ザク・ブラウン ニコ・ヒュルケンベルグ批判発言を撤回「冷静に見直した」

スプリント直後には「アマチュアのようなドライビング」と厳しく批判していたが、リプレイを確認した後に「ニコ(ヒュルケンベルグ)のせいではない」と見解を改めた。
スプリント直後の怒りのコメント
スプリントレース直後、両マシンが1周目の1コーナーで姿を消した直後にインタビューに応じたザック・ブラウンは、感情的な様子を隠さなかった。
「ひどいものだった。うちのドライバーは誰も悪くない。前方のドライバーたちの中にはアマチュアのような走りをした者がいて、2台ともやられてしまった」と語った。
その後、記者から「ヒュルケンベルグのことか」と問われると、「うーん、もう一度リプレイを見たい。でも明らかにニコがオスカー(ピアストリ)に突っ込んだ。彼はそこにいるべきではなかった。左リアに当たったんだ」と不満をあらわにした。
ドライバーたちの反応と混乱
リタイアしたランド・ノリスは「ぶつけられた。どうしようもなかった。それだけ」と短く語り、ピアストリも「僕たちは2人ともけっこう深くブレーキした。カットバックしようとしたところで当たった。いいスタートではなかったけど、映像をもう一度確認したい」とコメントした。
ブラウン「ヒュルケンベルグを責めるつもりはなかった」
しかし冷静さを取り戻したブラウンは、映像を見直した上で自身の発言を撤回した。
「確認したが、考えが変わった。あれをニコのせいにはできないと思う」と語り、「あの瞬間は感情的になっていた。ターン1では多くの出来事が起きていたが、ニコを責めるものではない」と説明した。

ヒュルケンベルグ「これで全員が同意だね」
当事者のニコ・ヒュルケンベルグ(ザウバー)は状況をこう振り返った。
「フェルナンド(アロンソ)がイン側から突っ込んできたのはわかっていたけど、正確な位置が見えなかった。彼を避けるために少しスペースを残そうとしたんだ。そこにオスカーがかなり急にターンインしてきた。僕は出口でカットバックするつもりだったが、すでにそこにいた。全員にとって不運な形だったね」
ブラウンの訂正を伝え聞いたヒュルケンベルグは「よかった。これで全員が同じ見解ということだね」と応じ、「悔しいし残念だ。マシンのペースは良かったし、あのまま走れれば確実にポイントを取れたと思う」と続けた。
マクラーレンは社内レビューを実施へ
ノリスは、この件をチーム内で再検討する意向を示した。
「シンガポールの時と同じように、チームで振り返りを行う。すぐに判断するのではなく、全てを理解するために時間をかけたい。予選や決勝前に感情的になっても意味がないから」と述べた。
アンドレア・ステラ代表も「ランドとオスカーとは話をしたが、それは“リセット”のための会話だった」と説明し、「レースでは過去を引きずらないことが大事。適切なタイミングでチームとドライバー全員で検証し、正しい結論を導く」と強調した。
ステラ代表「経験あるドライバーには慎重さが必要」
さらにステラは、改めてベテラン勢への注意を促した。
「スプリント後に言ったように、経験豊富なドライバーが良いポジションにいる時こそ、もう少し慎重さがあっても良かったと思う。それが私の変わらない意見だ」とコメントしている。
分析:ターン1の“混沌”は誰の責任でもない
今回のスプリントでは、ラ・ソースのようなタイトな1コーナーで4台が交錯する“典型的なスタート事故”が発生した。アロンソ、ヒュルケンベルグ、ピアストリ、ノリスの走行ラインがわずかに重なり、誰か一人を明確に責めるのは難しい構図だった。
ブラウンの感情的な発言は、わずか数秒で2台を失った状況下では当然とも言える。一方で、レース全体を俯瞰すれば、各車が極限の中で最善を尽くしており、故意の過失は見られなかった。ステラ代表の指摘どおり、経験豊富なドライバーほど“リスクを取らない判断”が求められるが、それでもこの種の接触はオープニングラップの宿命と言える。
マクラーレンは冷静に検証を進め、再びチーム一丸となって決勝に挑む構えだ。
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