メルセデスF1代表 アントネッリを信頼「2026年には“本当のキミ”が見られる」
メルセデスF1チーム代表のトト・ヴォルフは、アンドレア・キミ・アントネッリが2026年に「本当のキミ」を見せることになると語った。ルーキーとして挑んだ2025年シーズンを通じて多くを学び、2年目にはF1の環境に完全に適応した姿を見せると信じている。

10月のアメリカGP前に、アントネッリとジョージ・ラッセルが2026年もメルセデスF1のドライバーとして継続することが発表された。2026年は新たな技術レギュレーションが導入される重要な節目の年となるが、ヴォルフは19歳の若手に長期的な視野で期待を寄せている。

ヴォルフ「2026年はリセットの年。“本当のキミ”が見られる」
アントネッリのルーキーイヤーは浮き沈みのある展開となった。序盤の好スタートからヨーロッパラウンドでの苦戦を経て、バクーで4位、シンガポールで5位、メキシコで6位と、後半戦では安定感を増してきた。

ヴォルフはアントネッリの成長を次のように語る。

「キミには長期的な将来がある。今の世代のマシンに、他のドライバーたちのようなグラウンドエフェクトカーでの経験なしに入るのは非常に難しいことだ」

「来年はすべてがリセットされる。彼はすでに全サーキットを知っているし、メディア対応のプレッシャーやチーム内での働き方も理解している。だから2026年には“本当のキミ”が見られると思う」

さらに、アントネッリが将来的にワールドチャンピオンになれるかと問われたヴォルフは、「もちろん、その通りだ」と即答した。

メルセデスも課題を共有 風洞と実走データの不一致
2025年シーズン、アントネッリだけでなくメルセデス自体もサーキットごとのパフォーマンス変動に悩まされてきた。ラッセルがシンガポールGPで優勝する一方、他の週末では競争力を欠くケースもあった。

ヴォルフはその原因について次のように説明する。

「シミュレーターと風洞の相関関係を見つけるのは非常に難しい。そして実際にサーキットに行くと、すべてが違って見える。シンガポールではあんなに競争力があるとは予想していなかった。レギュレーションの影響で、まるで“サプライズボックス”のような状態だ。トップチームのどこも相関性の問題に苦しんでいるようだ」

アンドレア・キミ・アントネッリ メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

アントネッリの「2年目効果」に賭けるメルセデスの再生プラン
2026年の技術レギュレーション変更は、メルセデスにとって体制再構築の絶好の機会となる。ヴォルフが「リセット」と表現したように、マシン開発とドライバー成長が同時にリスタートを迎える構図だ。

アントネッリはすでに全サーキットを経験し、F1でのレース運び・メディア対応・チーム内連携といった要素を学び終えている。次の課題は、走行中の状況判断と開発フィードバックの精度を高め、ラッセルとともに“新世代のメルセデス”を象徴する存在となることだ。

2025年の後半に見せた安定したパフォーマンスは、その兆しを示している。2026年、チームとドライバーの両方が再び頂点を狙うための鍵は、ヴォルフの言う「本当のキミ」がどれだけ成熟した姿で現れるかにかかっている。

このエントリーをはてなブックマークに追加

カテゴリー: F1 / メルセデスF1 / アンドレア・キミ・アントネッリ