レッドブルF1が“出力を絞った”との見方 テストでの駆け引きが浮上

テストの目的は最速タイムを記録することではなく、データ収集とパッケージ理解にある。しかし、あまりに目立つパフォーマンスはライバルの警戒を招き、技術的な精査や政治的圧力を引き寄せる可能性もある。
メルセデスの前例とパドックの警戒感
バルセロナでのメルセデスの好調な走りは、他メーカーが圧縮比問題を巡ってFIAの介入を求める動きにつながったと見られている。こうした前例があるだけに、各陣営はパフォーマンスの見せ方にこれまで以上に慎重だ。
その中で、レッドブルの“静けさ”はテストのサプライズの一つとされている。
悲観論から一転したレッドブル
テスト前の一般的な見方では、レッドブルは今季タイトル争いの本命ではないと考えられていた。2026年型パワーユニットを自社開発する初年度という事情もあり、慎重な予想が支配的だった。
チーム代表のローラン・メキースも2026年のローンチ時、「シーズン序盤は痛みを伴う」と警告していた。しかしテストが進むにつれ、この悲観的な見通しは必ずしも必要ではなかった可能性が浮かび上がっている。
信頼性の面では、レッドブルと姉妹チームのレーシングブルズは非常にスムーズな走行を重ねている。パワーユニット関連で散発的な問題はあったものの、大きなトラブルは発生していない。これは耐久性と基礎設計の堅実さを示す材料でもある。
さらに印象的なのは、レッドブル・パワートレインズが組み上げたエンジンが単に信頼性に優れているだけでなく、強力でもあると見られている点だ。
スピードトラップでの“変化”
テスト初日、RB22はスピードトラップでたびたび最速を記録し、パドックの注目を集めた。当初は出力を抑える様子は見られなかった。
しかし初日終了後、レッドブル陣営は自分たちの立ち位置が想定以上に良好であると判断した可能性がある。それ以降、マックス・フェルスタッペンとアイザック・ハジャーはスピードトラップで最下位付近に沈む場面が続いている。
パドックの一般的な見方は、これは偶然ではなく、意図的に出力を下げて注目を避けているというものだ。
ジェームス・ボウルズの見解
バーレーンでウィリアムズ代表のジェームス・ボウルズは次のように語った。
「誰が速いかは本当にその日次第だ。駆け引きも行われている」
「レッドブルはパワーユニットの話題が出るまでは非常に良く見えた。その後、かなり出力を下げているように見える」
「フェラーリは素晴らしい。革新的なものを次々に投入して前進しているし、競争力があると思う」
「メルセデスは最初から非常に強く、一日中安定している。無視できない存在だ」
「パドックの中でも、パワーユニットや燃料でどんな駆け引きが行われているかによって、真の勢力図を読むのは難しい」
さらにボウルズは、今季はサーキット特性による勢力図の変動がこれまで以上に大きくなると指摘する。
「パワーユニットとマシン特性によって、サーキットごとの振れ幅はこれまで以上に大きくなるだろう。仮にここでフェラーリが勝てたとしても、メルボルンで同じとは限らない」

RB22の実像とオーストラリアへの展望
もちろん、テストでどれだけ出力を抑えても、速いマシンは基本的なポテンシャルを隠しきれない。RB22もその例に入る。
目立つラップタイムは少ないものの、空力プラットフォームは堅実で、メカニカル面と安定性の観点からも予測しやすいマシンと評価されている。
フェルスタッペンとアイザック・ハジャーも概ね前向きなコメントを残しており、ハジャーは「想定より良い状態にある」と認めている。ただし、だからといってレッドブルがオーストラリアの本命だと断言しているわけではない。
フェルスタッペンは特に、開幕戦ではメルセデスがエンジン出力を大きく引き上げてくると見ている。
それでも、レッドブルのパワーユニットが上位争いに十分加われる水準にあることは明らかだ。RB22のトップスピードだけでなく、エネルギー回生と再充電効率の高さもライバルから注目されている。
電気エネルギーを素早く回収・再充電できることで、1周を通じてより多くのエネルギーを展開できる点が強みとされる。一部メーカーが電気エネルギーを早期に使い切る中、レッドブルはより持続的なパフォーマンスを発揮できるとの見方だ。
伝統的なトップ4は総じて良好な状態にある。大きなサプライズがなければ、オーストラリアGPのQ3にはおなじみの顔ぶれが並ぶ可能性が高い。
それでも、自動車メーカーとしての新たな立場にレッドブルが想定以上にスムーズに適応していることは否定できない。数年は苦戦すると予想した陣営もあったが、2026年もマックス・フェルスタッペンが最前線で戦う姿を見る可能性は十分にある。
カテゴリー: F1 / レッドブル・レーシング
