュレーションの範囲内だと主張しているが、ホンダ、フェラーリ、アウディ、レッドブル・パワートレインズといった他メーカーは懸念を示している。特に、検証時の温度条件が実際の走行状況を正確に再現していないのではないかという点が争点となっている。
FIAは事前にメルセデスと協議したうえで設計を承認したが、ライバル陣営は「トラック上での実運用環境を反映していない」と反発している。

バーレーンでF1委員会が協議へ
この問題はバーレーンで開催されるF1委員会で正式に議題に上がる見通しだ。フェラーリF1代表フレデリック・バスールは、少なくともオーストラリアで正式抗議を行う考えはないと明言している。
現在検討されている対策のひとつが、高温圧縮比をリアルタイムで監視するセンサーの導入である。これにより、レース中の実際の圧縮比変化を常時モニタリングできる可能性がある。
一方で、チャンピオンシップの商業権保持者であるリバティ・メディアは、新レギュレーション時代の幕開けに法的紛争が発生する事態を避けたい意向だ。妥協案として、メルセデスに新基準へ適応するための猶予期間を与える案も浮上しており、最大6戦のグレース期間が議論されている。
勢力図を左右する可能性
F1委員会での採決結果は、2026年勢力図を大きく左右する可能性がある。決定はメルセデスだけでなく、そのカスタマーチームであるマクラーレン、ウィリアムズ、アルピーヌにも直接的な影響を及ぼす。
新時代のパワーユニット競争は、開幕前からすでに政治的・技術的駆け引きの様相を呈している。バーレーンでの協議がどのような結論に至るかが、2026年F1シーズン序盤の力関係を決定づけることになりそうだ。
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