マクラーレンF1含む名車20台を故マンスール・オジェ家が売却
F1界で伝説的な地位を築いた実業家マンスール・オジェの死去から3年。彼が所有していた20台のマクラーレン・ロードカーが一括で売りに出されることが明らかになった。

このコレクションはすべて、フランス系サウジアラビア人でTAGホイヤーの元オーナー、そしてマクラーレン・グループの元株主である故マンスール・オジェが生前に収集したもの。

この売却を担当するのは、今年初めにバーニー・エクレストンのF1カー69台を総額約6億ドル(約950億円)で売却したことで話題となったクラシックカー・ディーラー、トム・ハートリーJr氏。オジェ家からの正式依頼を受けてこの希少なコレクションの販売を手掛ける。

特に注目すべきはマクラーレンF1で、走行距離はわずか1,810km。マクラーレンによって特別に仕立てられた「マンスール・オレンジ」と呼ばれる専用カラーが施されている。他のモデルも、P1 GTRを除けばすべて未使用の状態で、マクラーレンの工場出荷時のまま保存。しかもこれらのメンテナンスは、マクラーレン自身が直接管理しており、これはオジェだけに許された特別な待遇だった。

マクラーレン F1

マンスール・オジェはマクラーレンのF1における黄金時代を支えたキーパーソン。在任中にはコンストラクターズタイトルを7回、ドライバーズタイトルを10回も獲得した。またマクラーレン・オートモーティブおよびマクラーレン・アプライド・テクノロジーズの設立にも尽力し、革新と技術力の象徴としてブランドを築き上げた。

オジェの妻キャシー・オジェは次のように語る。

「マクラーレンはマンスールにとってビジネス以上の存在であり、純粋な情熱そのものでした。このコレクションはその証であり、彼が1台1台に込めたこだわりを家族として間近で見てきました。手放すのは簡単なことではありませんが、マンスールの想いを理解し、大切にしてくださる新たな保管者に託す時が来たのです」

マクラーレン・レーシングCEOのザク・ブラウンもこう付け加える。

「マンスールは現代のマクラーレンの礎を築いた人物であり、マクラーレンをこれほどまでに愛した人はいません。彼のコレクションは本当に特別で、他に類を見ません」

マクラーレン

販売を担当するハートリーJr氏もこう語る。

「このようなコレクションを販売できること自体が特別ですが、それがマクラーレンの歴史において重要な人物であるマンスール・オジェのものであるという事実が、唯一無二の価値を与えています」

この“最後の伝説”とも言えるコレクションにどれほどの価値がつくのか、世界のカーファンやF1ファンの注目が集まっている。

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カテゴリー: F1 / マクラーレンF1チーム / 自動車ニュース